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陛下に呼ばれてまたしてもカレーが食べられませんでした

「フラン!」

魔術実技の授業が終わって、私は私を呼び止めようとしたベルタン先生を無視して、一目散に更衣室に向かったのだった。


「フラン、ベルタン先生を無視して良かったの?」

メラニーが聞いてくるんだけど、

「いいのよ。絶対にまた、留学に行くのを考え直せって言う件なんだから」

私は少し怒って言った。最近会うたびにベルタン先生は留学に行かないで欲しいって言って来るのだ。本当にうっとうしい。私が留学に行ってはいけない理由はないと思うんだけど・・・・。

アドといい、ベルタン先生といい本当に鬱陶しかった。


それに今日は待ちに待ったカレーの日なのだ。


この食堂のシェフが前夜から煮込んでいる自慢のカレー料理、雑誌にのるほど有名なのだ。しかし、過去二回も私は邪魔されて食べられなかったのだ。今日こそは絶対に食べるのだ。私は万全を期して食堂に向かった。


「なあ、フラン、ルートン王国って魔導剣って物があるそうだぞ」

食堂に向かって歩きながらアルマンが言ってきた。

「魔導剣? なにそれ」

私は聞いたこともなかった。

「ルートン王国はエルグランみたいに魔術使える人間は少ないんだけど、代わりに魔道具が発達しているのは知っているだろう」

「それは聞いた」

そう、でも、まだ詳しく調べてもいないのだ。また、弟のジェドに怒られそうだけど。


「その中の一つなんだ。剣の柄しかないのに、ボタン押すと剣自体が魔道具で作られるらしいんだ」

「スター・ウォーズのライトセーバーみたいなものよ」

アルマンの言葉に同じ転生仲間のメラニーがぼそっと言ってくれた。

「えっ、そうなの? あのライトセーバーがあるの」

私の目は輝いたと思う。スター・ウォーズは私のお気に入りの映画だった。入院していた子供たちがあのライトセーバーを模したちゃちな剣を持ってちゃんばらごっこをしていたのを覚えている。

でも、この世界ならばあんなおもちゃじゃなくて本当にプシューって剣が出るかもしれない。私は俄然それが欲しくなった。


「ライトセーバーってなんだ?」

前世を知らないアルマンが聞いてくるが。

「うーん、本に出ていた似たようなものよ」

メラニーが誤魔化してくれた。


「そうなんだ。俺もそんな剣があるならば見てみたいんだよな」

アルマンもなんか留学に傾いてきたみたいだ。皆で留学できたら良いのに。でも、クラス皆で行ったらそれは修学旅行になるではないか・・・・。



食堂に入るとそこはもう、カレーの香ばしい香りが漂っていた。


私は当然カレーを注文した。


そして、よそってもらうと、ルンルンの気分でいつもの席について

「頂きます」

将にスプーンをカレーライスの皿に突っ込んだその時だ。


「フラン!」

私は聞きたくない奴の声を聞いたのだ。


ええい、何故、今、ここに来る?


「なんか用?」

私はものすごく不機嫌に婚約者のアドを振り向いた。


「いや、陛下が呼んでいる」

さすがのアドも私の不機嫌さに身を引いたが、それでも嫌な一言を吐いてきたのだ。


「また、陛下なの?」

確か、前のカレーの時も陛下に呼ばれたのだ。陛下は何故、食事の前に私を呼ぶんだろうか? 私に恨みでもあるのか?


「行きたくない。せっかくのカレーなのよ。あんたに過去二回も邪魔されて、まだ食べたことないんだから」

「カレーくらい、また食べさせてやるから」

「そう言ってまだ、一度も食べさせてくれないじゃない!」

「いや、だから、次こそは必ず」

アドが必死に言ってくるんだけど。

陛下からの呼び出しなんて碌なことがない。絶対に留学の件だ。

なんでみんなで邪魔するのかな。私は前世で出来なかった青春をエンジョイしたいだけなのに。


「フラン、行ってくれば」

前の席のノエルが言ってくれた。


「でも、カレーが!」

「大丈夫よ。フランの分まで私が食べておいてあげるから」

私の未練たらしい視線の先のカレーのお皿がノエルによって取り上げられたのだ。

「ええええ! そ、そんな」

私は茫然としたが、

「このカレー、本当においしいわ」

ノエルが無情にも食べだしたのだ。

「まあ、フラン頑張って」

メラニーまで私に手を振ってくれてるんだけど・・・・

嫌がる私はアドに無理やり引っ張って行かれたのだ。




ここまで読んでいただいてありがとうございます。


いつになったらフランはカレーが食べられるのか?


並み居る皆の反対にフランは留学できるのか?


今夜更新予定です!



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