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陛下がクラスに参観に来て、私はみんなに誤解されてしまいました・・・・

そこで、予鈴がなったので、私たちは陛下に挨拶もそこそこに部屋を後にした。


「はい、これ」

別れしなに、アドが紙包みをくれた。


「えっ?」

「お腹空いているだろう」

アドが笑って言った。中身を開けると焼き菓子だった。


「ありがとう。でも、アドの分は?」

「俺は少し食っているからいいよ」

そう言うとアドは手を振って駆けていった。


「さすがアド、助かった」

私は慌てて食べるとすぐに教室に向かった。

でも、1年E組は遠いのだ。嫌がらせか何か知らないが、本館から離れて別棟になっているのだ。


私がクラスにたどり着いた時には、既に礼儀作法の先生のフェリシー女史が教壇に立っていた。


「フランソワーズさん。何ですか。いきなり遅れてきて」

フェリシー先生の叱責が響く。先生は時間に厳しいのだ。昔一秒遅れただけで1時間怒られた。


「すいません」

私が謝る。


「遅れてきた罰として廊下に立っていなさい」

「えっ」

私は慌てた。そんな、陛下に呼ばれただけなのに、ご飯も満足に食べてないのに、立つの?


「先生。フランソワさんは殿下に呼ばれていただけで、なにか重要なご用件があったのではないですか」

オーレリアンが余計なことを言ってくれる。そらあ、助けようとしてくれたのは判るけど、殿下と知り合いというのはみんなには忘れてほしいんだけど・・・・。バレたら仲良くなれないかもしれないじゃん。でも、もうバレバレのような気もするけど。陛下に呼ばれていたなんて皆に知れた日には絶対に皆に引かれる。そんな事になったら中等部とおんなじで、またボッチ生活だ。


そんなの高等部では嫌だ。


「たとえ殿下の御用と言えども授業時間を守るのは基本です。そのようなことで遅れるのは許されません」

フェリシー先生は厳しいのだ。


「はい、判りました」

私は素直に外に立っていることにした。

これ以上皆との関係が悪くなるのは嫌だ。それに先生に立たされたとなったら皆親近感もってくれるかもしれないし。



でも、私の涙ぐましい努力は次の瞬間のフェリシー先生の言葉でぶっ潰されていた。

「皆さん。この学園の規則は厳しいのです。たとえ、殿下の婚約者の公爵令嬢とはいえ、規則を破ったら罰せられるのは同じなのです」

みんなその言葉に唖然としていた。


「えっ、フランって公爵令嬢だったんだ」

アルマンの驚いた声が聞こえてきた。アルマンはさっきの私と殿下のやり取りを見ていなかったんだろう。


ガーン、フェリシーの奴、私が必死に隠していたのに、全部バラしてくれたじゃないか・・・・。

私の青春が・・・・・


私は今までの努力が水の泡と消え去るのを知った。


せっかく今世こそは青春をエンジョイしようとしていたのに・・・・



「皆さん。この学園は独立しています。たとえ国王陛下と言えども干渉することは出来ないのです」

フェリシーは御高説を延々と述べてくれていた。

でも、これは空きっ腹には堪える。アドにお菓子もらえてよかった。でなかったら今頃死んでいる。


と私が思った時だ。


「どうしたのだ。フランソワーズ嬢。こんなところで立っていて」

「えっ」


私は驚いた。そこには絶対に居るはずのない王宮に帰ったと思われた国王陛下が王妃殿下と近衛兵に守られてこちらに歩いてこられるところであった。


「フェリシー君。何故フランソワーズ嬢が立っているんだね」

一緒に居た学園長がフェリシー先生に食って掛かった。


「いえ、学園長。フランソワーズ嬢が授業に遅れてきたので」

慌ててフェリシー先生が言い訳する。


「それは済まなかった。ローランド男爵夫人。予鈴までフランソワーズ嬢を私が引き止めていたのだ。この教室がこんなに遠いとは知らなかったのだ。ここは私に免じてなんとかしてもらえないか」

「そ、そう言うことなら致し方ございません」

陛下にそう言われたらフェリシー先生もそうとしか言えないだろう。


でも、さっきの先生のお話とは違うような気がするんだけど。

私が戸惑っていると


「フランソワーズ嬢。何をしているのです。さっさと席に着きなさい」

「えっ、でも先生。今、たとえ国王陛下の仰ることでも聞かないっておっしゃっていたんじゃあ」

「フェリシー君。君はそんな事を子供たちに言っているのかね」

「いえ、あくまでも建前で」

フェリシー女史はしどろもどろだ。

いつも私を虐めているからだ。良い気味だと私は思ったのだが、あとで倍返しされるのをすっかり忘れていた・・・・


「しかし、陛下このような所まで何をされにいらっしゃったのですか」

「いやあ、フランソワーズ嬢が国のために色んな人と交流を持つためにEクラスに自ら進んで身をおいたと聞いての。それを見学に来たのだ」


ガーン

私は国王陛下の言葉を聞いて固まってしまった。


終わった。もう絶対に終わった。そんな事言っちゃダメじゃない。

私が自分がよく思われるために平民の皆と仲良くしようとしてるなんて言っちゃダメだ。


皆違うんだ。私は自分の前世の青春をエンジョイしたかったから、だから皆の中に入ったのに。

その陛下の言葉じゃあ、自分の立場をよくするためにこのクラスに入ったみたいじゃない。


もう絶対にみんな仲良くしてくれない・・・・


それからの皆の視線がやたら冷たかったように私には思えたのだ・・・・・





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