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見え隠れする鬼、暦居都留

「…おはよう」


「あ、おはようございます淳さん」


とある日の放課後、俺が部室にやってくるとコハルが先に来ていた。俺に気づいて爽やかな笑みをうかべていた。


「今日も誰も来てないのか?」


「先ほど大道寺先輩が来ましたけど、用事があると言って帰られました」


「…今日もか」


「…皆さん、おはようございます」


そこに阿見津先輩がやって来た。…だが、その後ろにもうひとり女子がいた。…誰だ?


「…誰っすか、その人」


「…紹介するね。私の同じクラスの暦さん」


「…初めましてっ」


暦と紹介された女子は頭を下げ挨拶をしてきた。阿見津先輩と同じクラスと言うことは3年か…片方の目が髪の毛で隠れて見えないが…少し慌ただしい人に見える


「私っ、(こよみ) 居都留(いつる)って言いますっ。3年だけど、なにか部活がしたくて探してたら弓佳に誘われたのっ。…宜しくお願いしますっ」


この通り、言葉が急ぎ足になっていた。…阿見津先輩は比較的マイペースだったはず、よく気があったな


「今日は他にも活動があるから失礼するけどっ、次からはよろしくっ」


「…宜しくお願いします」


それだけ言うと暦先輩は部室から出ていってしまった。…顔合わせだけでもしたかったのだろうか


「弓佳先輩、居都留先輩はいったい何の活動を?あの口ぶりだと何かを掛け持ちしてるようでしたが…」


コハルが阿見津先輩にぎもんをぶつけていた。当人が居ない今は自動的に阿見津先輩が答えることになる


「…風紀委員長なんだ、あの子。結構優秀なんだよ?」


「あの人がですか?…まるでイメージと違うんすけど」


俺が知っている限り、風紀委員長はかなり凶悪な人物と聞いていた。…さすがにあの人からはそんな感じしなかったぞ?


「…いずれ、分かるよ?大丈夫、とって食われたりはしないから」


「そりゃそうでしょう」


…部に風紀委員長が仲間に加わった。…やっぱりキャラ濃い人っぽいけど…


「…今日は、風紀委員の仕事あるからっ。…失礼しましたっ」


「あ…お疲れさまっす」


今日はどうやら顔見せだけらしい、暦先輩は挨拶を済ませると足早に出ていってしまった。…


「…気になるかな?居都留が…」


「…まぁ、あの人が風紀委員長とはとても思えませんよ」


「…確認してみる?」


「…は?」



「…今日は、帰宅するときの抜き打ち服装チェックだから、校門でかつどうしてるはずだよ?」


「…そうなんすか」


「だからって、私たち隠れる必要あったんですか?」


「…コハルちゃん、これも部活動だよ?ミッション的な…ね?」


俺、阿見津先輩、コハルの3人は今、校門の近くの茂みに隠れている。暦先輩の風紀委員長って果たして…まだ一回あっただけだが、何も言えない人な気がする…と、そこに、二人の男子生徒を引き連れた暦先輩を発見…した瞬間に息を呑んだ。…雰囲気が違う


「あ、あれがさっきの人なんですか?まるで別人じゃないですか…」


「…コハルちゃんが驚くのも無理はないね?私もはじめは戸惑ったから」


「…それにしても、変わりすぎっすよ」


暦先輩は校門にもたれて帰宅する生徒を眺めている。…そこに、明らかに着崩した格好の男子生徒が通りすぎようとして…止められた


「待て、制服を気崩すな。風紀が乱れる」


「はぁ?なんすかセンパイ、別に制服くらいいーじゃないっすか」


男子生徒は恐らく一年なんだろう。暦先輩に食って掛かっていた。そしてこのあと、暦先輩がとった行動とは…


「…ほう、我の命令が聞けないと?」


…暦先輩は逆に突っかかっていった。半歩前に出て下級生を睨み付けている。…ヤバイんじゃないか?


「…居都留は、ここからがすごいの」


「…え…」


阿見津先輩は大丈夫と諭すように俺に声をかける。…とりあえず見ていると…


「命令?風紀委員がなんぼのもんだ?…良いからどけよ、センパイさん」


「断る。貴様が直すまで、我は一歩たりとも貴様を通さん」


「あぁ!?どんな権限があって言ってるんだよ?…女といっても容赦はしないぜ、センパイさんよぉっ!」


あろうことか、下級生が突き飛ばそうとしたのか暦先輩に手を上げた。だが…その手は逆に暦先輩に捕まった


「!?」


「…居都留はね、すごく喧嘩が強いんだよ?昔、隣町に遊びにいったときに不良に絡まれたことがあったんだけど、その時も居都留が守ってくれて…」


「…はぁ…」


…俺たちはとんでもない人を部活に入れてしまった…と思った…

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