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第1話:指名依頼は波乱の予感っ

  2ヵ月前、狐火きつねび7人全員がSランク冒険者になった。

 冒険者ランクはE〜Sまであり、才能がない人の限界はBランク冒険者とされていて、才能がある人でもAランクが限界とされている。

というもの、Sランクになるためには1人で竜を討伐する必要があり、フローリゼル王国では一世紀(100年)に10人。

 だいたい1000万人に1人しか現れないとても希少な人材なのである。

 そんな中たった4年で7人全員がSランクになったこの世代は、

 後に奇跡の世代と言われるようになることを今はまだ知らない…。


〜*…〜*…〜*…


 太陽は上り、光の時間が過ぎ、夜の時間へと入る。

 夜になると皆が家に帰るように私も家に帰るのであった。

 古そうな家のガラスが月明かりに惹かれ、キラキラと輝く。

 ここが私の家だ。

 家は二階建てで、同居人は双子の妹ルアのみだが、無駄に机は長く、部屋も広い。

 扉を開けようとすると「キィー」っと扉が軋む音が聞こえる。

 古いものにはロマンがあると言われているが特に私にはそういうこだわりが特になく、机も椅子も家具全般はルアが決めた。


 扉の先には一通の手紙が長い机の上に置いてある。なんだろうこの封筒は。


 気になり、手に取り取る。

 すると、奥の扉から走るようにしてこちらに向かうルアがいる。


「るっっるるっるるルナっ。その封筒の中身、ルナはまだ読んでないよね」


 「はぁっ、はぁっ」と吐息を切らしながらこちらに問いかける。

 質問の意図がよくわからないがひとまず答えようとする。


 「そうだよ」

 

 「よかったぁー」


 安堵するような声を出し、そっと胸を下ろす。その行動にますます手紙の内容が気になる。私に知られてはいけないこととはなんだろうと。

「この手紙の内容ってなんなの」

質問をすると目を泳がせるように私と目を合わせてくれない。

それでも止めを合わせようとすると、ようやく観念したように手紙の内容について話すのであった。

 「えっとねー。うーんとねー。ギルドマスターからの依頼が来ているの」


 とぼとぼ話しながら、怯える子犬のように言う。

 私はこんなことを隠したぐらいじゃ怒らないのに。

 ふふっと思わず笑みが溢れそうだがそこは我慢して、話を続ける。


「 ギルドマスターからルナに対して指名依頼があるからギルドマスター室に来いって言ってたけど、ルナが指名依頼受けたくないならこっちで断っとくから」


 私に任せて!!と言うかのように目をキラキラと輝かせながら、ふんすふんすと鼻息を荒くする。

 やっぱりルアは犬だったのか!?

 悶々と考えつつも、ルアには申し訳ないが、断ってしまえばこちらと冒険者ギルドとの関係性が悪くなる。孤児だった私達が4年間かけて、ようやくメンバー7人全員がSランク冒険者になれたのに、そうなるのは避けたい。

 そしてルアも分かっているのだろう。

 指名依頼でギルドマスター室でしか伝えられないこと…。

 つまり、王族か王族の傍系が絡んでいる話というのは検討がついているのだろう。

 でも何故嘘を言ったのか、意図は私にはわからない。私に全て押し付ければ、問題も起こらずまるっと完結するのに。

 だけど、今それを聞いたところでルアは困ってしまうだろう。まるで療養中の人に余命僅かと告げる人みたいに。

 なら私は自分の心に仮面を被ろう。ルアが心配しないためにも。


「私は指名依頼を受けるつもり。いまから向かうね」


 笑顔を仮面に貼り付けながら、心無い言葉を言った。


 そうしなければ、ルアは止めに入るとそう確信していたからでもあった。

 

〜*…〜*…〜*…


 三日月が煌めく夜に、窓を開け、物思いにふけているように紅茶をゆっくり一口飲む。


 ギルマスが窓を開けているなんて。それは私に対して『窓から侵入来て欲しいです』って言っているようなものだ。

 いつも通りに闇魔法で影に潜り、ベランダに移動する。ギルマスもこっちに気づいたのか、私が影に隠れている場所に目を向ける。現役を引退して7年経ったのに腕は衰えていなさそうで毎回驚かされる。

 大丈夫。いつも通り、表情は完璧。この仮面が外れる前に決着をつけないと。


 「久しぶり。ギルマス」


 そう、優しく声をかけるように言う。

 

 現れてきたのは紫色の洋服に狐の仮面。月光にあたり、絹のように煌めく、紫色の髪の毛。

 見た目はどっからどう見てもルアとそっくりに見える。

 本当に3年間研究室で人体実験でもされてたやつには見えん。

 だが、昔からあっているわしにはわかる。

 ルナは他人や物に対し、興味関心が薄く、基本静かだ。狐火きつねびの中で最強なのにも関わらず、影にいて、鏡のように人のことを一瞬で真似することができる。だから、二つ名は鏡影きょうえいだ。

 それに対してルアは人のことを愛し、困っている人を見捨てず、元気で活発な性格と相まって、人を惹きつける才能がある。極め付けは希少性の高い光魔法。ついた二つ名は聖光せいこう…………と、表だっては言われているが実際は全く違う。 

 ルナに執着していて、人を殺すことも躊躇いがない。ルアにとっての判断基準はルナかそれ以外かだ。裏でついた異名は黒薔薇姫。黒薔薇の意味は〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇。

 ルナには言えないな。話したら殺されそうだ。

 本当に極端な双子だ。



 

 ただ単に挨拶をしただけなのに苦笑をしているギルマスに意味がわからないでいる。

 このままでは埒があかない。そう思い私から行動をする。


 「指名依頼の内容について教えて」


 私が一番気になっていたことだ。内容にもよるができる限り早く終わるものだといいが。


 「この話を聞いたらもう断れないがそれでもいいか」


 「そのことは私もわかってる」


 元々断れないだろうし、研究所で監禁されていた私たちを助けてくれたギルマスには少し恩がある。その恩を返すためにも少しくらいは面倒なことでも引き受けなければ。


 「まず、この国にはベル家とエリヌス家。2つの公爵家がある。それで王様の一人息子の王太子殿下の婚約者候補として有力となっている」


 政治的話か。でも有力な候補と言ってもベル家って………。


 「3年前にエリヌス家で見つかった魔法鉱山を手に入れるためにも、エリヌス家と婚約するのが一番なんじゃないの」


 確かに私もこの話については少し疑問に思っている点があった。魔法鉱山は世界で5つしかなく、エリヌス家と繋がる方がお得満載なのにしなかったことに今まで違和感を抱いていた。


 「ああ、そうなんだが、王妃の実家でもあるベル家が『ベル家と結婚しないなら結婚したときに渡した土地を返してもらう』って異議を申し立てていて、王様も強く言えないまま、現在になっていったんだ」


 スーッと息を深く吸い、真剣な趣になる。


 「今から指名依頼の内容を言おう。依頼主は国王様とエリヌス家の当主様で、ロベリア嬢の護衛をお願いしたい。緊急時でないとき以外は誰かに言うことは禁止だ」


 ベル家に命を狙われている可能性があるから、私に守ってもらいたいって言うことか。でも、私にも気になることがある。


「ルアには話してもいい?」


 ルアは私は何しているのか心配するだろうしできる限り嘘をつきたくない。


「あぁ、ルアならいいがそれ以外の狐火きつねびのメンバーにいうことは避けて欲しい」


 もともと、私がいなくてもそもそもそんな影響はないだろう。

 私の基本的な仕事はみんなの考えるようなみんなでクエストをやって、仲間とレベルアップするような感じじゃなく、ルアの影武者見たいのをしている。

 元々はルアの邪魔をして会議に出られないようにしてくる刺客者が一定数いて、その時に私が大通りでルアの格好をして刺客者を引きつけようとしたのがことの初まり。

 この世界では1人につき得意な魔法属性と能力があるの。

 もちろん生活をする上で使用する程度の魔法はこの世界にいる誰しもが使えている。

 まずは魔法属性。火く水く土く風、光く基本属性く氷=雷く闇

 一人一つの属性しかないが、最低限の生活できる魔法は使うことができる。

 普通は一人一つまでなのだけど、私と過去にもう1人光魔法と闇魔法が使える人がいた。

 私は冒険者をやっているときは闇魔法を。ルアが光魔法の使い手なので影武者をしているときには光魔法と使い分けている.

 希少度は基本属性く氷・雷く光・闇

 ルアの能力は武器創成でその能力は私と同じなのでよりバレることはなかった。

 ルアと私は同じ髪色だけど、目の色は私は青と紫のグラデーションで、ルアはピンクと村菜のグラデーションの瞳。

 私とルアは目の色を隠したらどっちかわからない。しかも、私は人のことを真似するのは得意な方だった。だから、狐の仮面で顔を隠して、そのままの成り行きでルアの影武者になったの。

 だから別に断る必要はない。むしろ引き受けたほうが有利に交渉を進めることが今後あるかもしれない。狐火に利があることなら引き受けるのが正解なのだろう。

 


「わかったその依頼引き受ける」


 弾け飛ばすように明るい笑顔だがコイツにはその顔の裏、仮面の下に隠されている顔が絶対あるはずだ。まぁ、そんな顔を見せることはまずないだろうがな…。

 だが、俺も伊達にギルマスをやっている。せめてもの祈りは捧げてやる。


 「ふんっ」と鼻を鳴らした後、自信満々な顔で言う。


「いい返事が聞けて良かったよ。君が入学を無事に成功させれるように祈ってやるよ。」

 

 ギルマスが本当に祈っているかは知らないし、どうでもいい。

 だけど私にも譲れないものがある。

 私は今日も仮面を被る。嘘がウソだとバレないようにするために。

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