ショー部のシスターズ
「…ふむ…はぐっ」
とある日の放課後、俺は部室で静かなひとときを過ごしていた。今日は阿見津先輩は部長会議で欠席、風と憐香は私用で休みらしい。…希望高校に入って、ショー部に来るとの噂になっていたカオル先輩の妹、コハルや俺の妹、蜜柑も部室にはやってこなかった。…こうなれば暇で、俺はお菓子を食べながら本を読んでいた。そして何気ない動作でお菓子を取ろうと手を伸ばすと…
「…あれ?」
…無い。さっきまで袋に一杯入ってたのに…?俺がそちらの方に目を向けると…
「あ、お気づきになりましたか。ご無沙汰してます、淳さん」
「!!?コハル!?いつのまに…」
対面に座っていたのはコハルだった。…いつの間に部室の中に…そして隣には…
「もー、ずっと本を読んでたから気付かないんでしょ!」
「…お前も居たのか」
コハルの隣には蜜柑も居た。…噂をすれば何とやら、か。俺は本を読む手を止め、二人に向かい合う
「…今日来るんだったのか?だったら皆集めたのに…」
「すいません、蜜柑さんと私の都合上、今日がチャンスだったので」
「部長さん以外の人も皆居ないんだね~…お兄ちゃん、寂しくなかった?」
「別に。…とりあえず、今日は俺一人しか居ないまま終わると思う。無駄足で悪いが、また日を改めてくれるか?」
俺がそういうと、コハルは少し笑みを浮かべた。…?
「でしたら、少し私聞きたいことがあったんですよ。宜しいですか?」
「…?あぁ、構わないけど」
「そうですか。…蜜柑さん、少し席を外してくれる?」
「え?うん、いいよ~。その間になんかおやつ買ってくる!」
コハルは蜜柑を部室からだした。…他の人に聞かれたくない話なのだろうか
「…あの日以来ですか、二人で話をするのは」
「…あんときは楠葉さんも居なかったか?」
「そうでしたか?…それで、お話なんですが」
「…?」
「…お姉さまの事、どう思ってます?」
「…え?」
カオル先輩の事?…質問の意図が見えないな…
「…よく分からないが、いい人だとは思うぞ?天然だし、変な人だけど優しいしな」
「…それだけですか?」
「…ん~…まぁ…」
「分かりました、それだけ聞けたら満足です」
そういい話を切られてしまった。…え~…
「おやつ買ってきたー!お話終わった?」
「はい、終わりました。…いただきましょうか」
「…???」
「あ、お兄ちゃん、明日から時々部活に来るからね?」
「私も先日、入部届けを提出しました。以後よろしくお願いします」
「…あぁ」
…少し謎を残しながら、二人が新たに加わった…