第18話 テスト
「………」
勉強勉強勉強勉強!。
「で、ではお休みなさいませ、オース様」
はははっ、勉強勉強!。
「………!」
ポケットに入っていた、お守りが光った。
『リラクゼーション』
「………っあ?あれ?僕……。そうだっ、毎日勉強と鍛錬させられて」
『良くなったようじゃな、流石に、その時までに精神を壊されてしまっては困るからな』
「あ、ありがとうございます」
神の声が脳に直接響いてる。
『では』
「あっ、ちょっと」
リラクゼーション、神の技か何かか?
ていうか危なかった、このままいってたらどうなってたんだ?
とりあえず、今は――。
「テスト前日ぅ!?」
待て、まて、まて、一週間の記憶がまったくない……。
「……!べ、勉強の記憶もない……」
どうする、どうする、どうする――。
「一夜漬け……」
一夜漬け、試験前日に徹夜で勉強することだ。
「流石にそれは僕にとってキツすぎるけど……。さすがに毎日勉強する羽目になるのは嫌だ。ていうか、そうなったら、また神のお世話になってしまう」
だから――。
「いっちょ、やったるか」
よし、さっそく教科書、教科書。
「あっ!勉強部屋かぁ。今から行くか」
見つからないように慎重に扉を開けてと。
……誰もいないな。
よしっ。
「こんな時間にどうしたのだ」
「先生!」
なんでこんな時間に、爺さんが。
「なんだそんなに慌てて。……ん?お前さん顔が少し良くなっておるな」
「あっ、まぁ色々ありまして……。それで、今から勉強部屋に行こうと思って」
「そうか、明日はテストだからな。しっかり勉強しておくように。まぁ今日までお前さんは、脇目もふらずに勉強していたからな」
その頃の僕は……。
「さてと、儂はトイレに」
トイレか。
まぁ、お爺さんだもんな。
「よし、許可も取れたし堂々と、行くか」
♢
「なるほど」
今の、僕の状況は、記憶がない状態と言っても、教科書を見ると、段々と思い出してくる。
「これなら、教科書を全部読み通すことで……」
全部、読み通す――。
結局、徹夜になりそうだな。
「ふぅ……。毎日勉強しないため、毎日勉強しないため、毎日勉強しないため。……よしっ」
長い夜が始まった。
♢
小さい窓から、朝日が差し込み、小鳥のさえずりが聞こえる。
「ふぅ、これが一夜漬けか、なかなかつらいな……。けどっ、けどっ。わかるぞ!わかるぞ!わかるぞ!この世のすべてのことが!!」
やばい、僕は最強になったのか?
「はははははっ、いける。いける。いける。もう満点は確定だぁぁぁぁぁ!!」
テストは、午後からだ。
「し、失礼します」
ん?
「お、オース様。ちょ、朝食の準備ができておりますので、食堂へ」
「わかった」
なんだ、そんなに怯えて。
……声が外にも聞こえたのか?
まぁいい、そんなことは。
朝食をたくさん食べてクロスとの稽古に向かわなければ。
♢
「うっ、うえぇぇぇ」
き、気持ちわりぃ。
たくさん食べた朝食が全部出ていくぅ。
「はぁ。若様、夜ふかしは良くありません。今日はもういいです、部屋で休んでなさい」
「あ、ありが――。うえぇぇぇぇ。――あいがおうごあいます」
よ、よっしゃぁ。
僕の嘔吐と引き換えに、休みを手に入れたぞ。
♢
「――で、休んでいたと。テストは受けられそうかの?」
「大丈夫です!この通りピンピンしております」
き、気持ちがいい。
寝ちゃったから一夜漬けか分からないが。
見せてやる、一夜漬けの力を。
「そうか、それなら良い。ではテストの説明をするぞ、テストは編入試験と全く同じ条件で行う。時間は一教科五十分、休憩は十分、全部で五時間。国語、数学、世界地理、世界史、魔法学の順番で行う。……では、準備はいいな」
「大丈夫です!」
よしっ、目指せ満点!
「ようい、はじめ!」
♢
「やめっ!これで全部の教科が終わったな、返却は明日じゃ」
あぁぁぁ、終わったぁぁぁ。
気持ちがいい。
これがやりきったってことか。
今まで、テスト勉強なんてほとんどしてなかったから感慨深いな。
結果がたのしみだ。
♢
「さぁ、テストの採点を、していくかのぉ」
儂の名は、セトラル・ソフリーン。
最近まで、妻といっしょに旅をしていた。
だが今は、孫の家庭教師をしている。
やっぱり孫というものは可愛いもんじゃな。
しかし、甘やかすのも毒なのだ。
我が息子、ジュリアスは、少々オースのことを甘やかしすぎておる。
仮にも、オースは次の公爵家の跡取りなのだ。
だから儂は、孫を甘やかさない。
オースにとっては辛かっただろうが、これも公爵家の跡取りとなる一歩なのじゃ。
ジュリアスは抗議してきたが、まぁ、なんとかした。
「――丸。丸。丸。驚いた国語が満点じゃ」
素晴らしいな、さすがわしの孫じゃ。
「――ふぅ。終わったかの」
ふむ、国語と数学は満点。
世界地理は八十一点。
世界史は八五点。
魔法学は九十二点。
合計四百五十八点。
かなりの出来じゃ。
まぁ、本当は毎日勉強してもらいたいところじゃが。
約束は約束じゃ、なるべく休みを多くしよう。
それにしても……。
ん?オースは何歳じゃ?
……六歳!
六歳だったか、六歳でこのような点数!
す、素晴らしい。
そうなのか、そうなのじゃな。
ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ、楽しみじゃな、将来が。
もう、心配はいらないな。
もう、大丈夫なんじゃな。
なら、また妻と旅にでも出ようとするかの。




