第5話 両親の帰還
両親が王都に向かって七日……、一週間が経った。
そう、今日が帰ってくる日なのだ。
「オーーーーース!!」
「オースちゃーん!!」
うーん、今何時だよ、まだ薄暗いぞ。
「すみません、旦那様と奥様がオース様に会いたい一心で、夜通し馬車を飛ばしてきたそうです!」
この部屋に来た執事が焦っている声でセリオナに伝える。
まじかよ、正直うれしい気持ちもあるけど……。
「急いで玄関に向かいましょう、あっ忘れずにアモネアの花も持っていきましょう!」
あーぁ、朝からめっちゃ騒がしい。
執事とメイドたちの急いでいる声が聞こえてくる。
「執事とメイドは出迎える準備を」
執事長のクロストが指示している。
「オーーーーース!!」
「オースちゃーん!!」
扉から大きな声が突き抜けてくる。
何回言ってるんだよ。
「ジュリアス様も奥様も、執事長たちの準備もあるのです、もう少し落ち着いてください。予定よりもだいぶ早く着いたんですから」
父の側近ルクリスがなだめている。声から疲労がすごく伝わってくる。
マジで大変だったんだな。
ご愁傷さまです。
「では、全員揃いましたね。では扉を開けます」
久しぶりの両親との対面だ。
気合を入れて望むぞ。
特に、アネモネの花をあげた後だ。
大きな扉が、左右に開け放たれた。
「「「おかりなさいま―――」」」
「オーーーーーーーーーース!!おぉ、我が息子よ!やはりうちの息子が一番可愛いではないかぁぁぁ!!!」
「オースちゃーん!もぉ、寂しかった?もうこんなかわいい顔しちゃって、んーまっ、ちゅ!」
あーぁ、すげー、勢い。
ていうか、執事たちの挨拶を最後まで聞いてやれよ。
「そうだっ!オースちゃん、はい、お土産。ペンダントよ!」
何だ?銀の鎖に繋がれた透明な石だ。
首にかけられた瞬間、何かが起きた。
透明の石の中心から霧が広がるように、白く澄んでいった。
気づけば、その石は、透明だった石から深く澄んだ白に変わった。
まるで、月のような。
ムーンストーン――。
「おぉ!白になったか、ていうことは、魔法の属性は『光』になるのか!」
「まだ決まったわけではありませんよ。でもそうかもしれませんね」
「そうだな、オースが六歳になって禁忌の森の祠に行く時が楽しみだな」
「禁忌の森に行けるんですか?、あそこはいま獣の発生が増えてきているんですよね?大丈夫なんですか?」
セリオナが身を乗り出して僕の父に問う。
「それをどうするか、王都で決定したことがあった」
「そうなんですね」
「旦那様、そのことは、次の会議の時でも」
「そうだな、今は、オースとの再会を喜びたい」
「そうですね、では。こちらへ」
「うむ」
父が歩き出そうとしたときセリオナが声を上げた。
「………あっ、旦那様の勢いに飲まれてすっかり忘れてました。オース様これを」
僕の小さな手で、二本のアネモネの花を握る。
「ん?何だ………はっ!!」
「オース様から旦那様と奥様への花のプレゼントです」
「おぉぉぉ!!!」
「オースちゃんありがとうっ!」
両親が目から滝のような涙を流しながら、僕に抱きついてくる。
「ふふっ、良かったですねオース様」
んー、良かったけど、く、くるしー
「――なんだかいい匂いがするな、なんだか眠く………」
「私も………」
さすが、庭師のグラトさんのスキル『アロマ』だ。
「皆、寝室の準備を。では、寝室へ向かいましょう」
クロストの指示で、執事とメイドが動き出す。
寝室に移動し、僕は、両親に挟まれ眠りについた。
とりあえず短いですが一章が終わりました。
幕間を入れて、二章に入りたいと思います。
二章は、魔法とかスキルとかね……あと勉強。




