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宇宙蟻地獄  作者: 八味とうがらし
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宇宙蟻地獄 チームイエローの謎

 トリイが研究室の部屋を後にしてから3日後の早朝5時ミコト教授の自宅の玄関を叩く者がいた。ミコトの住まいは研究室のある出雲大学キャンパスを出て車で20分の人里離れた山の麓に建てられていた。山の麓の一軒家はちょっとした旅館のように大きかった。地下1階地上2階の大邸宅だった。

ドンドンドン

「教授。ミコト教授いらっしゃいますか」

「はい。いま出ます」

2人とも早朝にもかかわらず普段と変わらない態度だった。

「教授おはようございます。できましたよ教授からの頼まれもの」

「ありがとう。ありがとう。ささ入ってはいって」

教授は笑顔で訪問者を招き入れた。

「こんなに早く出来るなんってさすがゴングウジ君だな」

お世辞を言われても気にするそぶりも見せずにゴングウジは教授に言った。「早くコンピュータにこれをインストールしましょう。データが膨大なので読み込みに時間がかかると思います」

地下1階はスーパーコンピュータが配置され、ゴングウジの持ってきたシステムをインストールされようと静かに待っていた。

「ゴングウジ君コンピュータはすでに起動済みだ、いつでもインストールOKだよ」

ゴングウジは早速作業に取りかかった。このスーパーコンピュータをもってしても、ゴングウジが持ってきたシステムのインストールには30分を要する。「ゴングウジ君、上にあがってコーヒーでも飲みながら時間を待とう」

「はい、教授」

2人はコンピュータルームを出ると1階のリビングのソファーに腰掛けた。リビングといってもそこには宇宙生物学関連の本や資料地下のスーパーコンピュータと直結しているモニターなどおよそリビングと呼べるものでは無かった。教授の仕事場でもある出雲大学の研究室より、はるかに設備が整っているこの一軒家は教授の頭脳の一部と言っても差し支えない程だった。

「ゴングウジ君これで奴らの姿を捉える事ができる。ありがとう」

「教授お礼は早いですよ、未だどうなるかわかりませんからね!」

教授はゴングウジの指摘に笑みを浮かべながら、ゴングウジにコーヒーを渡した。

「そういえば先日宇宙科学雑誌のトリイ君と言うのが研究室を訪ねてきてね。いろいろ話をして・・・」

「あー噂は聞いたことありますよ。そのえーっとトリイさん。トリイさんは人受けがとても良く嫌いという人がいない。仕事柄ポイントのすぐそばにいつも居るのに、スクープが取れないと!」

ミコト教授は微笑みながらゴングウジに言った。

「ゴングウジ君、いくら知らないトリイ君の噂話とはいえ、私もトリイ君の事を気にいってるんだよ。あまりそうゆうのは言わない方が」

「すみません、教授。私の周りで結構話題となっているものなのでつい!」

「とは言え、トリイ君の噂もあながち間違いではないのかもしれないな、私の仮説を最後まで聞きもせず帰ってしまったんだからね。まぁ人間というものは人の事はわかっても自分の事はわからないものだよ。もっと自分の事もわかると人生スムーズになると思うのだが・・・」

「ところで教授はどうして、宇宙生物学を専攻されたんですか?」

「あぁそれは他の星の文明と仲良くなれると思ったからだよ。でも私達が向かった星々は全て生物はおろか生命すらいない。悲しくなったよ」

「・・・・・・・」

しばらく2人が話し込んでいると、コンピュータがインストール完了と併せて認識作業に入る事を知らせてきた。2人はゴングウジが以前ミコトに渡していたB惑星から持ち帰ったチームレッド、チームブルー、チームイエローの映像記録をスーパーコンピュータの新しい機能に取込んだ。チームレッドの映像記録を再生した。そこには以前観た同じ映像が映された。そしてミコト教授は再度チームレッドの映像記録を再生した。次に新しい機能を通した映像記録を再生した。

「ゴングウジ君これを観てくれ、逆円錐状のクレーターができる瞬間が再生されたぞ」

「これは・・・!」

「隕石の衝突とかではなく何か地下の中で高速に動いて逆円錐状の穴を作っていたんだ」

「他のチームの映像記録も観てみよう」

チームブルーの映像記録にも同じように解析された映像が写し出された。チームイエローの映像記録からは地下で高速に動く何かがチームイエローから遠ざかって行く何かが解析映像にあらわされた。

「これが教授の言われる奴らなんでしょうか?そしてなぜチームイエローだけ遠ざかって行くのでしょう?私たちだけなぜ助かったのでしょうか?」

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