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港町で早速ルートン王国の騎士を吹っ飛ばしました

私達留学生一行は王都から馬車で3日で国境の港町トゥーロンに着いた。


そして、ここトゥーロンの港からルートン王国の王都カルタヘナへは船で一路4日間だ。


ついてくるというアドをおいてくるのがまた大変だった。

年末の忙しい時に何故か我が家に入り浸って、年明け、トゥーロンまで行くというのを側近たちが大挙してやって来て、アドを拉致していってくれたのだ。


アドと分かれるのは悲しいけれど、私の青春がかかっているのだ。それに遠距離恋愛というのも嬉しいし。


「遠距離恋愛中に、殿下が他の女を作られなきゃ良いけど」

メラニーがぼそっととんでもないことを言ってくれたんだけど・・・・そう言えばアドは昔はよく女友達と遊んでいたなと嫌な過去を思い出していた。


うーん、置いてきて本当に良かったんだろうか?


一抹の不安が押し寄せてきた。


「まあ、でも、二人のスパイを王都に置いてきたんでしょ。あの二人が見ていたら大丈夫なんじゃない」

「二人のスパイ?」

「シルヴァン殿下とジェラルド様よ」

「ああ、あの子達ね」

私は納得した。まあ、何かあればあの二人が教えてくれるだろう。私は早速二人に手紙を書くことにしたのだ。


まあ、でも、置いてきた者のことよりも旅だ。


馬車の中でも、私は元気ハツラツだった。

海が見えた時なんて、大騒ぎしたのだ。

メラニーにはバカにされたが。


「だってメラニー海よ。海。前世の埼玉県からは海は見えなかったし」

「そらあそうかもしれないけれど、たかだか海にそこまで言う?」

もう、メラニーはいつも冷静すぎ・・・・


着いたトゥーロンのホテルは海沿いに建っていて部屋からも海が見えたのだ。


「うっそー、部屋から海が見える。夢みたい」

私が海を見てうっとりしていると、

「あなた、海見たことなかったの?」

メラニーに完全に馬鹿にされてしまった。


「だって、前世ではほとんど病院だったし、一度だけ親に連れて行ってもらった時、とても感激したのよね。どこまでもこの海が続いているんだと思うと本当に凄いと思うのよ。それに見ていて素晴らしいし。メラニーは海はよく見ていたの?」

「通勤電車の中からね。会社がお台場にあったから。毎日始発近い電車に乗って終電で帰っていたからほとんど寝ていたけれど」

「ふーん、そうなんだ」

私も寝たきりだったけれど、メラニーも大変な生活を送っていたみたいだ。


「じゃあメラニーももっと今世を楽しまないと」

「あんたみたいに馬鹿騒ぎは出来ないわよ」

せっかく誘ったのに、あっさりと言われてしまった。

海岸の砂浜で波と戯れたかったのに・・・・


言い出せずにうじうじしていた私を、その時、私の騎士たちが訓練に呼びに来たのだ。


そう、今回の留学でも、訓練を続けるために王都の館から騎士見習い達が20人もついてきていたのだ。

学園にいる時は、いつも土日にタウンハウスに帰って、2時間くらい私が見習い騎士に訓練を付けていたんだけど、まさか、留学先までさせられるとは思ってもいなかった。ジェドに替わってって言ったのに、姉上みたいに出来る訳無いでしょ、とあっさりと連れて行かされることになったのだ。

そのために現地で家まで用意したらしいんだけど、その金はどうしたんだろうって余計な心配しているんだけど。




カキンッ

私は一瞬で騎士の剣を弾き飛ばしていた。


「次」

「お願いします」

次の騎士は大上段に構えて斬り付けてきた。それをあっさりと躱して蹴飛ばす。


「グワッ」

そのまま、騎士は木の茂みに突っ込んでいった。


「次っ」

「お願いします」

斬りかかってきた騎士の剣を軽く受ける。2、3回、切り結ぶと篭手に打ち込んだ。

「ぎゃっ」

騎士が叫んで剣を取り落としていた。


「何だ何だ、女にやられて情けない騎士たちだな」

私たちは中庭を借りてやっていたのだが、そこへ通りかかった男がいちゃもんをつけてきたのだ。筋肉もある程度あって姿勢も綺麗だ。どちらかというとごろつきではなくて騎士らしい感じだ。しかし、我が国の人間ではないだろう。一応騎士たちの防具には我がルブラン家の紋章が入っているのだ。その紋を見て喧嘩を売ってくるのはラクロワ公爵家くらいだ。でも、その公爵家もまさか私がいるのに、喧嘩は売ってこないはずだ。


「何だと」

騎士見習い隊の隊長のモーリスが男を睨みつけた。


こいつは2年目で、剣筋は良いはずだ。


「ふんっ、そんな弱々しい女に簡単にやられてお前ら本当に騎士なのか。だからエルグランの騎士は見目が良いだけのお飾り騎士って言われるんだ」

「貴様、他国の者か」

「ああ、いけねえいけねえ、エルグランで、揉め事を起こすなって言われていたんだ」

男はそう言うと、去っていこうとした。


「ふんっ、そこまで言って逃げる気か」

モーリスは男を挑発した。


「なんだと、俺はルートンの騎士だ。弱腰と言われたらやらざるを得んな」

こちらに向かってきたその男にモーリスが模擬剣を投げた。いきなりこれから行く先のルートンの騎士と問題を起こすなんて、私はうんざりしたが、こうなっては見ているしかあるまい。



モーリスが剣を構えた。

相手の男は剣を構えたが、余裕を持っていた。こいつは結構出来る。私は即座に気がついた。まあ、他国の騎士とやるのも練習のうちだろう。と見逃したのが、間違いだった。


モーリスは大上段から斬り込んだが、あっさりと躱されて、思いっきり篭手に剣を叩きつけられたのだ。

「ギャッ」

モーリスは叩かれた腕を抑えて倒れ込んだ。下手したら腕を骨折させられたのかもしれない。


「あんた、何するのよ」

私はプッツン切れた。こいつわざとだ。練度の低い騎士見習いに怪我を負わせるなど言語道断だ。

私はいけ好かない男をにらみつけた。


「ほう、格好つけの姉ちゃん、やる気か」

男が挑発してきた。当然私としても売られた喧嘩は買うしかない。護衛の騎士が骨折させられたらそのお返しをするまでだ。しかし、モーリスもこんなチンピラ騎士にまでやられるなんて、本当にまだまだだ。鍛え直しだ。


「良くもモーリスにやってくれたわね。ルートンの騎士さん」

私は剣を構えた。


「ほう、少しはやるようだな」

男が見直したように言ってきた。


「少しどころじゃないわよ」

私はそう言うと思いっきり男に斬りかかったのだ。


ガキンッ


しかし、ちょっと力を入れすぎたみたいで、相手が私の剣を剣で受けようとした瞬間に、その剣を叩き斬っていたのだ。


ぎょっとした男にそのまま剣を叩きつける。


「ぎゃっ」

男は悲鳴を上げた。咄嗟に剣を横にしたから峰打ちなんだけど、男は吹っ飛んでいった。



ドシーーーーン

男は壁に叩きつけられて振動とともにホテルの建物が揺れた。

叩きつけられた男は跳ね返った地面でピクピクしている。


アチャーーー、少しやりすぎたなかな、死んでないよね?

私は少し焦った。

私の騎士たちも唖然としていた。


「フランソワーズさん!」

そこに聞きたくない、叱責の声が聞こえたのだ。

な、なんとそこにはいるはずのないフェリシー先生が怒髪天で立っていたのだった。



何故フェリシーがここにいる?

フランの苦難はここから始まります。

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