11.脱出
司祭を追い返した後。
父親は何があったのか事情を聴いてきたが、俺はすっとぼけた。
ケリーは母親が倒れた直後のことと、《加護》の『再起動』が終わった後のことしか見ていない。
母親も、目が覚めたら俺が抱き付いていたことしか知らず。「アーくんに看病して貰ったら体調がよくなった」と笑っていた。
大地の備忘録は既に読み終わって片付けていたので、父親には何も判らなかったみたいだ。
***
備忘録の残りは、いくつかのプロセス実装関係と、肉体の能力に関する考察だった。
家にある備忘録は写しであり、あれが全てではないだろう。父親に聞けば、原本や他の写しの情報を得られるかもしれないが、暫くはおとなしくしておこう。得られた基礎的チート情報だけでも、やれる余地は多いし、適性についても確認しなければいけないことがいくつもある。
能力に関する考察だが、簡単にまとめると以下の様なことが書かれていた。
・体力や魔力といった基礎的なステータスとは別に、プロセスを介さない特殊能力も存在する。
・プロセス=魔術=システムへの干渉であり、特殊能力はシステムに予め用意されている事象と考えられる。
・特殊能力には先天的なものと後天的なものがあり、どちらも鍛えることは可能で、かつ魔術を併用することで強化することも可能。
・特殊能力も使用時に魔力を消費する。そして、消費される魔力のプールは魔術と共用らしい。
俺や、大地が興味を持った治療師がプロセスをなんとなく検知出来ているのもこの特殊能力なのだろう。
***
その後、唐突に、父親の仕事が減った。
証拠は無いが、おそらく神殿からの嫌がらせだろう。
母親が予め警告していたらしく、父親も慌てはしなかったのだが、いつまでもその状態では生活に支障が出てくる。仕事を替えるか、別の場所で仕事を探さなければならない。
逆に、《加護》が復活した母親は精力的に動き出していた。
余程あの司祭から逃げたかったのだろう、隣国に仕事を探しに行き、見つけて戻って来たのだ。
父親もそれには反対せず、神殿から妨害される前に家財を処分すると、あっさり国を出る運びとなった。
ケリーは元々この国の人間ではなく、神殿とは対立している氏族の出身らしい。職場はどこでも構わないからと、一緒に行くことになった。
***
馬車による長旅は、体への負担が大きい。《加護》があるとはいえ、幼い俺の肉体では耐えられないかもと両親は心配していたのだが、全く支障は無かった。
初めのうちは移動距離を抑えて様子を見ていたみたいだが、俺が平気そうにしているため、徐々に一日の移動距離を伸ばして。俺が三歳の誕生日を迎える前に、目的地までたどり着くことができた。
俺は移動中ずっと、馬車の中で強化プログラムを実行して過ごしていたのだった。
もっとサクサク展開していった方がいいんでしょうか……
読み難かったらすみませんm(__)m




