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【つぎラノ2023ノミネート記念】司祭の独り言 愚民どもを騙すのは簡単です

私は帝国教と呼ばれているズンダーラ教の司祭をしているアヒム・オドランだ。


ズンダーラ教は別名帝国教と呼ばれているように、帝国に本拠がある。そして、神を祀るのは仮の姿で本当の役目は帝国の侵略のための一組織でもあるのだ。まず我が帝国教が布教し、情報を集めてその情報を帝国に流し、その後帝国が侵略すると言うのがセオリーだ。


この国エルグランでも、着々と準備していたのだ。我々はこのあたりの大領主バリエ子爵に取り入り、帝国の協力者とするのに成功した。そして、今度は周りの領主に手を広げようとまず、アルベール男爵領に目を付けたのだ。

まず、領内の水源にわがズンダーラ教が開発した呪いのロザリオを沈めて疫病を蔓延させたのだ。

この水を飲み続けると高熱が出るのだ。

その高熱が出て苦しんでいるところに旅をしている司祭である私が登場するのだ。


その家では娘さんが高熱で苦しんでいた。


「おおおお、これは神の祟りです」

私が言うと

「何言っているんだ。神の祟りだとよ。いい加減なこと言うとぶっ殺すぞ」

その父親が怒ったが、

「まあ、あんた、ちょっと待って。司祭様。この子が助かるすべがありますか」

母親が私に縋ってくる。


「神に縋れば助かるかもしれません」

私が神妙に言うと

「はああああ! そんなんで疫病が治れば苦労なんかするものか」

男が叫ぶが、

「何したらいいんだい。娘が治るならば何でもするさ」

母親が言ってくれた。


「判りました。神に祈ってみましょう」

私はそう言うと両手を組んだ。

そして、娘の首から十字架のネックレスをかけて

「神よ。この娘を許し給え」

目を瞑って神に祈ったのだ。

母親は一緒に祈っていたが、父親は全く無視していた。


「私はやれるだけの事はやりました。神が聞き届けられれば娘子は治られるでしょう」

私は目を開けるとそう告げたのだ。

「てんでやんでーー。そんなので治ったら苦労は要らねえや」

「司祭様、有難うございます」

母親は一応お礼を言ってくれた。



翌朝訪ねると


「まあまあ、司祭様。良く来てくださいました」

母親が丁寧に迎えてくれたのだ。

「いかがですか」

「娘の熱も下がって元気になりました」

何と娘がもう起きあがっているではないか。


「ふんっ、たまたまさ」

「あんた!」

父親はまだだったが、母親は完全な信者になっていた。

でも、その顔が少し赤い。


「あのう、失礼ですが、少し熱があるのではないですか」

「えっ、いや、その」

「本当なのか母ちゃん」

男も慌てだした。


「これはいけません。すぐに横になって」

「はい」

母親は私の言うことを聞いて横になってくれた。

「神に祈りましょう」

私は母親にもロザリオを渡した。


「神よ。この母を許し給え」

私は祈るとその家を出たのだ。


翌日行くと母も元気になっていた。

しかし、今度は父親が高熱で倒れていたのだ。


「あんた、しっかりおしよ。司祭様。なんとかこの人を治して下さい」

母親が必死に頼んできたのだ。

「しかし、神を信じていただかないと」

私が言うと

「あんた。さっさと神様に謝りな」

「しかし、お前」

「グズグズ言っていないで早く」

「わかったよ。司祭様。お願いします」

「私ではなくて神に」

「神様、お許しください」

高熱で弱った男は神に赦しを請うたのだ。

私はその男にもロザリオを授けてやったのだ。



「あんたも役者だね」

外へ出たところで一緒にいたアナイスが笑って言ってくれたが、

「敬虔な信者と言ってほしいな」

「皇帝様のかい」

「教皇様のだ」

私が訂正した。

「まあ、どっちにしてもこんな事考えるなんて神様が聞いて呆れてるわよ」

「我が神は祝福して下さるさ」

私達はそう言うと笑いあったのだ。

そう言う私の胸にもロザリオが光っていた。


このロザリオが呪いのロザリオからの呪いを浄化してくれるのだ。


こうして私達はアベラール男爵領に帝国教の信者を増やしていったのだ。

男爵一家を信者にするのもたいして苦労はかからなかった。


このあたりの領主全てを敬虔な帝国教の信者にするのも時間の問題だと思われた。


そう、あの悪魔のような女が現れるまでは……


次回はその悪魔のような女、フランの登場です。ご期待下さい。


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