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剣術の授業でいけ好かない貴族の先生が本気でやれと注意されたので少しだけ本気を出したらまた、訓練場が倒壊しました

その日はクラスでの簡単なホームルームがあって今後の時間割の説明があった。


礼儀作法の時間割とか、見たくもない授業のところは真っ黒に塗りつぶしたかったんだけど・・・・。

礼儀作法の授業が週に2コマもあるのが信じられなかった。


そして、この国ではなんと女性にも剣術の授業があるんだけど。


凄い! そこで魔道剣が使えるんだろうか? 私はとても楽しみになった。


周りを見回すとダークブラウンの髪の色の人が多い。シルビアとか王太子は銀髪だったが、それ以外はダークブラウンの髪の色が多いみたいだ。特に平民にそれが顕著に現れていた。


煩い貴族たちはほっておいて、私は平民の子らと仲良くしようと思ったのだ。


何しろ彼らは平民なのにこの学園に入れるということは、絶対に家が豪商か高位文官の子息かあるいは能力的に長けているかのどれかのはずだ。


まあ、この国は貴族至上主義なので高位文官に平民がなるわけはないし、豪商ならば親しくなれば我が公爵家の借財の減額に寄与してくれるかもしれないし、優秀な生徒なら親しくなっておいて損はない。私の友人が増えるし、我が家にとってもプラスになるし、私にとって一挙両得なのだ。


私はホームルームが終わると早速声をかけようとしたのだが、


「すいません。ちょっと用があって」

眼の前の女の子には逃げられて


「あっ、俺も、先生に呼ばれていて」

「俺は部活が」

あっと言う間に平民の子らは蜘蛛の子を散らすように皆帰って行ったのだ。


「ええええ!」

調子が狂って私はがっかりした。


「そこの平民のあなた」

その私に食堂で声をかけてきた准男爵家のイネだったかが声をかけてきた。


「去ねだったっけ、何か用?」

私は親切にも無視せずに聞いてあげたのだ。


「誰が、帰れよ。私はイネスよ。王都で一番大きいアビネス洋裁店の長女よ」

女が胸を張って言ってくれた。


「服の押し売りは無理よ。うちはお金ないから」

私が言うと


「誰も平民の女からぼったくろうとは思ってもいないわよ」

ヒステリックにイネは言ってくれた。


「じゃあ、何のご用? 友達がいないのならばなんだったら友達になってあげようか」

そうだ、平民の子らはいなくなってしまったし、最悪だけど、こいつでもいいかと私は傲慢にも思ってしまったのだ。


「はああああ! 何言ってくれるのよ。いらないわよ。そんなの。平民の分際で准男爵家の私になんてことを言ってくれるのよ。いい気になるのもいい加減にしなさいよ」

イネはヒステリーを出して言い切るんだけど。


准男爵も平民も変わらないじゃない・・・・ここまで口に出たけれど、私はメラニーに怒られるといけないから飲み込んだ。


「そうなの? せっかく友だちになってあげようとしたのに」

「何言っているのよ。いつまでもそんな態度だと本当にこの学園にいられなくなるわよ」

イネはそう言うとさっさと帰ってしまった。


「うーん、全然ダメ」

私は首を振って後ろで待っていたメラニーに言った。


「あんた、今イネスと友だちになりたいなんてちっとも思っていなかったでしょ」

「そんな事無いわよ。一ミリくらいはなってあげてもいいかなって」

「そんなのでなれるわけ無いでしょ。エルグランならば貴族の子らはあんたが一言声掛けたら必死に言い寄るけど、ここはルートンなのよ。そもそもあなた平民だって言っているんだから、寄ってくるわけ無いでしょ」

呆れてメラニーが言ってくれるんだけど。


「まあ、そこはね。でも平民の子らとは仲良くなりたかったのに」

「なにそれ。あんたと親しくなったら平民の子らにとって自国の貴族たちに睨まれて大変じゃない。それは警戒するわよ」

メラニーの言葉に黙るしかなかった。


まあ、いざとなったら准男爵らを締めればいいだろう・・・・准男爵家の人達が聞いていたら怒り狂いそうなことを私は考えていた。




翌朝も、目ざとく平民の子らを見つけて声掛けるんだけど、皆必死に逃げていくんだけど、なんで!


そんなこんなで私はとても機嫌が悪かったのだ。


そんな時に剣術の時間になった。


「私はこの学園の剣術指南のバルドメロ・モンソンだ。今はモンソン准男爵家の当主をしている。海軍に入ってこの20年間、海賊退治に大いに活躍してきた。今回は見目だけ麗しい、エルグラン王国から4名の留学生が来ているが、学園長から面倒を見てやってくれと頼まれたからやむを得ず見てやるが、少しでもやる気のない態度をしたら、どこの誰であろうと即座に叩き出すからそのつもりでいろ」

モンソン先生は私を睨めつけるとそう言い切った。


私が公爵令嬢だとは知っているみたいだった。まあ、流石ヴァンらの情報統制はうまくやっているようだ。私としては生徒達にバレなければ問題はなかった。

まあ、この先生の言い方が気に入らないが。


「では平民のみんなは早速、素振りでもやってもらおうか」

私達は、クラスの平民のみんなとまず、素振りを命じられたのだ。


授業の時間中素振りをするそうだ。私は魔道剣を握れると思っていたので、がっかりした。


貴族の子らは女も含めて剣を構えて指導を受けているが、なんか、平民の子らは素振りだけだった。平民だけ差別されているみたいだ。


「おい、そこ、ちゃんとやれよ」

私をにらみつけてモンソン先生は言うんだけど。


私は陛下からも騎士団長からもくれぐれも本気を出すなと釘を刺されていた。


それは剣術においてもだ。


私が本気で素振りするとソニックブレードになってその先にあるものを触れなくても破壊してしまうのだ。


剣が届かなくても。


絶対に学園内で真剣に振るなって言われているんだけど。


当然私はいい加減にやるしか無いわけで、


「えいや、こらさっさ」

と変な掛け声とともに適当に振っていた。

私の前で素振りしていた女の子が私の掛け声に笑ってくれた。


「モンソン先生の前でこんな掛け声するなんて凄いわ」

その子が笑いながら小声で言ってくれた。


他の子らもこちらをほほえみ返してくれた。


私は少し嬉しくなった。


「えいやこらさっさ」

更に力を入れてやる。


「おい、フラン、ふざけるな」

アルマンらに小さい声で注意されたんだけど、でも、本気出したらこんなちゃちな練習場一瞬で吹っ飛んだら嫌だ。私が壊した練習場はまだ、片手のうちで済んでいるはずだ。


学園の練習場に、王都の我が家の練習場、それと王宮の騎士団の練習場、


「うん、まだ3っつしか壊してないじゃない」

「3っつも壊したのかよ」

アルマンが私の独り言に反応した。



「おい、お前らちゃんとやれよ」

威張った調子でセブリアンが注意してきやがった。


「あんたの剣の構えとおんなじよ。めっちゃへっぴり腰じゃない」

私はセブリアンに注意してやった。


「な、何だと」

セブリアンは私を睨みつけてきた。


「おい、そこ何をしている」

私達の様子がおかしいと思ったのかモンソン先生がこちらに来た。


「先生、そこの平民の生徒がいい加減に素振りしています」

言わなくていいのに、セブリアンが言いつけてくれたのだ。


「貴様、良い根性しているな」

むっとした剣術の先生バルドメロ・モンソンは私を睨みつけた。


「何故、思いっきり素振りをせん。貴様がエルグランでどのように扱われているか知らんが、私は身分で依怙贔屓をするような事はせん」

なんかモンソン先生が怒っているんだけど、まさか本気出して良いのかな。


でも、私はその瞬間に怒り狂ったフェリシー先生の顔を思い浮かべたのだ。


そうだ。ここは適当に誤魔化すしか無い。


私は模擬剣を構えると

「えいやっ」

いかにも、思いっきり振りました感満載で振ったのだ。


「あんたね。どうみてもいい加減に私はやってます感満載だったわよ。あれは」

後でメラニーに言われたんだけど、


「貴様。俺様の授業をコケにするのか」

モンソン先生は益々怒り狂ってきたんだけど。


「これ以上不真面目に受けるのならば、昼休みに皆の飯を食っている時間に補講をさせるぞ」

「ええええ! それって、ごはん抜きってこと?」

私は大いに慌てた。その後に礼儀作法の授業があるのだ。そんなのごはん抜きで受けたらまた絶対に叱られる。私はご飯が食べられなくなるショックと礼儀作法で怒られるダブルショックを受けていた。


まあ、良いだろう。やれって言ったのはモンソン先生だ。訓練場が壊れてもモンソン先生のせいに出来る・・・・浅はかにも私はそう思ってしまったのだ。

エルグラン王国の学園の訓練場を壊した時はやっていいといったベルタン先生だけでなく、私も一緒にフェリシー先生に怒られたのを忘れていたのだ。


それに今回は前みたいに全力でやるのではなくて、軽くだ。こんなのでは壊れないだろう。

私はエルグランの学園の訓練場が、私仕様に特別に厳重に作られていたのを知らなかったのだ。


私は模擬剣を構えた。


「みんな、伏せるのよ」

メラニーの悲鳴が響いた。

もう、メラニーったら大げさなんだから・・・・私はそう思って剣をエイヤッと少しだけ本気で振ったのだ。


私の言い訳をするなら決して全力で振ったわけではないのだ。


しかしだ、当然軽くても私が本気を出すと私の模擬剣はソニックブレードになるわけで、


ズッドーーーーン


大きな音と供に、先にある標的を一瞬で破壊。そのまま、障壁もろともフェンスを引っ張って大音響とともに、一気に訓練場の柱が中央に集まって倒壊した。


ドカーーーーン


凄まじい大音響がした。


皆は私がとっさに張った障壁で被害はないみたいだ。


その点は私はホッとした。


ても、音を聞きつけて警備の騎士や先生たちが大挙して飛んできたのだった。


ウッソーーーー、ちょっとだけ本気出しただけで何故こうなるのよ!


私は唖然として立ち尽くすしか無かったのだ。


フランの軽くは訓練場を破壊してしまいました。本気出したらどうなる?


続きは明朝更新予定です。

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