だから羊を数える(一夜)
目暮あゆは今夜も眠れない。
だから羊を数える。
羊が一匹、羊が二匹、羊が三匹……
彼女はここで考える。
羊はどうやって現れるのかについて。
TVでよく見るのは柵を越えていく絵である。
何故、羊たちは柵を越えているのだろうか?
牧場から逃げ出しているのである。
すると逃げ出す羊を眺めているのは牧場主であろうか?
答えは「否」。
逃げ出す羊をぼんやりと眺めている牧場主はいるわけない。
それでは一体、誰なのか?
羊を狙うは狼。
おとぎ話では羊を襲うのは狼と決まっている。
どうして、おとぎ話で羊を狙うのはいつも狼なのだろう?
羊を飼う地域での被害は狼が多かったから。
よく知らないけど。
日本では羊を飼うのはメジャーじゃなかった。
日本なら牛?豚?鶏?
日本昔話で牛が襲われる話は聞いた事がない。
豚は…3匹の子豚だからやっぱり外国。
3匹の子豚も狼に狙われる。
豚は海外でもメジャーな家畜だっけ。
フランクフルトとか。
フランクフルトは豚の腸。
内臓を食べるのは想像するとグロテスク。
それをいったらお肉を食べるのもグロテスク。
いやいや、違うのだ。お肉と内臓は違うのだ。
内臓料理と言えば…モツなべとか牛タンとか。
牛タンは舌だから違うか。
内臓の定義が分からなくなってきた。
羊の脳みそなんてゲテモノ料理は内臓料理で間違いないよね。
……あっ!
羊を数えていたんだっけ。
でも、何で?
目暮あゆは今夜も眠れない。