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閑話 王妃のお茶会2 アドと食べさせ合いをしてしまいました

私はアドに端のテーブルの一角に連れて行かれたけれど、皆が何を話されているか気が気ではなかった。


母が私の方を指さして、何かノエルに言っている。

「あの子は本当にお転婆でね・・・・」

なんかろくなことを言っていないのが聞こえるんだけど。


「お嬢様が6歳のときにですね・・・・・・」

「嘘・・・・フランさんはそんな事をしたんですか」

アリスの声がところどころ聞こえて、ソレンヌの驚いた声が聞こえる。

なんか皆、こちらを見て笑っているんだけど。


「ちょっ、ちょっと、ま・・・・あん」

私が止めさせようとして立ち上がろうとした時だ。


ケーキをアドに口の中に放り込まれたんだけど。


「きゃっ」

女の子の一部がこちら見てなにか叫んでいる。


「ちょっと、アド、何するのよ」

「だって、せっかく二人きりなのに、外を向いているから」

飲み込んで言うと、アドが拗ねて言う。


「今は、アドよりも私の名誉よ」

私は言い切った。特に母と父とアリスだ。ちょっと待て、あそこには執事のクリストフまでいるではないか。バンジャマン相手になんか碌でもない事を言っている気がする。


「でも、君のお母様を止められるのか?」

「うーん」

たしかにそうだ。口止めしようとしたら面白がって更にあることないこと言いそうだ。それはクリストフにしてもアリスにしても同じだった。何しろ私の逸話など、両手どころではない。嫌ほどあるのだ。下手したら一晩じゃすまないだろう。


「まあ、フランは学園でもそんなに変わらないことをしているんだから」

「な、何言うのよ。学園では普通にしているわよ」

「普通にしていたらいつもと同じだろう」

「そ、うん」

それはどう言うつもりよと言う前にアドにケーキを放り込まれた。

たしかに、日頃と同じにしているから、私の逸話は多いかもしれないけれど。でも、それって、学園でも逸話を量産しているって言いたいわけ? 私はアドを睨みつけた。


そこへ陛下がいらっしゃった。


全員立って頭を下げる。

「今回はお招き頂きありがとうございます」

「ありがとうございます」

私に続いて皆唱和してくれた。



「いや、此度は招きに応じてくれて感謝する。では、皆の者、座ってくれ」

陛下の言葉に全員腰を降ろした。


「1年E組の諸君、クラス対抗戦、並びに期末テストでの素晴らしい活躍、おめでとうと私は言いたい。E組がこのそれぞれで1位を取ることは学園始まって以来のことであり、この学園を作り上げた我が祖先の始祖も、天国で喜んでおられるだろう。まあ、その中に、突飛なことをして、皆を驚かす天才の第一王子の婚約者もいるのだが、最初はE組でうまくやっていけるのかとても心配したのだ。しかし、天性のおおらかさというかよく言えば天真爛漫な性格が、今回はうまく回って皆の潤滑油としてクラスをまとめ上げてくれた。クラス対抗戦では、君たち一人ひとりが役割を把握し、必死に取り組んだ結果が、優勝という成果に結びついたのはその時に話したとおりだ。更に、期末テストにおいて、建国以来クラス平均点が最下位を独走していたのが、今回、初めて学年一位を取るという快挙を成し遂げたこと、特に学年一位を叩き出したバロー嬢の活躍は特筆に値する。が、それだけではない。平均点は皆が頑張らないといけないからだ。特に今回は赤点の取得者が1桁台だった点も素晴らしい。聞くところによると君たちは食事時間も惜しんで勉強したと言うではないか。

その勉強の成果だろう。そう、やれば出来るのだ。これを君たちは実証してくれた。

担任のベルタン君も個性派揃いのこのクラス担任は大変だったろう」


「いえいえ、そのようなことは」

担任が慌てて首を振る。そう言えば担任も来ていたんだ。と私は思い出していた。


「君たちの今回の活躍は学園に新たな歴史を作り出すと同時に、後輩たちに希望を与えるものだ。更には今後の益々の君たちの活躍を期待出来ると思ったのだ。ここには一応我が王国の優秀な人材を呼んである。色々聞いて、今後の君たちの進路の参考にしてくれたら有り難い。また、今日は王宮のシェフが腕によりをかけてお菓子を色々取り揃えてくれた。出来たら存分に楽しんで帰ってくれればと思う」

陛下の挨拶の後に全員で盛大な拍手をした。


皆心持ち赤くなっている。私もジンと来ていた。

陛下ご夫妻は順番に机を回っておられるようだ。


私は何かを仕掛けていたような気がしたが、目の前のケーキに目がいって忘れてしまった。


これはフォンダン・オ・ショコラだ。中からとろ~りとアツアツのチョコレートが流れ出すフォンダン・オ・ショコラだ。


私は早速一口食べだした。


「美味しい」

満面の笑みを浮かべていると思う。


「フラン、おれも一口」

横でアドが煩い。


「えええ、あんまりあげたくないんだけど」

言いながらフォークに突き刺すと、アドの口の中に入れる。


「ん、美味しいな」

アドも笑って言ってくれた。


「アド、そっちのタルト・タタンが欲しい」

とアドの手元のスイーツを頼む。


「はいはい」

アドはフォークに乗せてくれた。


「はい、あーん」

アドの言葉に大きく口を開ける。


アドが口の中にタルト・タタンを入れてくれた。

「うーん、このりんごが美味しいのよね」

私は幸せ一杯だった。


「ふっ、二人で何またやっているんですか」

「兄上はもう一人で食べられますよね」

「殿下。いくら婚約者とはいえ、すこし慎みが無いのではないですか」

気づいたら怒ったジェドとヴァン、それに父様が立っていた。


「いやあ、公爵、お久しぶりですね」

アドが笑って誤魔化している。そう言えばお父様は煩かったんだ。


「あなた、娘の恋路を邪魔すると娘に邪険にされますわよ」

「し、しかし、アンナ、フランはまだ16歳だ」

「ええええ、あなたそう言う事言われますか。16といえば私達も・・・・」

「いや、アンナ、まあ、あちらに」

お父様はなんか必死に誤魔化して無理やり母を連れて行ったんだけど、何なんだろう。


「僕らはお父様みたいに誤魔化されませんよ」

「そうです。兄・・・・・」


煩い二人の口の中に強引に残りのフォンダン・オ・ショコラを放り込んでやったのだ。

思わず黙る二人と、何かアドが怒っているんだけど・・・・


「ちょっと、フラン、婚約者の前で何やってくれているのかな」

「えっ、別に弟達に食べさせてもいいじゃん」

そう言うアドの口の中に、自分用においておいたフォンダン・オ・ショコラを仕方なしに入れた。


何も言えなくなったアドと、もう一口と話し出す弟たちとそれをやめろと口に物を入れながら話すアド。


もう食べてから言いなさいよ。


と思う私だった。


「凄い。攻略対象を完全に餌付けしているわ」

遠くでメラニーの独り言が聞こえたような気がしたけど、ま、いいかと思ってしまったのだった。


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