表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

312/319

【つぎラノ2023ノミネート記念】アドが倒れたと聞いて王宮まで駆け通して、アドの胸の中で寝てしまいました

私はせっかく子爵たちを叩き潰そうとしたのに、エクちゃんを構えた私を見て慌てて動き出したアベラール男爵たちの前に、ほとんど何もやる事は無かった。


折角こんな遠くまで来たのに、私のした事といえば呪いの十字架を叩き壊しただけだった。


まあ、ジスランにはとても感謝されたけれど……


その翌日にはジェドらが遅れてやってきて、後始末をいろいろ始めてくれた。

後は帰るだけだ、と思った時だ。私は何かを忘れている気がしたのだ。


そう言えば、いつもは煩いアドがいないんだけど……


「ジェド、アドはどうしたの?」

変だ。絶対にいつもならもう着いているはずなのに……何も言わないで出て来たから怒っているんだろうか?

私は少し不安になって来た。


「ああ、殿下なら王宮の女官と仲良くやっていましたよ」

笑みを浮かべてジェドが言ってくれたんだけど。


何、それ。私は顔が引きつるのを自分でも思った。


「何言っているんですか。ジェラルド様。殿下はフラン様を追いかけようとして無理をして倒れられて……」

オーレリアンが途中で話していた口を押さえた。まずいことを言ったと顔に書いてあった。


「えっ」

アドが無理して倒れた……考えたらこの前の襲撃の傷がまだ完全に治っていなかったのかもしれない。私は青くなった。

「いや、フラン様。殿下からは大したことがないから黙っていろと……」

「姉上。あんなの全然大したことないよ」

ジェドが余計なことを言ってくれたが私は無視した。


「メラニー、後はお願いするわ」

私は立ち上がってメラニーに頼んだ。


「えっ、フラン、どうするのよ」

メラニーが慌てて聞いて来たが、後はメラニーらに任せておけば大丈夫だろう。


「帰るわ」

私はそう言うと駆けだしたのだ。

「フラン様!」

「ちょっとフラン、もう夜だから……」


そんなのは関係なかった。私が勝手に出て来たからアドはまた無理をしたのだ。病み上がりなのに……


私は自分自身の自分勝手さにムカついた。


せっかくアドの命が無事だったのだからもう少し自重すればよかった。


「ウォーーーー」

私は自分自身が許せなかった。

さらに加速する。


夜道もくそもなかった。


出来る限り人通りのない道を突き進んだつもりだ。

途中でなんか弾き飛ばした気もするが、あれは弾き飛ばしても大丈夫だと私の本能が言うので無視した。


後で聞いたところでは子爵領に駐屯しようとしてやってきた帝国軍を殲滅、村を襲おうとしていた山賊の大半を後ろから跳ね飛ばし、馬車を襲っていた夜盗団をこれまた壊滅させたそうだ。

夜盗団から逃げていた御者が見たのは、後ろから雄叫びをあげて飛んでくる金髪の化け物を見て夜盗団の一部が対処しようとしたそうだ。その一団をその化け物は一瞬で跳ね飛ばして慌てて逃げ去ろうとした残りの夜盗団も跳ね飛ばし、次は自分らだと青ざめていたら何もしないで駆け抜けていったそうだ。その時の恐怖が忘れられないとか言っていたとかいないとか……


それ以来、帝国軍や盗賊たちには、夜に雄叫びを上げて走ってくる山姥を見たら逃げろだとか、金髪の化け物伝説だとかの話が伝わって夜の襲撃が減ったんだとか……


私はそんな事は知らずにただひたすら走ったのだ。


そして、王宮の裏庭から潜入して、アドの部屋に突撃したのだ。


アドの部屋の扉はちょっと強く当たり過ぎたみたいで吹っ飛んだみたいだったが、それどころではなかった。


「アド!」

「フラン!」

そこには音に驚いて起き上がったアドがいたんだけど。


「良かった」

私はそのままアドに抱きついたのだ。流石に勢いは落ちていたと思う……


「どうしたんだフラン」

「倒れたって聞いたから心配で飛んで来た」

私がそう言ってアドを見上げると、


「どこから来たんだよ。本当に。大したことは無いのに。ちょっと無理しただけで」

「もう、無理しないで」

「フランがいきなり飛び出すからだろう」

むっとしてアドが言うので

「ごめん」

私は素直に謝った。

「えっ」

アドが驚いた顔をするんだけど。

「どうしたの?」

私が聞くと

「いや、フランが謝って来たと思って」

「私も悪いと思った時は謝るわよ」

私はそう言うとアドの胸にもたれた。

何か心地よい暖かさだ。

そう言えばずうーーーーっとかけ通しだった。


「アド、少しだけ寝ても良い?」

「ああ、いいよ、フラン」

アドが軽く背中を抱きしめてくれた。


私はアドに抱かれて、そのまま寝てしまったのだ。さすがの私も疲れ切っていた。

そのまま爆睡してしまったのだった。


後で王妃様やフェリシー先生からまた、延々と怒られることになるのだが、この時はアドの胸の中の心地よさを満喫していたのだった。

ここまで読んでいただいてありがとうございました。

一応、久々の甘々なふたりでした……少し違うような気もしますが……


さて、この書籍が上から5番目にノミネートされた【次にくるライトノベル大賞2023】の投票が本日12月6日の17時59分までです。

https://tsugirano.jp/


まだの方は是非とも投票して頂けたら嬉しいです!


下にリンク貼っています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
私のお話、ここまで読んで頂いてありがとうございます。

【コミックシーモアで電子書籍化】

『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど……』https://ncode.syosetu.com/n9991iq/


このお話がコミックシーモア様で電子書籍として先行配信中(シーモアへのリンク)https://www.cmoa.jp/title/1101429725

お義兄様とエリのダンジョン冒険の2万字の新規書下ろしとシーモア特典ss付
表紙画像

表紙画像
「次にくるライトノベル大賞2023」https://tsugirano.jp/
に皆様の応援のお陰でこの私の書籍がノミネートされました。
なんと上から5つ目に!

【この話が書籍化】

しました!
アルファポリスのレジーナブックスにて

『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』

全国1200以上の書店にて発売中です。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。

■アマゾンへのリンク


■楽天ブックスへのリンク


■hontoへのリンク


手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

つぎラノエントリー記念としてフランの子供時代の話書き出しました

新作

『小さいフランの大冒険『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません外伝』魔物も王子様も魔王だって怖くありません。でも、王妃様とマナーの先生は苦手かも……』

https://ncode.syosetu.com/n6598im/
私の

次の小説

はこちら!

『推しの悪役令嬢を応援していたら自分がヒロインでした』

https://ncode.syosetu.com/n2714ht/

前世でいじめられていたシルフィは、ゲームの中で悪役令嬢タチアナに助けられたのだ。そして、そのゲームの世界に転生したと知った時からタチアナの力になりたいと思っていた。ゲームでは悪役令嬢タチアナは婚約者に近づくヒロインを虐めて修道院送りになってしまうのだ。でも、いきなり入学式でタチアナと婚約者に会ってしまったシルフィは、ゲームの中でしか知られていないタチアナの恥ずかしい秘密をバラしてしまい、二人に驚かれてしまうのだ。そんな中、シルフィが面白いと上級生のアルに興味を持たれてしまい、大変なことになっていく。シルフィも知らない秘密もあってそれが判明した時にのっぴきならない状況に追いやられるシルフィのシンデレラ物語。
時計の鐘が12時を打つ時にシルフィの未来はどうなる?
今回もハッピーエンド目指して頑張ります!
私の最近

完結した小説

はこちら!

『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』

https://ncode.syosetu.com/n8311hq/

【新作】

始めました!

『聖女として召喚されたのに王宮を追放されて我儘貴公子の奴隷にされました。でも、いつの間にか溺愛されるシンデレラストーリー』https://ncode.syosetu.com/n6661in/

新作


『転生したら地味ダサ令嬢でしたが、助けてくれた王子様に恋してしまいました。』

https://ncode.syosetu.com/n9394ik/
前世病弱のヒロインが地味ダサ令嬢(平民)に転生して王子様に助けられて恋してしまう話です。身分差を持ち前のパワーで知らぬ間に弾き飛ばす物語になる予感が……

そのサイドストーリーがこちら


『転生したヒロインのはずなのに地味ダサ令嬢に脇役に追いやられてしまいました』

https://ncode.syosetu.com/n3874il/
実は地味ダサ令嬢の親友がヒロインでしたと言うお話です。地味ダサ令嬢の凄まじいばかりの行動力の前に翻弄されるヒロインのお話です 私の

一番の大作小説

はこちら!

『皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!』

https://ncode.syosetu.com/n8911gf/

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ