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先生に怒られたけれど、魔道具工房の息子と友だちになって魔道剣を貸してもらえました

「フェリシー先生、その時間はあなたも他の授業が入っているのではございませんこと?」

王女の礼儀作法の先生のイザベル・サマランカ先生が口出ししてくれた。


「いや、しかし」

「エルグラン王国にはエルグラン王国のやり方があるように、ルートン王国ではルートン王国のやり方があるのです。先生もフランソワーズさんも今はルートン王国王立学園にいらっしゃるのです。ルートン王国の流儀に従って頂きましょう」

「まあ、それは・・・・」

フェリシー先生もイザベル先生には反論できなかったみたいだった。私はイザベル先生の言葉にほっとしたのだった。



何とか、解放されて私はホッとした。もう六時間目の授業も終わるころだ。


お昼も食べられなかった。

まあ、五時間目の礼儀作法の授業はその先生二人に怒られていたから無かったのだが。



「フラン、お前凄いんだな。素振りだけで訓練場を壊すなんて」

教室に帰ると隣の席の男がいきなり声をかけてきた。


たしか、名前はガス何とかだったと思う。


「俺はガスペル・タラガ、家は魔道具の工房をやっているんだ」

「えっ、あなたの所、魔道具作っているの? ひょっとして魔道剣とか作っている」

「ああ、うちのタラガの魔道剣は王都内でも有名なんだぜ」

「嘘ーーーー。本当に? 魔道剣ってどんな感じなの? ライトセーバーみたいにプシューっていって光の剣が出るの?」

「ライトセーバーってのが何かは判らないけれど、見てみるか」

「見たい見たい」

私が喜んで言うと、ガスペルは中庭で待ってろって言って魔道剣を取りに行ってくれた。


「ちょっとフラン。絶対に魔道剣を壊さないでよ」

メラニーが注意してきた。


「判っているわよ。一寸触るだけよ」

「それでなくても訓練場一つ壊したところなんだから」

「だってあれはモンソン先生が真剣にやれって言ったから仕方がないじゃない」

「真剣に振るバカがどこに居るのよ!」

「だから少しだけよ」

「ソニックブレードにならない程度にすればよかったでしょ」

「うーん、ちょっと出ちゃったのよね」

「ちょっとじゃないわよ。ちょっとじゃ」

メラニーに言われるし、アルマンとオーレリアンの視線が冷たいんだけど。


「フラン、これだよ」

ガスペルが部屋に置いていたらしい、魔道剣を持ってきてくれた。


「本当だ。やっぱりライトセーバーみたい」

銀色の形は本物そっくりだった。


「ちょっと出しても良い」

「ちょっとフラン待ちなさいよ」

「大丈夫よ。障壁張るから」

私は周りに障壁を張った。


「えっ、そんなのも出来るのか」

障壁を張ったことにガスペルは感動していってくれた。


「ま、これくらいはね」

私は得意げに言う。

何しろ危険なので訓練場以外でやる時は障壁で囲ってからやるのだ。いつもやっているからこんなのは楽勝だった。


「さっきもやればよかったのに」

「・・・・」

メラニーつぶやきの言葉を私は無視した。


忘れていたのよ!


そう言ったら絶対にまた怒られるから言わないけれど


「このボタン押すの?」

「そう。いきなり出るから気をつけて」


私は言われたように押してみた。


ビューーーーン


音がして黄色の光の剣が現れる。


「凄い。本当のライトセーバーみたい」

私は感動していた。

軽く振ってみる。


ビュン


と風切り音がする。


うそ、この魔導剣でも、ソニックブレードが出来るみたい。


私はウキウキした。本当のスター・ウォーズの世界に入ったみたいだった。


フォースが何かは知らないけれど、魔術があるから、フォースの代わりはいくらでも出来るし、これ、めちゃくちゃかっこいい。


「アルマン、軽く撃ち合いやってみようよ」

私が提案した。


「えっ、本当か」

「ちょっとあんた達、止めなさいよ」

メラニーが止めようとするが、


「大丈夫よ。私の障壁はドラゴンでも破れないんだから」

「あんたはドラゴン以上でしょ」

「なにそれ、酷い言われよう」

私はぶーたれたが、

「事実じゃない」

そう言うメラニーに誰一人反論してくれないんだけど。

オーレリアンなんて頷いているし。こいつ、今度何か別のことでアドにチクってやろう。私は決意したのだ。「虐められた」って言っても「それは逆だろう」ってあいつなら言いかねないし、「セクハラされた」は下手したらオーレリアンがアドに殺されかねないし、「言うことを聞いてくれない」は「フランが無茶言い過ぎだ」って言われかねない。うーん、なかなか難しい・・・・。



「じゃあ軽くな」

私が馬鹿なことを考えている間にアルマンもガスペルから借りて軽く振っていた。


「フラン、あんたは反撃しちゃだめよ」

「そ、そんな」

「あなた、今度やったら絶対に礼儀作法の授業3倍よ」

「な、なんでその話知っているのよ」

怒られる席にはいてくれなかったくせに・・・・。


メラニーには適当に頷いてるうちに、アルマンが私に打ち掛かってきた。


ガキッ


と私が受ける。普通の剣と同じ感覚だ。


「もういっちょ行くぞ」

アルマンが何回か打ち込んできて私が受ける。


「じゃ、私も行くわよ」

「えっ、ちょっと待て」

「止めなさいよ、フラン」

その二人を無視して私は上段から打ち込んだ。


何故かアルマンが横っ飛びに避けるんだけど、


そのままソニックブレードになった剣の衝撃波が私の障壁に激突、


「あれっ」

完全に受け切れずに一部が飛び出した。


その先の木に当って大きな枝が一本落ちてきたのだ。


なんとか、それだけで被害は済んだみたいだ。


「証拠隠滅」

私は叫ぶと炎の魔術で大きな枝を落ちるまでに燃やし尽くしたのだ。


「あ、あんたね」

メラニーが叫ぼうとしてもう首を振っていた。


「フラン、『証拠隠滅』って慣れ過ぎだろう」

私のとっさの反応にアルマンが呆れていった。


「証拠さえ残さなければ大丈夫よ」

「どこがよ。大きな枝がなくなったから中庭が二階の廊下からよく見えるようになったんだけど」

「そんなのみんなすぐに忘れるって」

私はしらっと言い切る。


そう、王宮でヴァンと練習していたときもよく失敗しては燃やしていたのだ。


流石に王妃様の大切にしていたバラの花を燃やしたときにはバレてめちゃくちゃ怒られたけれど。


後でメラニーに告ったら、本当に白い目で見られた。


「本当にフランって凄いんだな」

ガスペルは感激していってくれた。

「ええ、まあ」

私は笑って誤魔化した。


「まあ、良いじゃない。少なくとも友達は一人はできたし」

メラニーらの白い視線を躱しながら、私は3人に言ったのだ。

少なくとも1人ガスペルは友だちになってくれたはずだし。


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