宇宙蟻地獄 飛来
この宇宙蟻地獄は某出版社様の自費出版企画に出版に耐えあるものと判断いただいたものです。ただ自費となると先立つものがなく泣く泣く諦めているのです。
さて宇宙蟻地獄普段お寺の境内などにひっそりと円錐形の巣を作って蟻が落ちてくるのを待っているかわいい昆虫ですね。それが宇宙蟻地獄と言うなんだか創造してしまいます。
ぜひお時間頂いて宇宙蟻地獄の様を体験してください。
某出版社様もしも権利うんぬんとかあればご連絡くださいね!
未来は道がひらけ、全てが明らかになっている・・・はず。
今は、事柄が解決すると、またすぐ先に問題が発生する。
そんな世界の未来の話。
世の中は不治の病もなくなり、争い事もなく平穏な時を迎えてかなりの時が過ぎていた。
世界はすでに宇宙にも進出して、近隣の惑星ならば有人探索を終え、惑星開発を始めていた。そんな目覚ましい発展をしている最中の出来事。流れ星が多数地上各地に飛来落下した。
直ちに調査が始められたがそこからは何も見つからず、衝突した時に粉々になり砕け溶けてなくなったと判断された。
落下地点は半径1mにも満たない小さなクレーターの様な逆円錐状の穴が開いていただけであった。
早速ワイドショーのカメラが各地の逆円錐の穴を中継でリポートしていた。
「○○さん現地はどうなってますか」
「△△さん!ちょうど車のタイヤくらいの穴が一つ空いているだけです」
「深さも30cmくらいでしょうか!」
「ご近所の皆さんにも伺ってみます」
「隕石が落ちた時どうだったですか」
「自動車事故の時の様なドンという大きな音がしたんです。直ぐに行ってみたら煙が、ふわっと!」
「ありがとうございました」
「△△さんどうやら小さな隕石が上空で砕けて各地にちりばって溶け落ちたようですね」
「○○さん人家に落ちなくてよかったですね」
「とう言う訳で隕石も何もなく無事になくなったと言うことですね」
「続いてのトピックは・・・」
世間はすっかり隕石の飛来の事をわすれていた。
隕石が落ちて数ヶ月が過ぎたある日のことだった。
隕石が落ちた場所から数キロ離れた街の一角が半径5mの大きさで突然逆円錐状に陥没した。
この逆円錐状の穴に沢山の人々が吸い込まれた。直ちに救助隊が派遣され救出作業が行われた。おかしな事に被害を受けたくさんの人々は見つからなかった。また、建物などの構造物も発見できなかった。
「教授、ミコト教授」
出雲大学
宇宙生物研究室
ミコト教授とは宇宙生物の第一人者としてその世界では大変有名な研究者である。また別の意味でも教授の周りでは有名なのだ。
普段の教授はとても理屈ぽっく周りとのコミニュケーションがほぼ皆無といった状態だからだ。
「君は、宇宙科学雑誌のトリイ君」
「ちょっとお時間よろしいですか!」
「先日から各地で起きている逆円錐地盤陥没事故の事なんですが!」
ミコト教授の顔付きがいつもに増して厳しい顔つきになっていった。
「トリイ君そこを早く閉めて」
「・・・?」
そうトリイに研究室の戸を閉めさせると、トリイから声をかけたにもかかわらず、ミコトからトリイへ頭の中の言葉全てを吐き出すかのように話し始めた。
「トリイ君さっき君が言っていた逆円錐地盤陥没なんだがあれは事故ではない,
あれはある意味侵略の一つと確信している」
「・・・?」
「侵略!」
侵略とは一体どういう事なのか、トリイはミコトの言葉に今日話す内容が教授の言葉によって思いもよらないことになってきたと感じた。
「そう侵略だ。侵略と言っても文明が文明を征服するために行うものではない」
「4年前のB惑星で起きた不可解な事件と関連している。とは言っても一般には事故と発表されているが。」
「ミコト教授ちょっと待ってください、わたしには何のことなのかさっぱり・・・!」
「もう一度最初から説明していただけますか!と言うよりも今日伺ったのは先ほど廊下でお話をした、逆円錐陥没事故の事なんですよ」
「4年前のB惑星の事故なんて」
と言いつつもトリイはミコトが今しがた言った言葉に驚きとともにとんでもないスクープなのではないかと思い始めていた。
「わかったよトリイ君、では君がここにきた理由をまず話してくれ、その後今度は順を追って最初から説明しよう」
「分かりました。ミコト教授」
「今日ミコト教授の所に伺ったのは、先ほどから言っているように世界各地で起きている逆円錐地盤沈下についてなんです」
「ミコト教授の専門分野は宇宙生物学と知っていますが、この逆円錐地盤沈下の構造について宇宙生物学の分野からの見解を伺たくてやってきたんです」
「宇宙生物学の見解ねぇ。ククク」
「トリイ君。君の行動は間違っていないよ。もし宇宙地質学のところに行っていたら今から大変なことになっていたよ」
「いやこれから起こることを想像すると恐ろしくて逃げ出したいくらいだよ」
トリイはミコトの言葉に不安になりながらも的をいない話に少しイラつき始めていた。それを察したのかミコト教授は今度はすごく丁寧に教授が立てた仮説を話しはじめた。
「ただいま現地に到着しました。大きく陥没した地面に自動車や家、そして人が多数この穴に落ちた模様です」
「○○さん救助の方はどうなってますか?」
「△△さん。昨夜から夜を徹しての救助活動が行われているのですが、他の陥没事故同様何一つ穴からは見つかっていないんです!」
「○○さん。いま国が緊急会見を開くそうです。一旦切り替えますね」
「わかりまし・・」
「国の緊急会見って惑星探査機の地質調査機を導入して救助する発表でしたね」
「地質学にお詳しい多層地質学研究所の山野さんに来ていただいております。山野さん先ほどの国の会見どう見てましたか」
「早くこの調査機を導入すべきだったと思いますよ。ちょっと遅過ぎですね。でもこの調査機を使えば地層で起きていることが全てわかります。そして巻き込まれた皆様の救助にも一段のスピードが期待できます」
「えー○○さんさっきは途中できれてしまいました。○○さん。○○さん?回線がおかしいのかな」
数分後。
「ここで大変なお知らせをしなければなりません。」
テレビ中継のスタジオの出演者は全員顔面蒼白で司会者も手に持つ原稿を震わせながら声を振り絞るように伝えてきた。
「先ほどまで現地にてリポートしていた○○さんたちの現地リポートグループが・・・」
「・・・」
長い沈黙の後ようやく絞り出した言葉は。