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第一章 風の祠にて
翌朝。
蝉の声とともに、澪は目を覚ました。
夢の中で、誰かが名前を呼んでいた気がする。
「——みお、みお……?」
いや、それは自分の名ではなかった。
もっと古く、もっと遠い“音”だった。
障子を開けると、神社の境内に朝の光が差していた。
蓮はすでに掃除を終えていて、手水舎の水面に影を落としている。
「また夜中に祠へ行ってたのか?」
「うん……ごめん。でも、あの声、放っておけなくて。」
「夢の中の話だろ。」
「たぶん、夢じゃない。」
澪の瞳が、どこか遠くを見ていた。
風が吹くたび、彼女の髪の間から、小さな鈴が鳴る。
——幼い頃に祠で見つかったとき、握っていた風鈴のかけら。
「ねえ、兄さん。あの夜、私がいなくなった理由、覚えてる?」
「……覚えてる。あの祠で見つかった。誰も知らない祠だ。」
「うん。でも、私、あそこに誰かがいた気がするの。」
「誰か?」
「……名前の、ない誰か。」
そのとき、境内の奥から再び“風”が鳴いた。
風鈴が揺れる。
どこかで、封印がまた、軋む音を立てていた。
なんか、こっちの方が楽しくなってきつつありますね。
代表作の方は少しお待ちを




