洞窟探検4 帝国教の教皇に鞭打たれました
お忙しい中、この話読んで頂いてありがとうございます。
私は真っ黒な闇に包まれていた。おどろおどろしい感じがする。まあ、私にとっては何でもないけれど・・・・。
そして、それはエレベーターに載ったような不快な浮遊感を私にもたらしたのだ。
転移か! 母に連れられて散々経験させられているので、慣れてはいるが、私は苦手だ。それよりは空を飛んで、今いる場所を確認しながら、移動したほうがましだ。最も私は飛行術もそんなに得意ではないけれど。今度ギャオちゃんに乗せてもらおう。
私は何気に思ったところで急激な眠気が襲ってきた。しまった、最近、この修学旅行が嬉しくて嬉しさのあまり、あまり寝れていなかったのだ。本当に寝不足だった。あまりに心地よい揺れに私は寝てしまったのだ。
どれくらい眠ったろうか。
「ああああ、よく寝た」
私は目を覚ました。
ここはどこだろう?
私が周りを見る。
なんか洞窟の中にいるようだった。
手が痛い?
私は手が縛られて天井から吊り下げられているのに気付いた。
「何だ、これは?」
私は手を振ってみた。
バキンっ
大きな音がして、拘束具が揺れる。
が、拘束具ははずれなかった。
「ようやくお目覚めかな」
どこかで聞いた声が聞こえた。
私の前には黒装束を着た男達が立っていた。その真中の男はどこかで見たことがある。
「あああ、お前は、帝国教の教祖か」
こいつは、この前王宮で、学園の幻のカレーを目前に呼び出されて、私が食べられなかった元凶だ。
「帝国教ではないし教祖でもないわ。ズンダーラ教の教皇だ」
何故か帝国教の教祖が怒り出したんだけど、どっちでも一緒でしょう。
私を捕まえた理由は何なんだろう?
取り敢えず私は話を聞くことにした。
「貴様、よくも私を辺境の地のエルグラン王国の男爵以下だと宣ってくれたな」
「えっ、そんな事で?」
私は教皇の言い分があまりにも馬鹿らしいので呆れ果ててしまった。これが宗教団体のトップの言うことか。
「事実じゃない。帝国教なんて領民の生き血を吸う、ダニ以下の存在よね」
「な、なんじゃと」
「何という、神をも恐れない小娘。」
「さすが破壊の魔女の娘じゃ」
私の当然と思う発言に教皇や周りの取り巻きは騒然としているんだけど、事実を言われたことがないの? こいつら。
「神、神、神って、神様の名前を都合良く使わないでほしいわ。あんたら神様の名前を使って金儲けしているだけじゃない。天罰が下るわよ」
「何を申す、小娘。我々は神に仕える敬虔な従僕なのじゃ」
「ふんっ、神に仕えるって言うならば、食生活から改善しなさい。聞いたけれど、めちゃくちゃ豪勢な食事をしているそうじゃない」
「何を申す、貴様ら貴族のほうが贅沢しているだろうが」
「何言っているのよ。私はクラスの牧師の子供に聞いたのよ。『お前の所の食事はうちよりも貧しいな』ってね。あんたら何食っているのよ」
私はムッとしていった。公爵家の食卓より立派ってそれも末端の牧師の子供がそう宣ったのだ。教皇が食べているものなんて王宮並みに違いない。誰の金で食べていると思っているのよ。
もっとも我が領地は帝国教は厳禁で一銭も払っていないけれど、・・・・
「そのような訳はなかろう」
「いえ、教皇猊下、フランのところの公爵家は貧乏なので、一般家庭よりも貧しい食生活です」
そこにベンが出てきていった。
「ベン、何故、あなたそこにいるのよ」
私は思わず叫んでいた。
「ごめん、フラン、許してくれ」
下を向いてベンが言う。
「ふーん、あなたがそこにいるのはホルム王国の意思というわけね」
「ホルムは関係ない」
「じゃあ何故あなたがそこにいるの?」
私はベンの言葉が信じられなかった。
「知らぬのか、小娘、この男は帝国の皇帝の息子なのだよ」
「えっ、皇帝の息子? でもベンはホルムの王子では」
私はよく判らなかった。
「あの、女好きの皇帝が無理やり、ホルムの王妃に迫ったのだ」
「な、何ですって」
私はあの母に頭を燃やされた皇帝が可哀想だと思っていた。でも、同情なんてしてやる必要はなかったのだ。あの皇帝を今度見たら、宦官にして二度と悪いことが出来ないようにしてあげてと母に言っておこうと私は決意した。
私も母と同じで軽い男は許せないのだ。
「という事は帝国はあんたらの味方ということね」
「帝国とこのズンダーラ教は一心同体だ」
「判ったわ。皇帝は母に面と向かって逆らえないから、あんたら帝国教の面々を使って私に嫌がらせをしてきたということね」
「何を言う、小娘。貴様は私の逆鱗に触れたのだ。ここで、じっくりと今からいたぶってやるわ」
なんか変態が言っている。
「姉さん、猊下に謝って」
「何言っているのよ。ベン。私が、世界の寄生虫に謝るわけないでしょう。何でゴキブリ以下の奴らに謝らなければならないの」
私は当然否定した。
「ゴキブリだと、小娘。今から貴様をそのゴキブリ以下の状態にしてやるわ」
教皇は憤怒の形相でムチを持ってコチラに近付いてきた。
「フラン姉さん。謝って。ここはズンダーラ教の嘆きの洞窟だよ。姉さんの魔術も使えないよ」
「ふんっ、たとえ、そこの変態に殺されても謝りはしないわ」
私は言い切った。そうだ。私は由緒正しい、ルブラン公爵家の令嬢なのだ。このようなエセ宗教のゴキブリ共に負けるわけにはいかないのだ。
「フンっ。小娘。貴様のやせ我慢がいつまで続くかな。ここは我が宗派の先祖の嘆きの洞窟。何万人もの信者の殉教の上に成り立っている我が宗派の聖地なのだ。たとえ破壊の魔女とて我が洞窟内では魔力は使えまい」
バシンっ
凄まじい音がして
変態教皇はそう言うとムチを振り上げて私目指して振り下ろしたのだ。
どうなるフランの運命やいかに?
明朝更新予定です。