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【『つぎラノ』ノミネート記念】とある男爵令息の独り言 フラン様に一生涯ついて行こうと思いました

皆様の応援のお陰でつぎラノ2023ノミネートされました。その感謝をこめてこの話書かせて頂きました。

俺はジスラン・アベラール。男爵家の嫡男だ。この大国エルグラン王国の男爵家の跡取り息子だ。領地ではジスラン様と呼ばれてとても大切に育てられていた。

俺より偉い奴なんて領地にはいなかったし、女からはちやほやされる存在で、領地では俺を見つければ女たちが「ジスラン様」「若君様」と寄って来てそれは大切にされていたのだ。

完全にお山の大将だったのだ。


それが王立学園に入ったとたんだ。

「あなた、アベラール男爵家のジスランよね」


いきなり、平民のフランとか言う女に、呼び捨てにされたのだ。女に呼び捨てにされたのは、家族以外では初めてだった。

さすがの温厚な俺もこれにはムッとした。


「そうだけど、平民の女に呼び捨てにされるのは、ちょっと」

俺は怒鳴り散らしたいのを我慢して言ったつもりだった。


でも、周りの貴族達が途端に白い目で見てきたのだ。何故だ? 俺は対応を間違えたか?

俺にはよく判らなかった。


「えっ? 嫌だった? ごめんなさいね」

慌てて、フランという女は俺から離れて行ったのだ。


周りの貴族達は呆れたものを見るような目で俺を見てきたのだ。


「おい、俺って、何か変なこと言ったか?」

「うーん、まあ、第一王子殿下が最初の挨拶で、平民も貴族も分け隔てなく接するようにって言っておられたからな。あの娘もそのつもりで声をかけて来たんじゃ無いのか?」

同じクラスで近くの領地のクレマンが、言ってくれたけど、それって、建前だろうと俺はその時は思っていたのだ。


そもそも俺は入学した時のクラス分けからショックを受けていた。


いきなり配属されたクラスがE組だったからだ。E組ってなんだ。E組って……たしかに王立学園はAからEまでクラスがあるけれど、普通は貴族はAかBのはずだ。それが最下位のEだなんて……俺はそんなに学力テストの点数が悪かったのか? 俺はショックの余りしばらく立ち直れなかったのだ。


その中、学園で同じ男爵家のクレマンがEクラスにいるのを見てホッとした。俺だけじゃなかったんだと。それによく周りを見渡すと伯爵令嬢もいたし、オーレリアンは確か第一王子の遠縁でその側近だったと思う。こいつは本来は絶対にA組のはずなのに……

よく見ると半分くらいが貴族みたいなんだけど。俺はその理由が判らなかったのだ。



昼時になった。俺はクレマンと一緒に一般食堂に行ったのだ。多くの貴族がいる貴族食堂にはクラス分けの関係もあって行けなかった。でも、俺達が食べていると、隣にまたしてもあの生意気な平民女が座って来たのだ。確かこいつは自己紹介で彼氏募集中とか叫んでいる破廉恥な女だ。まあ、確かに見た目は可愛いかもしれないが、これくらいの容姿の女は領地にもいた。俺はできるだけ関わらないでおこうと思って無視したのだ。


しかしだ。俺が食べている時にいきなり後ろからどんと俺にぶつかってきたやつがいた。

俺はムッとして叫ぼうとしてその男を見て、我が目を疑った。何とそこには怒った第一王子殿下がいらっしゃったのだ。


「フラン、恋人募集中ってどういう事だ」

殿下は何と平民のフランに怒り狂っているんだけど。


え! 

どういう事だ?


こいつもう第一王子殿下に手を出したのか?


そのフランは、何と第一王子殿下を引っ張って端に連れて行ったのだ……


「ええええ! フランって第一王子殿下の知り合いなの?」

青髪の平民女が驚いていたし、その横の赤髪の女が、

「だからすぐにバレるって言ったのに」

とか何とか言っている。


確か、殿下の婚約者ってフランソワーズ・ルブラン公爵令嬢だ。

ルブラン家に伝わる『魔の森の試練』を5歳にして突破した、武の名門ルブラン家の誇る令嬢、ゴリラ女としても有名だ……


「フラン、フランソワーズ……」


ええええ!

俺は蒼白になった。俺に話しかけて来たのがフランソワーズ様だとやっと気付いたのだ。


だから俺の反応に対して貴族たちは白い目で俺を見たのだ。


そんなの田舎貴族がフランソワーズ様の容姿を知るわけ無いじゃないか。

いや、待って、全然ゴリラ女なんかじゃないじゃないか! フランソワーズ様は大きな青い瞳の金髪のとてもかわいい普通の令嬢だった……

そもそも、なんでこの国のトツプの公爵令嬢がEクラスなんかにいるんだよ!

俺はパニックになっていた。


そうか、フランソワーズ様がいるからクラスの半分が貴族になっていたのだ。


俺は学園では出来たら貴族とのそれもできるだけ高位貴族との繋がりを作って来るように父からは言われていた。

俺もできる限り高位貴族の方々と知り合いになれればなろうと思っていた。ただ、高位貴族の方々は中々男爵家なんかに見向きもしてくれないし、声なんてかけてもらえない。

その貴族のトップもトップ、武のルブラン公爵家の令嬢で、未来の王妃様と話せる機会になんてめったにないはずだったのだ。


そんなフランソワーズ嬢からせっかく話しかけてもらったにも関わらず、俺は無視したのだ。いいや、違う。二度と呼びかけるなって言ってしまったのだ。


もう終わりだ。

俺は頭を抱えてその場に突っ伏した。



フランソワーズ様は殿下と連れ立って慌てて食堂を出ていかれたのだ……


「ど、どうしよう、クレマン」

「いや、どうしようもくそも、お前、フランソワーズ様に二度と話しかけるなって言っていたよな」

「いや、そんな事は言っていないぞ」

俺は必死に言い返した。


「そうか、変わらないことは言っていたような気がするが」

「どうしよう。クレマン!」

俺がクレマンにすがりついたが、クレマンは首を振るだけだった。


俺はどういうふうにしたら許してもらえるか必死に悩んだ。


こうなったら土下座でもするしか無い。


でも、中々フランソワーズ様は帰ってこられなかったのだ。


つぎの授業が始まってしまった。


何とフランソワーズ様は厳しいと有名なフェリシー先生の授業に平然と遅刻して来られたのだ。


怒ったフェリシー先生に外に立たされた時だ。


いきなり、国王陛下夫妻がEクラスの教室にいらっしゃったのだ。


俺は初めて陛下を近くで見た。最下層の貴族の俺にとって陛下にお会いすることなど今まで無かったのだ。こんな間近で陛下をお見かけして俺は驚愕していた。


「しかし、陛下このような所まで何をされにいらっしゃったのですか」

「いやあ、フランソワーズ嬢が国のために色んな人と交流を持つためにEクラスに自ら進んで身をおいたと聞いての。それを見学に来たのだ」


ガーン

俺は陛下の言葉にさらにショックを受けた。

フランソワーズ様の行いは陛下の意向を受けていたのだ。陛下としては貴族が平民と仲良くなる事を望んでいらっしゃるらしい。


どうしよう、平民風情と話せないと言った俺の発言をフランソワーズ様が陛下に告げ口していたら……我が男爵家なんてあっという間に吹き飛んでしまう。



俺は授業の後、すぐにフランソワーズ様の所に謝りに行ったのだ。


「フランソワーズ様」

「あっ、ごめん、今、忙しいから」

フランソワーズ様はそう言うと、慌てて教室を出ていかれたのだ。

俺の謝罪は聞いても頂けなかったのだ。



俺はその夜は寝ることも出来なかった。


翌朝、俺はフラフラになって教室に行った。


もう絶対に許してもらえない。どうしよう。未来の王妃様の不興をかってしまったのだ。もう終わりだ。親になんて謝れば良いんだろう。

俺はもうボロボロだった。


「あなたどうしたの? その顔は。真っ青よ」

俺を見て何とフランソワーズ様が声をかけてくれたのだ。

これは千載一遇のチャンスだ。


「いえ、あのフランソワーズ様」

「フラン!」

俺がいいかけた時にフランソワーズ様が言われたのだ。


「フランソワーズ様」

「違うわよ。フランっと呼んで」

「フラン様」

「もう一声」

「いや、でも、」 

「あなたはジスラン様と呼んでほしいの?」

「そんなとんでもない。ジスランと呼び捨てにして下さい」

「じゃあ、ジスラン、私のこともフランって呼んでね」

そう言うとフラン様はニコリと笑わたのだ。これは逆らえない笑みだ。

でも、公爵令嬢をそれも未来の王妃様を呼び捨てなんて命令されても出来るわけはない。

俺はフラン様の一言に固まってしまったのだ。


「良いわね。皆にもフランと呼び捨てで呼んでもらうからあなたもそう呼んでね」

そこまで言われたら俺はもう頷くしか出来なかった。


俺はその日から公爵令嬢様をフランと呼び捨てにするようになってしまったのだ。


フラン様は本当に気さくな方で、一日目の俺の不埒な態度も全く忘れて下さったのだ。

普通の令嬢なら、こうはいかなかった。俺は本当に感謝しか無かった。


俺は一生涯フランソワーズ様についていこうと心に決めたのだ。

そして、フラン様との出会いは我が家にとってとても助けになったのだ。


ここまで読んで頂いて有難うございます。

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