閑話 クラスの皆を公爵邸に招きました2 女風呂を覗かれたので男風呂の温度を上げました
皆を一通り、案内した後、各自お部屋に案内した。
基本は2名一室だ。
まあ、部屋なんて100室以上あるから空いてはいるんだが、人が少なくて掃除はしていないわ、水が出ないとか大変なのだ。
掃除とか修理やらでこの1週間本当に大変だった。こういう時にはアドにしてもヴァンにしても役立ってくれた。
部屋に入ってもらってゆっくりしてもらって、それから食事だ。
皆には我が公爵家のサッパーをじっくりと味わってもらおう。本当に良いのかと思いつつ、貴族が全て裕福とは限らないのだ・・・・
正装した皆が、食堂に集まってきた。
制服で良いって言ったのに、何故か皆ドレス着ている。オリーブとかも立派なドレス着ているけれど、聞くと、教会が迷惑かけたと作ってくれたそうだ。何か5年くらい前の流行遅れのドレスみたいだが・・・・
まあ、私の着ているドレス自体が、母のドレスを手直ししたものだから、まあ良いか?
「姉上。我が家の夕食の件は皆さんご存知なんですよね」
気にしてジェドが聞きに来たけれど、私はいかに公爵家が貧しいか、夕食を例に取りながら散々話したはずだ。それを違えるわけは無いはずだけど。何で皆正装なんだろう?
「夕食よね。私、お貴族様の家で夕食をごちそうになるの初めて」
ノエルが期待満々なんだけど。
「だから、うちはル・ブラン公爵家の夕食だからね。ノエルの家の方が良い夕食だって」
「またまた、そんな訳ないでしょ」
ノエルは期待感満載なんだけど・・・・
そこへ、クリストフ初め臨時給仕たちが、巨大なスープ皿を持ってきた。
「魔の森で取れた薬草スープでございます」
緑色の栄養満点のスープなのだ。
「えっ、これがスープ」
アルフなんて目が点だ。
「我が公爵領に隣接する魔の森に生えている、超高級な薬草を煎じて煮込んだものにございます。長寿になると言われている大変霊験あたかなスープです」
クリストフが自慢気に言うが、見た目はにがそうに見えるけれど、これは慣れるとクセになる味なのだ。魔の森の野営の時によく出される。でも、基本的に公爵領の横で取れるから費用は採取にかかる費用だけ。兵士が野宿する時は各自で集めて煮込むというとんでもない代物なのだ。
まあ、毒かどうかは徹底的に見分けの訓練をさせられるけど。
「さすが公爵家。長寿のスープなんて俺飲むの初めてだ」
バンジャマンが感心して言うけれど、これは絶対に取ってつけた嘘だ。そんなの初めて聞いた。薬草が入っているから体には良いと思うけれど・・・・。
「あっ、思ったほど苦くないわ」
「本当だ。普通に飲める」
ソレンヌとかイヴォンヌが言ってくれるけれど、そう、見た目ほど不味くはないのだ。
皆が飲み込んだ後に
「炊き込みご飯です」
クリストフが皆の前に披露する。
「えっ?」
皆唖然とする。
ご飯とグリーンピース、山菜(庭に生えている)を炊き込んだ、メインディッシュが出てきた。
「こちらはル・ブラン家、初代が始祖と供に統一戦において、戦の前に食べたと言われる由緒正しき料理でございます」
「なるほど、建国神話の時の食べ物というわけですか」
アルマンなど感心しているけれど、絶対に胡散臭い。金かけないための言い訳を適当に見つけ出して言っているに違いないと私は思うんだけど。
そして、続いてデザートなのだ。
「えっ、もうデザートなんだ」
「うそ」
ノエルとかは驚いている。
「だから言ったでしょ。うちは貧しいって」
「でも、公爵家なんでしょ。この国で2番めに偉い」
「二番目に金持ちなのはグレースのところよ。あそこの夕食は豪勢よ」
ノエルの問に私は応えた。
「文句は全部アドとヴァンに言ってよね」
私が言うと、
「いや、それは陛下に言ってくれ」
アドがあっさりと父親に振るんだけど。
「でも、殿下に給仕して頂けたなんて、一生の自慢できます」
ジャーキーが感激しているんだけど。あんた伯爵家令嬢じゃない。まあ、王宮でもアドが給仕することは絶対にない、と言うか初めてではないかと思うんだけど・・・・。確かに二度と無いかもしれない。
「でも、皆喜んで。デサートはドットケーキのケーキだから、好きなだけ食べてくれていいわよ。アドからの差し入れなの」
「殿下、いつもありがとうございます」
「本当だ。殿下には何度お菓子をごちそうになったことか。これは絶対に子供たちに自慢できるぞ」
ノエルとかバンジャマンは感激しているけれど。
「それ言うなら、フランと一緒のクラスメートだったんだから。それこそ一生自慢できるわよ」
メラニーが変なところでヨイショしてくれるんだけど。何か怪しい。
貧しい我が家のサッパーの後はお風呂タイムだ。
とりあえず、大浴場は男女用使えるようにしているので、お風呂は後で皆にはそっちに入ってもらうことにした。
ここは私の魔力が役立つ。
水にファイアーボールを突っ込んで一瞬でお湯にする。
巨大な露天風呂なのだ。
「凄い。フラン。滝まであるじゃない」
ノエルが感激しているんだけど。
そう、今日限定で、お風呂のお湯を循環させて滝まで作っているのだ。いつもは面倒くさいからやっていないけれど、今日は特別だ。
こんな広い大きな湯船はどこにもない、ル・ブラン公爵家特製なのだ。
私はゆっくりと大露天風呂に入った。
その時だ。
「おい、やっぱりフランの胸はあんまりないぞ」
耳の良い私は聞き捨てならない男子共の言葉を聞いた。柵の隙間から覗いているらしい。
「お、メラニーの乳はデカいぞ」
「フランの倍くらいあるかな」
アイツラな。このお湯を見ているのが誰か忘れているみたいだ。
私は男子風呂のお湯の温度を上げた。
「ぎゃああああ」
「熱い」
「死ぬーーーー」
男子風呂の温度が50度を超えて大騒ぎが起こっていたのだ。
ふん、ざまーみろだ!
その夜、女子は私の部屋に集まって夜通し騒いだのは言うまでもなかった。
ここまで読んで頂いてありがとうございます。続編今色々考えています。しばしお待ち下さい。
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