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この世界で唯一空を飛べる男

国暦836年、我が国の蒸気文化の安定期。

その当時は大陸には3カ国しか存在しなかった。


自然が豊かな国

鉱石が豊かな国

そして我が国、水が豊富な国

今は存在していない魔法が存在し、生活の中に溶け込んでいた。


今でこそ無くなったけど人々の中には魔法を使うに必要な魔力が存在していた。

だけど道具がないと使えなかったの杖や腕輪だね。


けれどこの世界には道具すら使わずに魔法を使うことが出来た存在、マギアがいた。


マギアは特定の魔法なら道具を使わなくても使えたけど、一人一人使える魔法が違かった。


統一戦争で1番覚えなければいけない人物

ヴェルトライゼ

彼は唯一の_______


その男。国、世界を変えたヴェルトライゼは便利屋を営んでいた。

 太陽は真上に昇っているというのに高い建物が遮って、光が入らず薄暗い。

 薄暗い路地を走りながら小脇に抱えた猫は離せと言わんばかりに鳴いていて、足をジタバタと動かして暴れているが俺はこの猫を離す気は無い。

 なぜなら久々にきた仕事で、この猫を飼い主の元へ戻すだけで3ヶ月は働かずに生きていける金が入るのだ。

 そう猫を探して連れていくだけの簡単な仕事のはずだった。


 それが今はどうだ、5人の男に追いかけられている。しかも殺すなどという物騒な言葉付きで。

 依頼主の飼い猫を見つけたところまではよかった、広場で見つけて捕まえようとしたら素早く逃げられ追いかける。

 猫を追いかけた先で、剣や杖といった武器を持って店という店を襲う計画を立てていた集団に出くわしてしまった。

 男たちは俺が計画を聞いたと知るなり、殺しに来たのだ。


 そして俺は猫を抱えて逃げ切るため、薄暗い路地を走り続ける。

 だが、考えずに走っていたおかげで俺は曲がるべき道を間違えて行き止まりに出てしまった。


「終わりだな、行き止まりなら逃げられないな」

「悪いけど俺達のために死んでくれ、あの計画は俺達の生活を変えるためのものなんだよ」

「そんなの知るか!今日の予定はこの猫を依頼主に返して報酬貰って飯食いに行くんだよ!だから放っておいてくれ」


 開いた右手に魔力を集中させる。そして、近くに積まれている木箱を浮かばせては男達に向かって投げる。

 当てる気は最初からなかったので、木箱は近くの壁に当たって壊れる。


「お前……マギアか!でもこっちは数が多い、お前が勝てるわけないんだよ!!」


 3人が杖を構える。杖の先から火球が出てきて、俺を目掛けて一斉に撃ってくる。

 残りの2人は持っている剣を強く握って、俺を斬りかかりに来る。


 だが、剣は男の手を離れて空中に浮かび、火球は消失した。

 男達はそれに驚いて固まっていて、逃げる隙ができたので足を中心に魔力を巡らせる。そして一気に空へ飛び、男達の真上に立つ。


「な、なんで……あんなことできないだろ」

「空を飛べる操作魔法のマギアなんて聞いたことないぞ」

「左右で目の色が違う、空を飛べる、嘘だろ……あれは噂で」

「まさか、重力使い!?」


 マギアは魔法を使うとき、目が淡く光っているのが特徴だ。普通は左右で同じ色に光るが、俺は右が青く左が赤く光る。

 だから、人前で使うと俺の事をすぐ覚えられてしまいこんな風にすぐ誰か特定出来る。


「悪いけど俺はもう行くわ、殺されそうになるのは嫌いなんだよバーカ」


 若干25だか26、詳しい年齢は覚えてないがそのぐらい()()()

 育ての親代わりの男がそう言っていた。

 まだ若い。それなのに、ここで死ぬなんて真っ平だった。


 志願騎士でも、裏社会に生きてるわけでも、暗殺者でもないのに見ず知らずの男たちから殺されたいと思うほど、生きることに今は絶望していない。


 今日の日銭。三ヶ月分の金のために、全力で逃亡させてもらう。

 あばよ危険者ども。昼間に裏取引なんてするからこうなるんだ。


 なんて幼稚な罵倒を心の中で吐きかける。

 屋根の上を早く、軽く、素早く駆け抜ける。家や店の上を道代わりにさせてもらっていた。この魔法の利点は、高低差が理由で移動が難しいところを飛んだり移ったりして、なんということでしょうあっという間に道になる、誰よりも自由に動けるということだろう。


さてさて、そんなこんなで、トラブルに案内してくれた憎たらしい猫の飼い主まで後少し。依頼主の住む自宅がある、高級住宅街の特徴である白い建物が見えてきた。

事前に聞いていた住所の家を訪ね、この猫を渡せばわんわん泣いてしつこいぐらいのありがとうと、色がついた報酬金がもらえることだ。


「マリアンヌちゅわ〜ん!!まんまが不用心でごめんねぇ、今日からキッチンの窓は開けないからね。可愛いおててが汚れちゃいましたねーキレイキレイしましょうねー」

「お礼よりも猫ですか」


俺のことは眼中に入ってないどころか、そもそも存在してることに気づいていない。

もしもーし、お宅の猫を連れてきた恩人がまだいますよー、報酬金もらってませんよー。

なんて、一人と一匹の間に割り込む勇気などなく、一通りのじゃれあいが終わるのをそっぽ向いて待っている。


2、3分が経った頃にようやく俺という存在を思い出してもらい、それはそれは業務的にそっけなく礼を言われ、金貨銀貨が詰められた巾着を渡されドアを閉められた。まぁ、罵倒され値切られるよりマシか。


最悪な対応を受けたわけじゃない。金はもらえた。怪我はなかった。それだけで十分だった。



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