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【閑話】学園祭でたこ焼きをするためにクラーケンを退治しました

「学園祭の模擬店の屋台どうするんだ?」

模擬店係になったアルマンが聞いてきた。


「やっぱり食べ物屋じゃない?」

食いしん坊のノエルが提案した。

「まあ、食い物屋は当然だけど、何作る?」

「はいはいはい! 私たこ焼き食べたい」

私は手を上げたのだ。

昔大阪のおばちゃんがわざわざ大阪から持ってきてくれたたこ焼き器で焼いたたこ焼きを思い出したのだ。おばちゃんは関東ではまだ少ないけれど、大阪では屋台で普通に売っているって言ってくれたのだ。

そのとろけるような美味しさが屋台と聞いて思い出した。


「たこ焼きってなあに?」

ノエルが聞いてきた。

あれっ、この世界ではたこ焼きって無かったっけ?


私が小声でメラニーに聞くと

「聞いたことないわよ。そもそもタコがいないんじゃない」

と一言で言われてしまった。


「タコはこんな魚よ」

私が絵を書くと


「あんた、なんなの、それは? ふぐじやないんだから」

メラニーに馬鹿にされて

「じゃあ、あなたが書いてみいよ」

言われてメラニーが書いたタコのほうが余程タコらしかった。

悔しい!


「ああ、フランのよりも判りやすいわ」

ノエルも納得していた。


「でもこんなの見たことないぞ」

「そうよね。あんまり見たことがないわ」

みんなが言うんだけど、


「海に行けばいるんじゃないかな?」

私が言うと、


「ええええ! 海まで馬車でも3日はかかるわよ」

「そうね。でも、ギャオギャオならすぐに行けるんじゃないかな」

私の声に皆一瞬で身を引いてくれたんだけど……


「ええええ!ギャオギャオって古代竜じゃない」

「無理。わたし絶対に乗れないわ」

「俺も無理だ」

皆勝手に逃げようとする中、

「よし、選抜メンバーで行こう!」

私はそう決めたのだ。


「こちらはメラニーに任すとして」

そう、他の材料をメラニーに準備してもらわないといけない。タコだけではたこ焼きは出来ないのだ。

「俺も居残り班で」

前回古代竜に乗って死にそうになったオーレリアンが逃げようとしたが、


「何言っているのよ。考える人が一人くらいいるでしょ」

逃げようとするオーレリアンを私が強引に捕まえたのだ。


後は戦闘部隊のアルマンとバンジャマンの4人でこの土日に行くことにした。


嫌がるオーレリアンも連れて屋敷に帰ると、何故かそこに旅装を整えたアドが居たんだけど。


「えっ、どうしたの?」

「クラーケン退治に行くと聞いたんだ。そんなの、お前一人を行かす訳はないだろう」

アドが言いだした。


「ええええ! 別にクラーケン一匹くらい私一人で十分だし。それに私以外に3人もいるわよ」

私が言うと、後ろの二人は頷いたのだ。

一人だけアドと交代したそうなオーレリアンを見て、こいつが伝えたのかと白い目で見る。


「今回はクラス行事なんだからアドの助けは借りないわ」

私が言うと、


「何を言っている。倒したクラーケンの足、一本で手を打とう」

アドが交渉してきた。

「クラーケンの足一本でいいのね」

私は仕方がないから認めることにした。確かクラーケンは8本あるはずだ。


後でフェリシー先生に何かで文句を言われたら、全部アドに背負わせればいいと思ったのだ。


「俺はのりたくない……いや、だから降りたい……ギャーーーー」

オーレリアンの悲鳴を残して、私達はギャオギャオの背に乗って飛び立ったのだ。


空からの眺めは快適だった。


もっとも背に縛り付けたオーレリアンらはあっさりと気絶してしまったけれど。


私はギャオギャオの首の所に乗っていて、私にアドがしがみついているんだけど。


「アド、少しくっつきすぎなんじゃない」

私は文句を言ったが、

「仕方ないだろう。これ以上後ろに下がると落ちそうだし。それに婚約者だから良いだろう」

アドが言ってくれた。


そうくっつかれてそう囁かれると、普段はアドが婚約者であることなんか気にもしていないのに、後ろがとても気になった。

なんか背中にいるアドがとても熱く感じたのだ。



私は気をそらすために下を見ると

「あっ、海が見えてきた」

海を指さしたのだ。


「ギャオギャオ、クラーケンはいない?」

私が聞くと


「ギャオーーーー」

ギャオギャオが鳴くと、大きく翼を振って海の上に飛び出したのだ。

スピードをあげた。


「ギャっ」

なんかアドがそう悲鳴をあげて私に更にしがみついてきたんだけど。


「ちょっとアド」

振り向いて文句を言おうとしたが、アドは捕まっているだけで必死みたいだ。


「あれ?」

飛んでいるうちに私は海岸沿いに船がなにかに襲われているのが見えた。


よく見るとそれはクラーケンの足に絡みつかれている帆船だった。


「ギャンギャオ、あの帆船を助けて」

私が言うとギャオギャオは急降下してくれたのだ。


海の中からこちらに向けて触手が伸びてくる。


そして、海の上に海坊主みたいな本体が浮かび上がったのだ。


その瞬間だ。


「ギャオーーーーー」

ギャオギャオは叫ぶと一瞬で火炎放射したのだ。


ズドーン


と言う音とともに、それはクラーケンを直撃、本体は一瞬にして、消滅したのだ。


「えっ、ちょっと待って! 私のタコが!」

私の悲鳴が虚しく空に響いたのだ。



もっとも考えたらタコで必要なところは、足の部分だから本体はなくなっても、8本の足は残っていた。


帆船からはお礼を言われて、私達は岸にクラーケンの足を引き上げたのだ。


巨大な足はそんなにたくさんはいらないので、6本の足はギャオギャオにあげた。


そして、残っている足の一本を宝剣エクスカリバーを包丁代わりに適当な大きさの切り身に変えたのだ。


「おいおい、宝剣をそんなのに使って良いのか?」

意識を戻したアルマンに言われたが、フェリシー先生とかに見つからない限り問題はないだろう。


私達は切り取ったクラーケンの足を袋詰してアド用の一本はギャオギャオに持たせて、一路学園に帰ったのだ。



学園ではたこ焼きの形と材料を準備したメラニーらが待っていた。


早速作ってもらう。

まあ、作るのはメラニーらに任せておけばよいだろう。

メラニーはあっという間に料理してくれた。


出来たたこ焼きを私はまっさきに食べてみた。


「美味しい」

私は叫んでいた。

さすがメラニー、私が思い描いていたように完全に大阪のたこ焼きを再現していたのだ。


皆も早速食べだす。

「うまいよな」

「本当だ」

アルマンたちも喜んでくれた。


「おい、フラン、俺には」

後ろからアドが言ってくれた。


「ええええ! なんでアドにあげないといけないのよ。そもそもアドはクラーケン退治の時に私に抱きついているだけだったじゃない」

私が言うと


「まあ、さすが熱々ですな」

「本当に」

気絶していたアルマンとオーレリアンが言うんだけど、

「あんたらも気絶していただけでしょう」

私がムッとしていった。


「いや、普通古代竜の背に乗って大丈夫なのはフランだけだろう」

皆頷いている。

補私はムッとしたんだけど、

「それよりもフラン、俺も一つ」

「煩いわね」

私はそう言うとアドの口に一つ爪楊枝で取ると放り込んだのだ。

「あっ、あつすぎ!」

アドが悲鳴をあげる。

「えっ、ごめん、熱すぎた? 大変、水よ」

アドが叫ぶので慌てて水を飲ませた。

そのまま背中を叩いてあげる。


「大丈夫?」

心配して顔を見ると

「ああ、なんとか」

アドが言うのをきいて、ホッとした。

でも、ものすごくアドの整った顔が近かったのだ。

「えっ」

私は慌てて離れたが、


「ああああ、なんか、10月も終わるのに暑いな」

「本当だよな」

アルマンらが私とアドを見ていってくれるんだけど、単に食べさせただけじゃない!

私は思ったけれど、みんなの生暖かい視線は私達に突き刺さっていたのだった


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