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国王夫妻と学園長らに留学を反対されました

「で、何。またあなたがいらないことを陛下に吹き込んだの?」

馬車の中で不機嫌、全開で私はアドを睨みつけた。


「なんで俺が陛下に言う必要があるんだ。言うならばちゃんと本人に言っているだろう」

アドが反論してくるけれど、

「それで埒があかないから、陛下に言ったんじゃないの」

「俺はそんなことはしないよ。お前に行くなって言ったって絶対に行くからな。それならば俺が行く方向で調整する」

「ふーん、どうだか」

こいつは自分のためなら平気で色んな事を悪巧みをやってくるれるのだ。実の父親を使うなんて平気でやりかねない。


「いや、あの、フラン、その反応はないんじゃない」

傷ついたようにアドが言うけれど、

「だって、婚約者のたっての希望くらい聞いてくれてもいいじゃない」

私がじとっとアドを見ると

「ああ、もうわかった。行きたければ行けばいいだろう」

アドは諦めたのか手を挙げて言ってくれた。


「有難う、アド。そう言ってくれると思っていたわ」

私は仕方がないからアドに抱きついてやった。


「フラン!」

アドが戸惑ったみたいだが、抱き返してきた。

これくらい、しておけば大丈夫だろう。本当に面倒くさい。


ゴホンゴホン


しかし、その時、外から騎士の咳払いの音がした。王宮に着いたみたいだった。




「本当に何時も仲良さげで、王国の未来も安泰でございますな。ただ騎士たちも独身の者が多いですので、時と場所をわきまえていただけると有難いのですが」

騎士団長に嫌味を言われながら、私は王家の応接室に案内されたのだ。


そこには国王夫妻と外務卿と学園長とフェリシー先生までがいるんだけど、何で?


「遅くになりました」

アドがあいさつする。

私も一緒に頭を下げた。


フェリシー先生の視線がきついんだけと何故?

ちゃんとカーテシーしなかったから?


「忙しいところ悪いの。学園長からいろいろ話があっての。何でも、職員会議でも問題になっているみたいで、当事者のフランソワーズ嬢を呼んだわけだが」

「えっ、私は最近は何もしておりませんが」

私は慌てて学園長を見た。


「いや、そうでは無くてだな……」

「はあ?」

陛下の歯切れが悪い。それに合わせて私も適当に頷いた。その返事が悪かったみたいで、フェリシー先生の視線が厳しいんだけど、ええええ! また、お叱り2時間コースか?

私は少し青くなった。


「フランソワーズ、あなた、ルートン王国への交換留学を希望したというのは本当なの?」

王妃様が直球で聞いて来た。そう、素直に聞いてほしい。遠回しに聞かれても私は判らないのだ。


「はい。申請しましたが、どういう点が問題なのでしょうか?」

「なんでも、フェリシーが言うには、まだ、王妃教育が途中なのに、国外に行くのはどうかと言うのよ」

「えっ、礼儀作法は確かにまだ及第点は頂いておりませんが、歴史の先生とか数学の先生からはもう十分だと言われておりますが」

私は思わず言ってしまった。確かにフェリシー先生の授業は補講も理由を付けてサボりがちだが、学園に入る前に歴史とか数学は及第点をもらっているのだ。後は学園の中でいろんな生徒と関係を培って磨いていってくださいと言われていたのだ。

まあ、先生方は貴族の令嬢と親交を深めろと言ったと思うのだが、私は平民の皆と親交を深めているので、その点では違っているかもしれないが、王妃になるのに平民の知り合いが多くても問題ないはずだ。何しろ彼らも未来の王国の中枢を担っていくのだから。


「でも、礼儀作法はまだまだでございます」

フェリシー先生が勝ち誇ったように言う。


「しかし、カミーユ・バイヤール先生には留学して他国の事を知るのも、未来の王妃としてはとても大切なことだと仰っていただきましたけれど」

「何ですって」

「あの歴史馬鹿なんてことを」

フェリシー先生と学園長のつぶやきが聞こえたんだけど。


「私が留学することに問題があるのでしょうか?」

私は純粋に聞いてみた。


「いや、1人で他国にやることに治安上の問題があると学園長が言うのだが」

「はいっ? 治安上の問題ですか? 」

「そうです。未来の王妃様をお一人で他国の王立学園に入れるとなるといろいろ問題がございましょう」

「何を仰っていらっしゃるのですか。過去、王女殿下のご留学の例もございます。それに1人ではなくて今回の交換留学では10名もの方が派遣されると聞いておりますわ」

私は言った。


「しかし、必ず10名でいるわけではございますまい。お一人になられる場合もあるかと」

「しかし、そもそもこの国の王立学園でも1人で行動しておりますが、何も問題はありませんが」

「いや、この国の王立学園は安全が確保されておりますが、他国ではそこまではいきますまい」

「いや、そもそも、この前は学園で襲われましたけど」

私の言葉に後ろにいた騎士団長がギクリとした。


「その時は誠に申し訳ありませんでした」

騎士団長が頭を下げる。

そう言えば騎士団長はまだスキンヘッドのままだった。


「ひょっとして、ダンベール、あなた、フランソワーズにその時の責任を取らされて頭を丸めたの」

いきなり王妃様がとんでもないこと言い出すんだけど。

「いえ、これは別件で」

「私が命じたわけではございません」

騎士団長の声と私の声が重なった。何しろ騎士団全員スキンヘッドなのだ。私に謝るために丸刈りしたのと私が命じたのは別だ。責任はそんな事言いだした第二王子に言って欲しい。


でも、何か王妃様の視線が怖いんだけど。


「しかし、陛下、私の身を気にかけていただくのは大変ありがたいのですが、私が襲われても撃退いたしますが」

「そうです。父上。フランにそんな心配をしたことはありません」

「フランソワーズ様ならば、ルートン国の一個師団でも殲滅できるかと」

何かアドと騎士団長にとんでもないことを言わているような気がするんだけど。


「いや、フランソワーズ嬢、彼らが気にしているのはだな、その点なのだ」

陛下が言われた。


「はい?」

私は何を気にしているのかよく判らなかったのだ。


「そう、あなたが暴れて、ルートンの王立学園を破壊したら大変でしょう」

何かフェリシー先生がとんでもないことを言うんだけど。


「先生、いくら私でもそんな事はしません」

「そんなの判らないではないですか。現にあなたは王立学園の誇る訓練施設の障壁を一撃で粉砕。王都の城壁まで壊したのですよ。城壁の外の森は未だに焼け野原だとか」

「そうだぞ、フランソワーズ君、君は我が国の誇る剣聖まで一撃で重症を負わしたというではないか」

フェリシー先生に続いて学園長まで言い出したんだけど。

ええええ! 皆そこなの。気にするのは?


何か横のアドが吹き出しているんだけど…… 

ムカついた私は思いっきりアドの脇腹を小突いていた。



果たしてフランは留学できるのか?

明朝更新予定です。

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