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閑話アド視点4 フランを助け出して女王に謝罪されましたが、ただで許すつもりはありません

俺はカトリーナと一緒に捕まってしまった。


が、奴らは俺を病人と思い込み、取り敢えず、部屋に俺とカトリーナを軟禁しただけだった。


彼らは、俺たちをほっておいて、カトリーナの叔父のサンデルを呼びに行った。

中には一人しか騎士が残っていなかった。


窓の外にカトリーナの侍従を見つけて俺はカトリーナに合図をしたのだ。


「大変。アドルフ様がすごい熱」

カトリーナが叫んだ。


「あなた、すぐに氷を持ってきて」

と残った騎士に言ってくれたのだ。


「いや、しかし、俺は」

騎士は躊躇した。その隙に俺は思いっきり騎士の腹に蹴りを御見舞したのだ。


「グォッ」

騎士が思わず腹を抱えて前の目になったところを思いっきり鉄の洗面器でカトリーナが騎士の頭を叩いていたのだ。


流石の騎士もうずくまってしまった。


俺たちはその隙に部屋を飛び出して、スヴェンの誘導の元、生け垣の隙間から逃げ出したのだ。



俺たちは変装して直ちに王都に潜伏した。


このフィアーネン王国は小国過ぎて我が国の影もいない。商人のつてを使って直ちにバイエフェルトの大使に来るように連絡を送ったが、いつ奴が来ることやら。


カトリーナとスヴェンのつてで捕まったフランの事を色々調べるが中々掴めなかった。

俺はいらいらしたが、やっと掴んだところでは最悪だった。


何でもフランは今は一日一食しか与えられていないらしい。あの健啖なフランが一日一食、それも腐ったパンだけなんてどういう事だ。

何でも我が国のボケの大使代理代行がフランの事を本人でないと否定したらしい。



どういう事だ? 未来の王太子妃を何故間違う? フランと俺の姿かたちはいやほどお披露目したし、普通は平民でさえ知っているはずなのに! 北極送りにされたいらしい。

そもそも何故大使本人が来ないのか! 俺は完全に切れていた。


そんなくず大使よりもフランだ。なんとか食事の量を増やすことができないか、スヴェンに頼んでみるも中々厳しいらしい。


こうなれば直接牢に殴り込みをかけるかと考えだした時だ。


フランを裁判にかけると言う話を聞いた。


何でも公開で裁判にかけるらしい。


こいつら馬鹿なのか? 大国エルグランの第一王子の婚約者を牢に閉じ込めただけではなく、公然の場で裁くだと。もはや、この国に未来はない。


でも、その前にフランの救出だ。


フランさえ救い出せば後は何とでもなる。


俺はカトリーナに頼み込んで、カトリーナの友人の商人の娘、マノン・ヘンボスの知り合いという事で、中に入れてもらったのだ。


「自称、フランソワーズ・デ・ブリュネ。前に」

俺は唖然とした。フランが俺のフランが手錠を掛けられて歩かされているのだ。

それも何かとても痩せているように見えるのは気のせいか。俺は思わず涙が出そうになった。

これはエルグランに対する重大な挑発行為だ。このような屈辱を俺の婚約者に与えるとは……俺はこの国の完全制圧を決意したのだ。


「その方、我が国のデ・ブリュネ男爵家の令嬢、フランソワーズ様の名を語り、数々の狼藉を働いたこと、間違いないな」

「違います」

何かフランが呟いている。


「装飾品を外そうとした騎士に暴行し、エルグラン王国の事務官を詐称を認めるように脅し、言うことを聞かないとそれに暴行し、更には我が国の善良なる商人に暴行を働いたことは明瞭です」

「異議あり」

フランが何か言っている。でも、食べさせられていないのか声が出ないのだ。

もう俺は我慢できなかった。



「異議あり!」

大声で叫んだのだ。


「アド!」

振り返ったフランと目が合った。良かった。


「貴様は何奴だ」

裁判長が叫んでいた。

「ふんっ、これはご挨拶だな。ケルクドール伯爵」

俺は笑って言った。


「ギャッ」

その俺に掴みかかって来た騎士を躱して階下に叩き落す。

今日は俺も切れていた。


「ギャッーーーー」

下にいた悪徳商人の上に落ちたみたいだが、丁度よかった。始末する奴が一人減った。


「何だと、貴様なぞ知らんぞ」

「だから貴様らは三流国と呼ばれるんだ」

俺は伯爵の無能さに呆れ果てた。大国の要人の顔も知らないとは。


「何だと」

「少なくとも俺とフランの顔と名前くらい覚えておけ」

俺は馬鹿にそう言うと、フランの横に降り立ったのだ。

そのままフランを抱きかかえる。


「ごめん遅くなった」

「ううん、アドが治れば良いのよ。私の母が酷いことしたんでしょ」

「大したことではないよ。それよりも、はい、フラン」

俺は焼菓子をフランの口の中に入れてたのだ。


「あひがと」

フランは昔のように目を輝かせて食べてくれた。とても可愛い。


「はい、もう一つ」

俺は続きを入れる。


「ええい、曲者だ。出会え出会え」

そう叫ぶ係官をフランが殴り倒してくれた。


「ギャッ」

その係官が飛んでいって、入ってこようとした騎士たちに突っ込んでいった。


「フラン」

俺は剣をフランに投げた。


俺はフランと背中合わせで立った。


よくも俺のフランをここまでの目に合わせたな。

俺はこの連中を殲滅する気満々だったのだ。


「お待ち下さい」

そこに女王の声が響いたのだ。この国の女王ラウラだ。


「陛下、何故このようなところに」

騎士団長が叫ぶが


「あなた達こそ何をしているのです。こちらの方々に無礼があってはなりません」

「はっ? こいつらは犯罪者ですぞ」

ケルクドールが叫ぶが、


「だまらっしゃい。こちらにおわすお方は、南の大国エルグラン王国の第一皇子殿下アドルフ様とその婚約者のフランソワーズ・ルブラン様です」

そう、普通は見ただけで判れよ、と俺は言いたかった。


「此度のことは誠に申し訳ありませんでした。私、この国の女王を努めますラウラと申します。

知らぬこととはいえ、此度の部下の狼藉、誠に申し訳ありませんでした。ここに深くお詫び申し上げます」

女王が頭を多く気下げてくれたのだ。


女王にここまで謝られると、振り上げた剣を降ろすしかなかった。

フランは本当にがっかりしていた。俺もそうだったが、フランは完全にやる気満々だったのだ。


でも、殲滅するのを止めただけで、この責任は取ってもらわないと。

俺はただではフィアーネン王国を許す気はなかった。




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