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怠惰な僕の転生〜公爵家待望の子供って期待されても困ります〜  作者: はやな
第一章 怠惰な僕の転生

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プロローグ

 平日の太陽が頂点に達しそうな頃、高階開智(たかしなかいち)は、きれいに整備された道路をぶらぶら歩いていた。


(やっぱり平日は人が少ないな)

 

 平日と言っても別に、開智は不登校というわけではない、ただ、振替休日なだけだ。


 少しだけ開智の説明をしよう。

 

 開智は、昔から「熱中」というものができなかった。

 

 勉強も運動も、人並みにはこなせる。


 しかし、人並み以上にはなろうとしなかった。


 なぜなら、しようとしても、怠けてしまうからだ。


 自身も「別にテストで平均点取れれば十分だろう」と考え、怠けて生きてきたのだ。


 しかしこうして一人でいると、やりたいことも、やるべきことも見えてこなくなる。


 そして、『何者かにならなくてはいけない』という考えが頭をよぎるたび、将来の不安が段々と積み上がっていった。


 そんなことを最近ずっと考えていた。

 

 そうして、悶々としていると、視界がぐらりと揺れた。頭がクラクラする。


(やばっ……、水分全然取ってなかったな、早く帰ろう)


 そうして焦って駆け出した、その瞬間だった。


 鼓膜を突き刺すタイヤの摩擦音が響き、鈍い衝撃が全身を突き抜けた。


 

 熱い。熱い。熱い。


 

 そして、意識は深い暗転へと沈んでいった。


 ♢


 次に意識が戻ってくると、真っ白な霧が視界を覆っていた。


 体は動かない。


 今どのような状態かわからない。

 

 すると、どこからか、声が響く。


『今までのように怠惰ではいられんぞ。……頑張って生きていくんじゃ』


 一瞬突き放したように聞こえたが、どこか慈悲深いようにも聞こえた。


 その言葉に応えようとした瞬間。


 意識が何処かに飛んでいったように感じた。


 ♢


「――お生まれになりましたよ、奥様!元気な男の子です!」


 意識の浮上と同時に、その言葉が耳を貫いた。


「オギャー、オギャー、オギャー!」


 自分が発せられているだろう泣き声が自身の耳に入ってきた。


 そして自分自身が何者かに優しく両手で包み込むように抱きあげられる。


 視界がぼやける中、その何者かを見定めようとした。


「ソシルナ、よくやってくれた……っ。ソフリーン家の……グスッ………待望の……後継ぎだ……ッ。グスッ……名は、オース。シルスに誓いを立てるもの……グスッ、ズビズビ、………『オース・ソフリーン』だ!」

 

 優しく抱き上げた男の瞳には、歓喜と希望が満ちていた。


 高階開智――いや、オース・ソフリーンは、自分が『転生』したことを理解した。


 そして、何者かが言っていた『怠惰ではいられんぞ』という言葉の意味を同時に理解した。


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