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ハッピ堂のプリンでクラスの皆を釣ろうとしたら大きな口を開けた王女まで釣れそうになりました

翌日、私は我が国が誇る?? ハッピ堂のアラモードプリンを餌?? に満を持してクラスに乗り込んだのだった。


いや違う。クラスに行く前の朝食の時間に、皆を待ち伏せしたのだ。


一番にやってきたのは寝ぼけ眼のテオドラとルフィナだった。


ラッキーだった。


既に、私には寝ぼけているノエルを強引にフラン呼びさせた実績がある。それにプラスして今日は最強のお菓子、ハッピ堂のプリンがあるのだ。


楽勝のはずだった。


「テオドラ、ルフィナ、おはよう」

私は元気よく声をかけたのだ。


「ふ、フランソワーズ様、お、おはようございます」

でも、二人は私を見て固まったんだけど。一杯噛んでいるし、これは良くない!


「何を緊張しているのよ! 私は平民のフランよ」

メラニーによると獲物に食らいつく野良猫のような眼光鋭く二人に言い切ったそうだ。


でも、野良猫って何よ、野良猫って、せめてピューマとか、ライオンにしてよって言ったら、その方が怖いけど、それで良いのかと真面目に聞かれたんだけど。

うーん、怖れられるのは心外だ。それでなくても帝国では化け物扱いされることも多いし。


「そんな恐れ多いです」

二人の反応がそんな感じなんだけど。ルフィナなんて震えているし。


これは本当にやばい。


私は最後の切り札を使うことにしたのだ。


「はい、テオドラ」

私はハッピ堂のプリンをテオドラの目の前に差し出したのだ。


「えっ、このマークはひょっとしてハッピ堂のプリンでは」

テオドラは予想通り食い付いて来たのだ。その目が血走っている。


ここだ。ここの対応が大切なのだ。


「そうよ。私はお友達のテオドラのためにわざわざ冷蔵させて送ってもらったのよ」

私は恩着せがましく言い切ったのだ。


「ありがとうございます」

テオドラが礼を言ってそのプリンを手に取ろうとした時だ。


「敬語は不要よ」

そう言うと私はさっと、プリンを遠ざけたのだ。


「えっ、でも」

「でもも、クソもないわよ。私は友達のテオドラのためにわざわざこのプリンをエルグランから取り寄せたのよ。普通友達に敬語なんか使わないでしょ」

「そんな事言われても」

「メラニー、私を呼んで」

「フラン」

面倒くさそうにメラニーが言うんだけど、その態度はどうかとは思うんだけど、ここは許そう、というか、今は許すしか無い。


「ほらね。エルグランの平民のメラニーはちゃんと呼び捨てでしょ」

「メラニー様は男爵家のご令嬢ですよね」

どこで調べてきたのか、ルフィナが言ってくれるんだけど。


「でも、男爵家の娘が普通は公爵家の令嬢を呼び捨てなんて出来ないわよ。ね、メラニー」

「そうなのよ。最初は面食らうでしょ。私も嫌だって言ったんだけど、フランはしつこいのよ。言い出したら聞かなくて。

フランて呼び捨てで呼ぶまでは自分の部屋に帰らないって私の寮の部屋で言い張るのよ。フランが居たら寝れないじゃない。仕方なしに、私は呼んだわよ」

メラニーが何か話をめちゃくちゃ盛っているんだけど。まあ、メラニーは転生仲間だから、まだ、なんとか私をフラン呼びしてくれたのだ。


その後ノエルは寝ぼけ眼に無理やりだし、アルマンは陛下の名前を出して脅したのだ。

本当にここまでするのは大変だった。


「このハッピ堂のプリン、本当に美味しいのよ。テオドラも私のことをフランって言ってくれるだけでいいのよ」

私は天使の笑み、メラニー言うには胡散臭さ満載で笑っていたそうだ。


「フラン様」

「フラン!」

「フランさん」

「もう一声」

私はプリンのカップをテオドラの目の前に差し出したのだ。


「ええい、もう、絶対に不敬だとか言いっこなしよ」

「大丈夫よ。そもそも今まで呼び捨てにしていたじゃない」

「本当に?」

「くどい」

「じゃあ、フラン、プリン頂戴」

「はい」

私はプリンをテオドラに渡した。


「有難う」

そう言うとテオドラは私からプリンをひっつかむと私に取り返させないように思いっきり握って、慌ててスプーンをカップの中に突っ込むや、一口食べたのだ。


「なにこれ、めちゃくちゃ美味しい」

テオドラは感激していた。


「この口の中でとろける感じがもう絶品なんだけど・・」

テオドラは天にも登るような笑顔で笑っていた。


「そんなに美味しいの?」

ルフィナが食い付いてきた。


「はい、ルフィナもフランって呼び捨てにして」

「でも、フランソワーズ様はエルグランの王太子殿下の婚約者なんでしょう。王太子殿下がなにか文句を仰るんじゃないの?」

「それはないわよ」

私は即座に否定した。


「そうよ。殿下はそう言う事は何もおっしゃられないわ。というか、エルグランのE組では大半の平民がフラン呼びしているんだから、大丈夫よ」

「そうそう、殿下はフランの機嫌取るために、俺達にもこのハッピ堂のプリンを買って来てくれて振る舞ってくれるくらいだから」

アルマンが援護してくれた。


「えっ、なんで殿下が婚約者の機嫌を取られるの?」

「そんなのフランの方が強いからに決まっているだろ」

「何言っているのよ。アドがピンク頭に抱きつかれて鼻の下伸ばしているからでしょ」

私が思わず口を挟んだ。


「ピンク頭って?」

「A組に留学している聖女様よ。殿下につきまとって大変だったのよ」

私が何も言っていないのに、勝手にメラニーらが話してくれるんだけど・・・・


「だろう。俺はそうだと思ったんだよ。あの図太そうな聖女様がフランのいじめなんて気にするわけもないよな」

いつの間にか横に来ていたガスペルがそう言うとルフィナの目の前のプリンをさっと掠め取って食べだしたんだけど・・・・


「ちょっと! それ私の」

ルフィナが言った時にはすでにガスペルが食べだしていた。


「フランって呼び捨てにしたら良いんだよね」

「酷い、私がもらおうとしたのに」

「ルフィナも大丈夫よ。クラス全員の分はあるから」

「有難う、フラン」

ルフィナは次取られたら嫌だと、即座に呼び捨てて言ってくれたのだ。


こうやって平民の皆を全員制覇したんだけど、貴族の方はなかなかうまくいかなかった。


皆、頑なに拒否するのだ。


やはり骨の髄までそう言うところはプライドの塊のルートンの貴族なのだ。歴史の浅いエルグランの貴族のメラニーとかはすぐに呼び捨てで呼んでくれたのに・・・・。


仕方がないからフランさんで許してあげようとした時だ。


「ああああ! フラン、何美味しいもの食べているの」

そこに何故か泣き虫王女がやって来たのだ。


「そ、それはひょっとして門外不出のハッピ堂のプリンなのでは」

何故か王女が目の色を変えて食い付いてきたんだけど。


「あんたの分はないわよ」

私は冷たく言った。


「そんな、酷いじゃない。いつもあんたのせいでイザベラに怒られているのに」

「何言っているのよ。あんたのせいで私がフェリシー先生に怒られているのよ」

「よく言うわね。先日は私のディオにちょっかいをかけていたじゃない」

「いつ私があんたの婚約者に手を出したのよ。ピンク頭と一緒にしないでよ」

「何言っているのよ。ディオの口に手をあてていたじゃない」

「あれはディオが私の正体をバラそうとしたから黙らせていたのよ」

「黙らせるにしても口に触ることないでしょ」

私達の言い合いをはじめは呆れてメラニーらは見ていたんだけど、いつの間にかいなくなって・・・・


「フランソワーズさん。食堂で騒ぐとは何事ですか!」

「殿下、食事時くらいお静かに食べられないのですか?」

そこにはいつの間にかフェリシー先生とイザベラ先生がいたのだった。


ちょっとメラニー、気付いたんなら逃げる前に私に教えなさいよ!





今日もフランの朝は先生のお小言から始まってしまいました・・・・

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