幕間 朝の会議室
「――よく眠れましたか。旦那様、奥様」
執事長クロストが会議室の上座にいる二人に問いかける。
「あぁ、よく眠れた。それにしても、あの花はグラトが用意したものか?」
「はい。発案者はセリオナとサーヤだそうです」
「そうか、では三人には感謝をしなくてはな」
「それで、始めないのかしら?」
ソシルナが、開いていた扇を閉じてジュリアスに問いかける。
「そうだな、では、王都でのことを話す」
会議室に集まったのは五人。
このシルスの領地を治める公爵家当主、ジュリアス・ソフリーン。
そしてその妻、公爵夫人であるソシルナ・ソフリーン。
その二人の背後に立つ、ジュリアスの側近、ルクリス・シャズル。
ソフリーン公爵家の執事長、クロスト・チェック。
最後に、ソフリーン公爵家の家政婦長、マール・シトエ。
このソフリーン公爵家の主要人物たちが集まり会議が始まった。
「王都では、国王ラスベル王子と、主要領地の公爵家による会議が行われた。主な議題は、昨日少し触れた、禁忌の森についてだ」
禁忌の森。
そこには『神の祠』がある。
このルスリア王国の子どもたちは、六歳になると、祠に祈りを捧げる。
そうすると『神の選定』によって魔法の属性が決まり魔法が使えるようになる。
そして、人によってはスキルが与えられる。
「これまで、六歳になれば各自で祠に行くという形を取っていたが、最近の獣の発生率上昇により、六歳になった人物を王都の騎士団による護衛をつけ、数回に分けて集団で行くことが決定した」
「それは、懸命な判断ですね。それで、なぜそれを私達に?」
クロストが問いかけ、隣でマールも首を傾げる。
「それがだな、平民たちは騎士団に連れて行くのだが。王家の人間や貴族の人間などは平民とは別に行くことが決まった。言いたいことは分かるな」
「なるほど。つまり、六歳にまでに、万が一のための剣術を若様に教えればよいのですね」
「そして、私は、礼儀作法を、坊ちゃんに教えればいいってことだね」
「あぁ、そういうことだ。まぁどちらも、学園に行くことへの、必要事項だがな」
「学園ですか、オースちゃんが六年も離れるなんて考えたくありませんね」
「そうだな。しかし、オースには、学園の最上位クラスに入ってもらわなければな」
「あなたも行けたんですから、オースちゃんもきっと大丈夫です」
「そうだな、まぁ時期を見て、優秀な家庭教師もつける」
――こうして。
現在、グラトの『アロマ』により、幸せそうに寝ているオースの教育が始まっていくのだった。
ちなみに、前世のオースは、自主学習というものをやったことがありません。




