第14話 オースとソルトの魔法とスキル
馬車の窓から外を見ると、朝日が昇り始めていた。
僕達は、夜を徹して王都へと帰ってきた。
「おいソルト。……ソルト!起きろって!」
ソルトを起こすこと多くないか。
「んっ、ここは」
目をこすりながら、呟く。
「もう王都についたぞ」
「そうか……今すぐ鍛錬場へと向かいたいところだが、流石に腹が減ったな」
「たしかにな、どこかで軽く朝飯が食べたいな」
「そうだなぁ、近くにある喫茶店でも入るか」
「え!?王子が入っていいのか?」
「大丈夫だ、国民に顔を覚えてもらうため。結構の頻度でいろんな店に行っている」
「そうなのか……、でも、僕目立つの嫌だぞ」
「まぁそこは、飲み込んでくれ」
「………」
「さっ、行くぞ」
♢
「すみません、サンドイッチを二つお願いします」
「は、はい。今すぐにお持ちいたします」
店員は、ソルトが王子だと気づいたのか少し震えている。
「大丈夫なのか?店員さん震えてたぞ」
「大丈夫だ、いつもこんな感じだ」
「いつもって……まぁいいけどさ」
「お。お待たせいたしました、銀貨二枚です」
「はい」
「あ、ありがとうございました」
「こちらこそ、ありがとうございます」
うわっ、今店員さんに向かって、きれいな笑顔で微笑みかけてたぞ。
「あっ……」
あっ……、惚れたな。
「女たらしめ」
「ん?何かいったか」
「別に」
「あっ、あそこで食べよう」
ソルトが、ベンチを指した。
「わかった」
「それにしても美味しそうなサンドイッチだな」
「そのサンドイッチ嘔吐でも人気があるんだぞ」
「そうなのか、では、いただきます」
僕は、サンドイッチを口いっぱいに頬張った。
「くー、やっぱ朝はパンだよな」
僕は断然朝は、パン派である。
「あっ、あれ、ソルト殿下じゃない」
「ソルト殿下だ、おーい、……あっ今、手振り返してくれたぞ」
「あれ、隣りにいる人だれだ?」
「やっぱり、ソルト殿下って六歳なのにかっこいいなぁ」
「隣りにいる人もかっこよくない?」
「ソルト殿下ぁ、がんばってくださーい」
「すごいな、やっぱりお前人気なんだな」
「ありがたいことにね。さて、腹も膨れたことだし闘技場に行ってみよう」
「おう」
いよいよ、魔法とスキルを使う時が来たようだ。
♢
「おう、殿下じゃないか。何だ今日も剣の練習に来たのか?」
鍛錬場の前にいた騎士が、声をかけてきた。
「いや違うよ、今日は、魔法とスキルを使ってみようと思って来たんだ」
「そうか、そういえば殿下ももう六歳になったんでしたっけね」
「そうなんだ。だから闘技場を貸してもらえないだろうか」
「いいぜ、好きに使ってもらって」
「ありがとう。じゃあ、さっそく入ろう、オース」
「あぁ」
僕とソルトは闘技場に足を踏み入れた。
「じゃあ、さっそく魔法から使っていこう。まず魔法の使い方は知っているか?」
「いや、知らない」
「魔法は、その属性にあった詠唱を取り入れることで発動できる。例えば、炎だと『ファイア』水だと『ウォーター』。俺の雷魔法だと『エレクトロ』オースの光魔法だったら『サンシャイン』だったかな」
「そうなのか。サンシャイン……」
すると光魔法のイメージが湧いてきた。
「おぉ、なんとなくわかった気がする」
「そうか、ならさっそく使ってみよう。そういえば杖はあるか?」
「そうだった!」
僕は、ジャケットの中から木の棒の『変化の杖』を取り出した。
「おっ、変化の杖じゃないか」
「確か、魔力を込めるんだったな。どうやればいいかわからないが」
目を閉じ、とりあえず、魔力をイメージする。
魔力を杖に……。
「おぉっ、すごい」
目を開くと、木の棒ではなく、月のような色をしたきれいな杖と変化していた。
「きれいだ」
「もう使ってみよう!」
「そうだな、さっきイメージできた、光魔法の詠唱」
杖を握りしめ、詠唱を発する。
「『サンシャイン・アロー』!」
詠唱を呟いた瞬間、杖に魔力が吸い取られ、直後周りに、光の矢が十本でき、放たれた。
「おぉ、すごい。オースっ!……オース?」
「頭がくらくらする」
僕は地面に倒れ込んだ
「大丈夫か!?あっ、魔力切れか。最初はそうなるんだよな」
「そうなのか、すまん少し横になる」
「あぁ、次は俺がやる、そこで見てろ」
ソルトは、そう言いながら自分のポケットから杖を取り出した。
「ふぅ……『エレクトロ・ボルテージ』」
ソルトが呟くと、持っていた杖から黄色の電光が走った。
「あぁ、俺も頭が」
ソルトも俺の隣に倒れた。
「これはだめだな、十二歳いや試験は十一歳の時か、それまでにたくさん練習を積んで、魔力の器を大きくしないと」
ソルトが遠い目をして言った。
「あぁ、大変だなぁ」
僕はため息を吐いた
「まぁ、そうだな。――よしっそろそろ、落ち着いてきたし次はスキルを試してみよう」
「おう、僕は、確か『オート』ていうスキルだったな」
「『オート』かどんなことができるんだ?」
「そういえば、神が脳に刻んでおくって。あぁ、なんとなく浮かんできた」
頭にスキルのイメージが湧いてきた。
「スキル『オート』は、攻撃を自動で防ぐスキルらしい。防ぐ対象を選べるみたいだ、武器を選ぶと武器で防ぐ、腕を選ぶと腕で防ぐ、みたいな感じだな」
「うーん、なんとなくだが理解はできるな」
「そうだな、ソルト、一回木剣を僕に向かって振ってくれないか」
「おぉ、いいよ」
「スキル『オート』そして腕を防ぐ対象に。――よしっ、こい」
ソルトは、木剣を振り上げ、僕に向かって降ろしてきた。
すると僕の意識とは無関係に、腕が上がり、ソルトが振り下ろした木剣を止めてみせた。
「おぉすごい。普通に痛いが、勝手に動いてくれた」
「あぁ、見ていた」
「これは、使えそうなスキルだな」
「そうだな。次は俺のスキルだが『スキャン』というスキルだった」
「『スキャン』?」
「あぁ、どうやら相手の能力と弱点が分かるそうだ」
「おぉ、それまた強そうだな」
「オースに使ってみてもいいか?」
「あぁ、いいよ」
「スキル『スキャン』」
「どうだ?」
「オースの能力は……魔法は光属性、スキルはオート。弱点は……股間か」
「いや、男なら誰でもそうだろ」
「ははっ、まぁそうだろうな。それにしても一瞬で、相手のことが分かるとなると、色々便利かもしれないな」
「そうだな」
「さて、もう疲れたし王城に戻るか」
「そうだな、泊まっててもいいのか?」
「もちろんいいとも」
「ありがとう」
こうして、僕達は魔法とスキルを確認し、王城へと帰っていった。




