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閑話 アド視点5 女王の王配らが反逆しましたがフランの前に殲滅されました

折角暴れられると思ったろうに……

フランは絶対に欲求不満だと思う。


でも、ラウラ・フィーアネン女王に頭を下げられたらどうしようもなかった。


今回の件、責任の所在も含めて徹底的に捜査し、関係者を処断するという言葉に頷くしかなかったのだ。


「さあ、こんな小国で大したものは準備できませんでしたが、食事をご用意いたしました」

女王の言葉と共に、俺達の前には大量の食事が置かれていたのだ。


あっという間にフランの目の色が変わって、許しても仕方がないモード満開なんだが、そんなのでいいのかと思わないでもない。まあ、フランの良いところでもあるんだが。


フランはルブラン公爵家が質素堅実だからか、やたら食べ物に弱いのだ。


食い物がかかったら最悪帝国を殲滅して来て欲しいと言われて、やりかねない。



「フィーアネンの領民の皆さんのおかげでこのような食事のできることを感謝して、頂きます」

そう祈るフランはもう、籠絡されていた。


俺も仕方がないから食べようとしたら、フランが食べるなって合図してくるんだけど……そこまで食い意地が張っているのか?

思わずそう言いそうになった。


まあ、フランが自分一人で食べるなんて碌な時ではないのだ。普通はフランは皆で分けて食べる。どんなに少なくとも。自分ひとりで食べることはないのだ。

フランが食べるなということは毒でも、入っているのだろう。


王妃が犯人かと見守るが王妃は全くその気配がない。


残りの不満分子か。折角命が助かったのに、コイツラは馬鹿だ。



俺が変な顔したからか、フランが口づけでオレンジをくれた。


これは毒が入っていないのだろう。


女王はバイエフェルトに攻められた時にフランの母に助けてもらったと感謝しているが、フランの母も良い格好してだから、絶対に力を誇示したかっただけだと思う。


「何だ貴様らは?」

「ギャッ」

外で大きな音と剣戟がした。


そして、扉が大きく開いて、騎士たちがなだれ込んで来たのだ。


「何事ですか」

女王が慌てて立ち上がった。


「陛下。陛下の元にいる偽のエルグラン王子殿下一行を排除するために参りました」

剣を抜いた騎士団長が叫んだのだった。


「なりませぬ。あなた方は我が国の恩人のルブラン公爵夫妻の娘でいらっしゃるフランソワーズ様にに仇なすと言うのですか?」

女王がきっとして騎士達を睨み付けた。


「妃よ、エルグランは大国とはいえ、ここまでは遠い。彼らが知ったところで何ほどの事が出来よう」

王配が言った。


「あなた、何を言うのです。20年前、彼らは私達を助けてくれたではありませんか?」

女王は悲壮な顔をして言った。


女王が色々言ってくれたが、最後は


「まあまあ、陛下。ここは私の顔を立てると思って、今回の事は見ない事にして頂くと言うことでどうですかな?」

ガマガエル商人までが出てきたのだ。

「我が国の陛下は未だにあなた様にご執心だとか。何でしたら愛人にとご所望ですぞ」

ニヤニヤ笑ってガマガエルが言うが、こいつ、命が惜しくないのだろうか。フランの前でそんな事言うなんて。フランの一番嫌いなタイプだ。


「まあ、陛下。バイエフエルトは大国、残念ながら我が国が逆らう術は無いのです」

王配にすがろうとした女王に残酷にも王配が宣告した。


「そんな」

女王は悄然として膝をついたのだ。

長年連れ添っていた王配に裏切られたのだ。それはショックだろう。

何かフランが俺を睨んでいるんだけど、俺はいつもお前一筋だぞ。

俺は必死にアピールしたのだ。



バキン!


フランは俺が渡した剣を地面に突き刺した。


地面にヒビが走る。


「ちょっとフラン」

俺は止めようとするが、

「ごめん、アド、もう許せない」

フランは剣を抜いて構えていた。


「王配、アーべ! このフランソワーズ・ルブランの目の前で良くそこまで我が母の盟友ラウラ陛下を愚弄できたな! 貴様だけは許さん」

フランはそう言うと剣のさやを抜いたのだ。


「ふんっ、魔術の封じられた貴様に何が出来るのだ」

馬鹿にしたように王配の野郎は言ってくれるんだけど。


「良く言った。その言葉。地獄で後悔するが良い」

フランはそう叫ぶと、一瞬でその腐りきった王配に駆け寄る。

そのスピードは半端ではないし、護衛騎士なんて目でもないのだ。


一瞬にして止めようとした護衛の騎士たちが弾き飛ばされる。


そして、愚かな王配はフランのパンチをもろに食らって壁を突き破って外に飛んで行ったのだった……


本当にこいつらは馬鹿だ。



しかし、その時だ。フランがガクッと膝をついたのだ。


ええええ! フランには毒は効かないのでは?


何しろフランは魔の森であらゆる毒を食べて免疫と言えるかどうか判らないが、は出来ているはずだ。

新手の毒か?


俺は慌ててフランに駆け寄ったのだ。


「ほっ、やっと効いてきましたな」

ガマガエルが笑った。

「ふんっ、狂犬女は面倒ですからな。毒を盛ってやったのですよ」


「な、何ですって、あなた達、私の客にそんな事をしたの!」

女王が憤って言ってくれた。

その後もガマガエルは何か自慢しているが、それどころではない。

俺はフランを抱き起こそうとしたのだ。


「アド、お腹が減った」

俺は思わず転けそうになった。フランのエネルギー代謝はすごいのだ。それだけパワーを維持するにはたくさんの食料がいるのだ。あれだけでは足りなかったみたいだ。


「あのな……フラン。心配させるなよ」

俺は腰からお菓子を取り出しフランに食べさせた。


「今頃、解毒剤を飲ませても無駄……何をしているのだ、お前達は?」

ガマガエルはフランがお菓子をむさぼり食べているのを見て唖然としていた。


「何を言っているのだ! あれだけ毒入りの食事をパクパク食べておったのだ。効いていないはずが……」

フランは食べ終わるとそのガマガエルを見て、ゆっくりと立ち上がったのだ。


みんな唖然としてフランを見ている。


「そんな馬鹿な。そろそろ効いてくるころだ……ギャーーーー」

フランは減らず口を叩く、悪徳商人を思いっきり剣の横っ面で張り倒していたのだ。


商人も壁を突き破って場外に飛んでいった。


全員呆然とほうけたようにフランを見ている。

もうタイムオーバーだ。



「な、何故だ? 何故、毒が効いていない?」

騎士団長が叫んでいる。


「ふんっ、あなた達とは鍛え方が違うのよ!」

フランは大見得を切ってやったのだ。


「嘘だ。あり得ない」

騎士団長は必死に叫んでいる。


「さあて、女王陛下、反逆者どもを成敗しますのでそこで見学してて下さいね」

フランは上段に剣を構えたのだ。


「ええい、何をしている。やってしまえ」

恐怖に駆られた王太子が叫んでいた。


フランはそのまま、騎士団長に剣を叩きつけたのだ。


反逆者達がフランの前に殲滅されるのは数分もかからなかったのだ。


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