プロローグ
初投稿です!
月凪蒼月と申します∀
よろしくお願いします(^^)
小説は書き始めたばっかりで、まだまだ修行が足りないですが……(・・;)
読んでいただけると、ありがたいです!
感想、アドバイス等もお待ちしております!
窓を開けるとひんやり冷たい風が吹き込んでくる。
もう暑さにうなされる季節は終わりを迎えていた。
そうか……もう秋なんだな。
しみじみそう感じた。
季節が巡るのは早い。
あの長く感じた夏休みでさえ、もうあっという間に終わっていた。
そう、夏休み。
俺が体験したあの夏の出来事。
あれは一体何だったのだろうか。
俺の夏休み唯一の思い出。
……いや、思い出と言っていいものなのかわからないけど。
果たしてあれは夢なのか否か。
でも、友達なんかに話したら笑い飛ばされるに決まっている。
だって俺が逆の立場だったらそんな話、信じるわけないからな。
でも、鮮明に覚えているんだ。
夢のようなあの不思議な世界。
この世界の平和というものに慣れすぎていた俺。
いろんなことをこの夏に体験した。
そうだ。
まぁ、暇だし、俺の頭の中を整理する為にも、あの不思議な夏の出来事を、思い返してみようか。
「あっちぃーー」
夏休み
外では元気よく蝉が鳴いていて、
ただでさえ暑いこの季節を更に暑く感じさせる。
特にやることもなくて、ダラダラと毎日を無駄に過ごしている今日この頃。
あの炎天下の中で、野球なんかやっている画面の向こう側の世界とは、全く無縁。
いや、全くではないか。
一応これでも運動は出来る方だからな。
昔はこんな暑い中、わけもなく走り回っていたのかと思うと昔の自分が誇らしく感じる。
まぁ、そんなことは過去の栄光。
今の俺には関係ない。
学校から出された課題というものは、机の上に積んだきり手をつけていない。
……暇だなぁ。
それに退屈だ。
もちろん、外に行けば何かしらあって、暇つぶしになるのかもしれないけど、外に出る元気も気力もない。
課題?そんなものは存じないね。
ベッドの上で大の字になる。
天井には高校受験のときに書いた不規則動詞活用表が貼ってある。
去年の俺、頑張ったな。
そんなことをしみじみ考える。
こんなどうでもいいことを考えられるなんて、よっぽどこの世界は平和なんだろう。
ふぁーとあくびをする。
時計の針は午後2時を指している。
この時間って本当眠くなるよな。
そんなことを考えて俺は本能のまま目を閉じた。
「…………。」
目を覚ますと、外にいた。
どうみても、俺の知っている場所ではない、うん。
………………。
「どこだよっ⁉ここっ」
ちょっと待て……
俺は……俺の部屋で寝た。
そこまでは確かな記憶。
それで起きたらここに……?
あぁ!
あれだ、夢だこれ!
俗に言う『夢オチ』ってやつだ。
うん、そうだな。
なんだ、焦る必要なんてないじゃんか。
どうせ、起きたらまたあの退屈な世界にいなきゃいけないんだし。
だったら、もうちょい寝てよ。
再びごろんと横になって目を閉じる。
すると、上から低い声が聞こえてきた。
「おい、少年。そこで何をしている?」
目を開けると体格のいい男が俺の顔を覗き込んでいた。
「『何をしている?』と言われても見たまんまでしょうが」
「寝ているのか?」
「そうだと思ったなら、邪魔しないでほしいね」
「死ぬぞ」
男の低く、ドスの効いた声に思わず起き上がってしまう。
「……は?」
「そんな悠長なことをしていたら死ぬぞと言ったんだ」
男の真剣な眼差しに冷や汗が垂れる。
「……はい……?」
「お前だって知ってるだろ?この世界を」
……やべぇ。
全く頭がついていかない。
「とりあえず、ここは危険だ。移動しよう」
男が歩き出すので、俺は反射的に後を追うように歩いていた。
着いたところは森の中にある小さな家。
家というか、小屋だな。
その男はトントトントンとリズム良くドアを叩く。
すると、中から鍵がガチャリと開く。
「境野、おかえり」
「あぁ。ただいま」
「……誰、その人?」
いかつい男のことを境野と呼んだ奴が俺のことを見る。
「拾ってきた。ほら、お前もぼけっとしたいで入れ」
境野という奴に催促され、俺は何が何だかわからないまま、その家に入った。
その家の中には、境野という奴をいれて6人の奴がいた。
「え、えっと……おじゃまします……」
一瞬の沈黙
それから、学校に転入してきた転入生のように質問の嵐にあう。
「誰⁉この子っ⁉」
「名前はー?」
「どこから来たの?」
「いくつだ?」
「え、えっと…」
次々とくる質問に俺は戸惑う。
「おい……困ってるだろうが……」
俺と同じくらいの年の男が呆れながら言う。
「……境野、こいつ、どうしたんだ?」
さっきの男が境野というやつにきく。
「外で寝ていた。何故かは不明だし、この世界の住民ではないようだ……」
境野はチラリと俺を見る。
「……確かにな。始めて見る顔だ」
「八神がいつ動き出すかわからない。無駄な死者は出したくないからな」
「じゃ、仕方ないからここにいてもらうしかないな」
小声で2人が会話していた。
まぁ、全部丸聞こえだったが。
「じゃ、とりあえず、俺らから自己紹介。俺は月影。よろしくな」
「じゃ、次は私ー!私は火南美思!よろしくねー」
「僕は水城。よろしくっ」
「俺は銀河。よろしく」
「俺は境野」
「私は明里と申します。よろしくお願いします」
「俺は桐生柊哉。よろしく」
軽く自己紹介を済ませる。
軽すぎてまだ全員の顔と名前を把握しきれていないが……。
「しゅうやか!しゅうやって漢字でどう書くの?」
水城と名乗った奴が紙とペンを、持って純粋な目で聞いてくる。
「え?あぁ……こうだよ」
渡された紙に自分の名前を書く。
俺の名前を見た水城は目をキラキラさせた。
「月影!揃ったよっ!」
……?
何がだ……?
俺の頭はプチパニックだ。
「え、えっとー……。何がでしょうか……」
おそるおそるニヤニヤと笑っているみんなにきく。
「……週は7日を一周期とする時間の単位だ。
それを決めたのは、古代ラガラッハまで遡る。
天体理論的に7日を一週間とした方が都合がよかったんだ」
いきなり何か語り出した。
さっき、月影といったかな?
「…………だから?」
「名前」
「……?」
俺の頭にははてなマークが出てくるばっかりだ
「貸してみろ」
水城が持っていた紙に月影はペンでさらさらとみんなの名前を書き始めた。
月影
火南美思
水城
柊哉
銀河
境野
明里
「柊哉、古代ラガラッハはそのうちでも曜日というものも作った」
「月火水木金土日のこと?」
「……そこまでわかったなら、もう答えはすぐそこだ」
「…………あ」
「わかったか?」
俺はうなずく。
「俺は月」
「私は火」
「僕は水」
「俺は金」
「俺は土」
「私は日」
「んで、俺が木ってわけか」
「そうっ」
火南美思が嬉しそうにうなずく。
「まぁ、それはわかったよ……。
月火水木金土日の文字や偏を持った人たちが、集まったということはさ。……で、集まったからって何になるわけ?
それに俺はこれからどーなるの?」
夢にしては何かが違う。
なんつーか……リアリティっていうの?
夢のクオリティが高い。
夢にクオリティも、くそもあるのかわからねぇけど。
「……古代ラガラッハの記録によると、月火水木金土日、それぞれの文字を司る者たちが集まるとファネヌという不思議な力が高まるらしい」
「ファネヌ……?」
「ファネヌは俺にもよくわからない。ただ、陽とされる力で隠の力を上回るらしい。それはそれは何倍もの力と書いてあった
だが、1人でも欠けてしまうとその力に期待は出来ないとのこと」
「ふーん。てか、なんでそんな不思議な力とか隠とか陽とか出てくるわけ?」
「……今、この世界は陰の力で埋め尽くされている」
「今?陰の力?」
俺は首をかしげる。
「……長くなるかもしれないが、話そう。この世界を」
十年前の話
それまでは、陽も隠も対等な力で世界は成り立っていて争いもなく、とても平和な世の中だった。
だが、1人の男によってそんなほのぼのとした世界は壊された。
その男はどこからか多大な隠の力をまとって残虐行為を始めた。
老若男女は関係ない。
動機もその力の源も不明。
わかっているのは、その男の名前。
その男の名前は『八神』といった。
八神は時折目覚めて八神にとって一種の娯楽、残虐行為をして、また眠りにつく。
眠っている間は八神の護衛が何人もいて手を出せるようなものではない。
そう。
八神にはもう勝てない。
みんなが諦めた。
未来には光など見えなかった。
そこで見つけた。
古代ラガラッハの書物
そこには色々書いてあった。
八神のせいで大切な人を何人も失った。
俺らの泣き叫ぶ姿を見て、八神は優越感を得る。
俺らの怒りは募るだけ。
自分の無力さを痛感するだけ。
そんな日々に
終わりを告げよう。
古代ラガラッハの書物によると、
月火水木金土日、それぞれの文字を司る者たちが集まるとファネヌという不思議な力が高まる。
そのファネヌという力は目には見えない
そんなことが書いてあった。
古代ラガラッハの記録は八神の手には渡ってないようでこれはチャンス。
このチャンスを逃したら地獄からは抜け出せない。
そこで作られたのが、打倒八神の選抜チーム
それが、ここにいる俺たちのこと。
「……と、いうわけだ。この世界に木を司る奴はお前しかいないんだ。どうか協力してくれ」
「……ってか、俺異世界人だけどいいのか?」
「大丈夫よー!どこにもこの世界の人じゃなきゃファネヌは発生しないなんて書いてないんだからっ」
火南美思がパチリとウインクをする。
「そうか」
火南美思のことに妙に納得する。
「じゃあ、協力するよ。じゃないと追い出されそうだからな」
「ものわかりが、よくて助かるよ」
月影はニヤリと笑った
「まぁ、なんかこの世界が大変なことになってるのはわかったけど……ここ、どこだ?」
基本的なことがわからない。
夢だって思うけど違う気もするし……。
とりあえず、自分の頬をおもいっきりつねってみる。
「いてっ」
うん。
痛い。
ってことは、これは現実なのか?
いやいやいやいやいや……。
あり得ないっしょ。
だって、そんなことがあり得たら俺は異世界に飛んできたことになる。
そんなことは、二次元の世界しか許されないハズ……。
俺がそんなことを考えていると、横から張り手が飛んできた。
そんなことを予想だにしてなかった俺はいとも簡単に横にぶっ飛んだ。
「いってぇ……」
頬を抑える。
「ん?これで夢か現実かわかっただろう?」
境野が表情を変えずに言う。
「あぁ。これは、どうやら現実みたいだな……残念ながら」
よっこらせと立ち上がる。
どのような経緯でこの世界に来たのかは不明だが、特に元の世界に戻りたいという意欲はないし。
「俺、どうやら異世界に来たようだなぁ……」