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せっかく暴れようとしたのに、女王に頭を下げられてしまいました

「自称、フランソワーズ・デ・ブリュネ。前に」

係官の言葉に私は手錠をされたまま、前に歩かされた。


「その方、我が国のデ・ブリュネ男爵家の令嬢、フランソワーズ様の名を語り、数々の狼藉を働いたこと、間違いないな」

係官が決めつけて言ってくれる。

「違います」

私は呟いた。お腹が空きすぎて、声もほとんど出ない。

でも、これ後でみんなに知られたら、本当にまずいかも……


「装飾品を外そうとした騎士に暴行し、エルグラン王国の事務官を詐称を認めるように脅し、言うことを聞かないとそれに暴行し、更には我が国の善良なる商人に暴行を働いたことは明瞭です」

今度は係官は裁判官席に座っている貴族の男に言っているんだけど……


うーん、やったことは騎士の男以外は確かだけど、言い方がなんか違う。私は悪いことしたやつらに鉄槌を下しただけなのだ。悪徳商人の事はわいろもらってのさばらせておいたあんたらが悪いんじゃないの!


それに、私の言い分を一言も話していないんだけど、これなんかの茶番なの?


「異議あり」

私は小さく呟いた。


でも、誰も聞いてくれない。


ちょっと、これが私なの。


もうお腹が空きすぎてだめ。


なんか倒れそうになる。


でも、その私の脳裏に母の馬鹿にしたような顔が写ったのだ。


「やっぱりあんたから魔術を取ったら終わりね」

とその顔は言っているんだけど。


ちょっと待ってよ。


あなたから魔術取り上げたほうが終わりでしょ!


私は余程そう言いたかった。私にはまだ剣術があるのだ。


そう、私は自らを奮い立たせたのだ。空腹を退けて。


でも、本当にお腹が減った。果たして声が出るのか?


そして、私が何とか全ての気力を振り絞って叫ぼうとした時だ。



「異議あり!」

そこに大きな男の声がしたのだ。


私がハッと振り返ると2階の閲覧席にアドが立っていたのだ。


「アド!」

良かった。アドが元気になったのだ。


「貴様は何奴だ」

裁判長が叫んでいた。


「ふんっ、これはご挨拶だな。ケルクドール伯爵」

アドが笑って言った。

ええええ! ケルクドールってあのイサって生意気な子の親なの!


思いっきり殴ってやれば良かった。


「ギャッ」

そのアドに掴みかかろうとした騎士がアドにかわされて下に落ちて来た。


「ギャッーーーー」

ちょうどそこにいたガマガエルの上にまともに落ちのたのだ。

泡拭いてガマガエルが倒れている。


ふんっ、いい気味だ。


でも、私も空腹で倒れそうなんだけど……



「何だと、貴様なぞ知らんぞ」

ケルクドールか、何かが叫んでいるんだけど、二重に見える。


「だから貴様らは三流国と呼ばれるんだ」

「何だと」

「少なくとも俺とフランの顔となまえくらい覚えておけ」

そう言うとアドは私の横にスラリと降り立つてくれたのだ。

そして、倒れそうな私を抱きかかえてくれた。



「ごめん遅くなった」

「ううん、治れば良いのよ。私の母が酷いことしたんでしょ」

私が言うとアドは首を振った。


「大したことではないよ。それよりも、はい、フラン」

アドは私の言葉は無視して焼菓子を口の中に入れてくれたのだ。


ああああ! 食べ物だ。やっと食べられた。


「あひがと」

口に入れながらもぐもぐと話す。


久々のまともな食べ物にやっと頭が回りだした。

「はい、もう一つ」

アドが私に食べさせてくれた。

私は体中にパワーが満ちるのを感じた。



「ええい、曲者だ。出会え出会え」

そう叫ぶ係官を私は準備運動がてら思いっきり殴り倒していた。


良くも散々冤罪を着せてくれたものだ。


「ギャッ」

その係官が飛んでいって入っこようとした騎士たちに突っ込んでいった。


「フラン」

アドが私に剣を投げてくれた。


いつものエクちゃんに比べれば全然だけど、無いよりはましだ。


私はやる気満々さやを抜いたのだ。

アドも剣を抜く。


アドと背中合わせで立った。


久々のアドとの大立ち回りだ。空腹も少し収まったし、やってやる。食い物の恨みは怖いのだ。覚えておけよ!


私はやる気満々だったのだ。



「お待ち下さい」

そこに女の声が響いたのだ。


皆驚いてその女を見る。


立派な服装に、白く光る真珠のネックレスをしている。その姿は凛としていた。


「陛下、何故このようなところに」

騎士団長と思しき男が叫ぶが


「あなた達こそ何をしているのです。こちらの方々に無礼があってはなりません」

「はっ? こいつらは犯罪者ですぞ」

ケルクドールが叫ぶが、


「だまらっしゃい。こちらにおわすお方は、南の大国エルグラン王国の第一皇子殿下アドルフ様とその婚約者のフランソワーズ・ルブラン様です」


女王の言葉に全員固まった。


「えっ」

「それは嘘なのでは」


「何を言っているのです。立ち居振る舞いを見れば王族とすぐに分かるでしょうが。直ちに頭を下げなさい」

「えっ?」

唖然とする騎士や貴族たちの前で


「此度のことは誠に申し訳ありませんでした。私、この国の女王を努めますラウラと申します。

知らぬこととはいえ、此度の部下の狼藉、誠に申し訳ありませんでした。ここに深くお詫び申し上げます」

女王が頭を多く気下げてくれたのだ。

周りの面々も慌てて頭を下げる。


ええええ! 折角お腹も少し収まって今から戦えると言う時なのに……

久々にアドと一緒になって暴れられると思ったのに!



ここまで女王にされたら私も暴れるわけにはいかなかった。

せっかくこれからだったのに。

私は仕方無しに刀を納めたのだった。



ここまで読んで頂いて有難うございます。

これから暴れようとしたフランの前に現れた女王でした。

振り上げた剣を下さざるを得なかったフランです。

でも、このまま終わるのか?

続きは明朝です!




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