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港にいけ好かない王女が迎えに来ていたので、一言言ってやろうとしたら後ろに礼儀作法の先生が怒髪天で立っていました

海賊は殲滅された。船長を瞬時に退治された海賊の残党は直ちに降伏してきた。

傷だらけになって生き残っていたダミアンに文句を言わせながら次々に拘束させた。


10名ほどが大型船に乗り込んだみたいだったが、大半が拘束された。

可哀想なのは下の階層におりた海賊達で、1人はグレースの雷撃をもろに浴びて黒焦げに。1人はピンク頭に襲いかかって急所を思いっきり蹴られて昏倒。もう一人はフェリシー先生に襲いかかって燃やされてしまったのだ。


私は今回の手柄を全てダミアンの手柄にしてあげた。


「いや、しかし、そんなわけには」

ダミアンは必死に断ろうとしたが、

「あなた、女の私に逃げようとしたところを海賊船に投げ込まれたなんて言えないでしょ。私はその点も考えてあなたに功を譲ろうと思っているのに。皆に、その事実バラされたいの?」

そう半分脅して無理やり、認めさせたのだ。

でないと、せっかくまた一から平民のお友達を作ろうとしているのに、そんな事が明るみに出て英雄に祭り上げられたらまた平民のお友達を作れないではないか。


幸い、私の活躍を実際に見たのは船員と海賊たちだけだし。

フェリシー先生らは寝ていたから、騙すのも簡単だった。


そして、皆にとって大変な航海、私にとってはとっても楽しかった航海が終わり、カルタヘナの港が見えてきた。


「見て見て、メラニー。カルタヘナの港よ」

私は感激して言った。

全体的に黄色っぽい街だ。

後ろには山が見えており、王宮がその上に聳え立っていた。


「有難うございました。ダミアン様は私達の命の恩人ですわ」

ダミアンにグレースがしなだれかかっている。

ダミアンも鼻の下を伸ばしていた。


「あーーーーら、グレースったら早速英雄に媚を売っているの?」

私が嫌味を言ってやった。


「何言っているのよ。私は私達の命の恩人のダミアン様に感謝しているのよ。肝心な時に昼寝していたお馬鹿さんと違ってね」

グレースは私を馬鹿にしているが、ダミアンの顔は私を見て引きつっていた。

「ほら、ダミアン様が未だにあなたを怖れていらっしゃるじゃない。ダミアン様。フランのことはどうでもいいですから私と一緒に下船いたしましょう」

グレースが言うとダミアンにエスコートされてタラップに向かって歩いていった。


下では私達の歓迎と海賊を退治した英雄ダミアンを迎え入れる人達で大観衆が集まっていた。


「良かったの、フラン。海賊退治の英雄になれたのに」

メラニーが言うんだけど。

「もう別に英雄は良いわよ。私はキャプテンフランになって海賊退治が出来たからそれだけでいいのよ」

「キャプテンフランって何よ。何か前世のアニメのヒーローとか一杯ゴッチャ煮にしたようなものでしょ」

「失礼ね。キャプテンフランは正義の味方なのよ」

「はいはい」

「ハイは一回だけよ」

私がムッとしてメラニーに言う。

「それに今でも十分英雄だしね」

「まあ、英雄というよりも怪物だけどね」

酷いことをメラニーが言ってくれるんだけど。

「何よ、怪物って。今でもそう言われているのに、留学先でいきなり怪物扱いされたらやってられないわよ。今回もクラスのみんなを友達にするんだから」

私は意気込んで言ったのだ。


「まさか、あんたまた平民のフランソワーズで行くつもり?」

「当たり前でしょ。外務にもこの国にも徹底的に根周ししたんだから」

「あんたの根回しっていつも抜けているんじゃない。この前は王太子にその日のうちにバラされたし」

「今回はあいつもいないし、それに根回ししてくれたのが、ヴァンとジェドだから今回は完璧のはずよ」

「まあ、それだといいわね」

何か、メラニーの言葉が馬鹿にしたような響きがあるんだけど。


ダミアンに連れられてグレースが階段から降り出すと

「あっ、騎士のダミアン様だ」

「1人で海賊退治された英雄ダミアンたまだぞ」

「見て見てあの凛々しいお姿」

「異国の姫君をお守りした我らの騎士だ」

船の前では英雄ダミアンが大歓声に包まれていた。

それに応えて手を振るダミアン。

さらなる歓声が上がる。


そして、彼の先には銀髪で、赤く輝く瞳を持った美少女が立っていた。

「そこのあなた、私の騎士に何を媚を売っていらっしゃるの?」

一緒に手を振っていたグレースに文句を言ってきた。私は良い気味だと思った。何しろグレースは襲撃の間、吐いていただけだし。英雄と一緒にみんなに称賛されるのは間違いだろう。

少女に指摘されてダミアンは慌てて離れる。

しかし、グレースは即座にカーテシーをするや、

「これは王女殿下。お久しぶりでございます。エルグラン王国の留学生の代表グレース・ラクロワです」

「ラクロワ?」

そう言われて王女は後ろを振り返った。女性のお付きらしい年配の女性が

「ラクロワ公爵家のご令嬢です。姫様は5年前にお会いなされておりまする」

と、王女と言われた人に囁いているのが聞こえた。

「まあ、お久しぶりね。公爵令嬢。私の騎士があなた方をお助けできて、本当に良かったわ。あなた方の騎士は船酔いでダウンしていたんですって」

私は流石にその言葉にムッとしたが、事実なのだから何も言い返せなかった。


「まあ、王女殿下、あのどうしようもない、騎士どもは、後ろにおります、フランが連れてきた騎士ですわ」

グレースが私たちを指差して言ってくれた。

「おのれ」

モーリスがグレースを睨み付けるが、

「モーリス、船酔いで倒れ込んでいたのは事実でしょ! 文句は強くなってから言いなさい」

私が窘めた。本当にこいつら向こう意気は高いのに実力が全然伴っていない。文句は一人前になってから言ってほしかった。


「フラン?」

王女は私を遠目に見て、はっとしたようだった。

私は知り合いはいないはずだし、ここは平民、下手したら公爵令嬢とバレるのもまずいと思ってそのモーリスの陰に隠れようとした。でも、何か、あの赤目の銀髪には見覚えがあるような・・・・。



「ああああ!」

しかし、王女は私のそんな心遣いも全く無視して大声で叫んだのだ。

「えっ」

みんなが唖然としたことに、王女はそのまま私めがけて駆けてきたのだ。

な、何、この状況は?

私は驚いた。


「き、貴様は私とアドルフ様の仲を邪魔してくれた魔術怪獣フラゴンではないか」

王女が掴みかからんばかりに間近に来て叫んでくれたのだ。淑女もへったくれもなかった。魔術怪獣フラゴンって何だ?そう、私も思い出したのだ。


「お前は泣き虫妖怪シルヴィ」

そう昔、王宮でアドと私が少し面倒を見たことがあったのだ。何かやたらと私につっかかってきたという認識があったが、そうか、アドを狙っていたんだ。その時は私は全く判っていなかったのだ。


私達は掴み合わんばかりに睨み合った。


しかし、お互いにお目付け役がいる事をすっかり忘れていたのだ。

「フランソワーズさん!」

「シルビア殿下!」

そう、そこには怒髪天のフェリシー先生とシルビア王女の礼儀作法の先生が立っていたのだった。



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