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宇宙蟻地獄  作者: 八味とうがらし
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宇宙蟻地獄 惑星B

「いいかい、もう一度言う。今度は時系列に順序だてて言うからしっかり聞いてくれ。質問は最後にしてくれ途中での質問は聞かない。いいかな!」

「は、はい・・・」

「では、あれは今から3年と7ヶ月と13日前のB惑星での出来事だった。当時B惑星には惑星探査チームが3チーム派遣されていた。3チームにはそれぞれ別々の目的があり目標が設定されていた。チームレッドは資源探査と有益な資源の持ち帰り。チームブルーは大気の詳細観測と移住に必要な大気発生。そしてチームイエローはB惑星の生物調査とサンプル回収。各チームとも順調に目的行動をこなし、任務終了まであと半年となったところで事故が起きた。B惑星に数個の隕石が衝突したんだ。直ちにこの隕石の衝突は本星のオペレーションセンターに報告された。オペレーションセンターは全てのチームに当初の目的を一時中断し、隕石調査をするよう指示した。レッド、ブルー、イエロー各チームとも隕石衝突地点に向かった。各チームからのリポートはこうだった」

「直形50cm、逆円錐状の穴が空いている穴の深さは30cm」

「きょ教授それって」

「トリイ君さっき言っただろ!質問は最後にしてくれ」

「あっ。すみません」

「穴の中を調査したが、衝突箇所からは何もでてこなかった。各チームは残された時間を惜しむかのように元々の目的調査に戻って行った。ここで事故が起こったんだ!チームレッド、チームブルー、チームイエローの内チームイエロー以外のチームレッドとチームブルーが突然消息を絶った。すぐさまチームイエローは各チームが消息を絶った地点に向かったがそこには直形10mもある大きな逆円錐状の穴が空いていたと報告があり、そこにはチームレッドもチームブルーも跡形もなく消滅してしまったと報告されている。当時の見解はこうだった。

(観測不明の隕石が不幸にも奇跡的にチームレッドとチームブルーに衝突した。)だった。その時チームレッドとチームブルーからの最後の通信映像が記録されていたが、当時あまりにも一瞬の出来事だったようで映像から何も状況を判断できるものは出てこなかった。チームイエローは何とか帰還したが、皆一様に疲れ果て本星の重力に体を慣らす時間プラス心のケアに相当の時間を要した。彼らチームイエローが一般の生活に戻ったのは帰還して1年と23日後の事だった」

「あの〜すみません教授ひとつ聞いていいですか」

厳しい顔つきの教授ではあったが流石に自分ばかり話していても聞いている方も訳がわからなくなるだろうと思いトリイ君の質問に耳を傾けた。

「どうぞ」

「今のB惑星の話ってなぜ教授は知っていらっしゃるのですか?確か当時B惑星の事故原因は不明とされていて調査不可能との見解が出ていましたよね。我々は調査不可能って何だと言った怒りの内容の特集を組んで発売したんです」

「これにはチームイエローの存在が非常に大事なんだよ。チームイエローは15人で編成されていたんだ。そのチームリーダーが私の旧知のゴングウジくんだったんだよ。ゴングウジくんとはB惑星調査プロジェクトが始まる前から色々話をしていてね、ちょうどB惑星に向かう一週間前に会う事ができたんだよ。その時私はちょっとした悪戯をゴングウジくんにしていたんだよ。ゴングウジくんにも知られずにそっとしておいたんだよ。ゴングウジくんがB惑星から帰還して1年と4週間と3日後の事だった、ゴングウジくんから連絡がきてすぐに会う事になったんだよ。ゴングウジくんはすっかり元気を取り戻していて出発前と変わらずエネルギッシュだったよ。そこでB惑星での調査のことを聞いたんだよ。B惑星には生物の痕跡は一切見つからず、当初調査対象としていたエリアから、外のエリアへ調査対象をひろげていったそうだ。ちょうど調査がひと段落した時に隕石事件が起きたそうだ。その時のチームレッド、チームブルー、チームイエロー各チームの探索映像も併せて持ってきてくれたんだよ。後で見てもらうから。その話の中で隕石について、ある共通点が出てきたんだよ。先ほどからトリイ君が言っているように、最初50cm前後の逆円錐状クレーターができ、その後その近くで10m位の逆円錐状が起きる。これは誰もが気づくことだが、それともうひとつ極めて重要な事柄がB惑星に起きていたんだよ」

ミコト教授は話をしながらトリイ君にめずらしくコーヒーを差し出した。教授にとってこの行為は極めて珍しい行動なのだ。以前教授を訪ねてきた出雲大学の学長が2時間いたが一切の飲み物も出さず、ただ学長の話を聞いていた。その時の学長は、話の終盤に差し掛かる頃には喉がカラカラになり、声がかすれてしまい疲れた様子で教授の部屋を後にした。この話は教授を語る上で必須の物語の一つとなっていた。なので、トリイも教授のこの好意に驚きを隠せなかった。

「あ、ありがとうございます」

トリイはコーヒーに口をつけながら教授の動きを目でおった。教授はトリイを横目で見ながらニヤリとしただけだった。

「さてトリイ君!」

「あ、あの教授そのゴングウジさんは今どちらにいらっしゃるんでしょうか」

「ゴングウジくんなら休暇を利用して私の頼み事をしてくれているよ」

「えーっとどこまで話をしてたかな?」

「B惑星での重要な」

トリイの話を遮ってミコトは続きを話始めた。


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