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【後日談】第一王子視点2 婚約者を守りたいのになかなかうまく行きません。

学園入学にあたってクラスをEクラスにして平民と仲良くしたいというフランだったが、いきなり父の訪問とかで身分がバレて、とても大変だろうとフランを心配して食堂に見に来てみれば、フランはクラスの中でいつの間にか楽しくやっていた。フランの恋人募集中について、少し文句をいうと、怒ったフランに無視された俺は、今までの行いを少し反省した。


ヴァンがいくら「姉上は責任持って俺が見ます」と言ってきても無視して強引に部屋に入って看病していれば良かったのだ。ヴァンのヤツのことだから俺と皇女の事を大げさにフランに伝えているに違いない。


「本当にムカつく」

「どうするのですか?、殿下」

文句を言う俺にオーレリアンが心配して聞いてきた。


「こうなったら朝一番でフランに会いに行くしか無いだろう」

「会いにって手ぶらでですか?」

「それは流石にまずいだろう」


「そうですよね。せめて花束は持っていかないと」

そうか、せめて花束はいるのか! 俺は考えた。もうこうなったら最後の手段だ。ヴァンのマネだろうがなんだろうがやるしか無い。


翌朝、俺は知り合いの花屋に頼んでいた花束を持って一般食堂の前に立っていた。


少したってフランらがやって来たが、なんとフランは慌てて友達の影に隠れてくれたのだ。


「やあ、メラニー・バロー男爵令嬢とノエル・ハーベイ令嬢だよね」

本当に世話が焼ける。俺は、そんな事を思ったなんて噯にも出さずにフランの友達の二人にまず声をかけた。


「は、はい」

「左様でございます」

二人は俺が名前を知っているのに、驚いたみたいだった。俺は学園の生徒の顔と名前は完全に暗記しているのでそんな事は当然だったのだが。


「いつも婚約者のフランがお世話になっているね」

「いえ、こちらこそ」

ここが勝負だと俺は最高の笑顔で二人に笑いかけた。将を射るにはまずその馬からだ。


「で、フラン、いつまで隠れているんだ」

俺は二人に十分に愛想を振りまくと初めてフランに声をかけた。


「えっ、私に用なの?」


こいつ、絶対にわざとだ。白々しい。


「婚約者に用があるからここにいるんだろう」

俺は微笑んだ。


「婚約者婚約者ってうるさいわね。その婚約者が」

「倒れたのに、見舞いに来なかっただろう」

俺はフランの声を引き継いで言葉を続けた。もうそれは聞き飽きたって。いつまで根に持っているんだよ。


「判っていたら・・・・」

言い募ろうとしたそのフランの前に花束を突き出して黙らせた。


「何よこれ?」

「見舞いに行けなかったお詫びだ」

俺は少し恥ずかしかったが、言い切った。


「いや、あの、私に?」

なんか、フランが赤くなってくれている。さすがオーレリアン。このプレゼントはうまくいったみたいだ。


なのに、なのにだ。何故かその後ピンク頭がでてきて、俺を引き連れて貴族用食堂に連れて行きやがったのだ。父から面倒を見るように言われていなかったら、拒絶するところだった。と言うかこのピンク頭、俺に対して距離が近すぎるんじゃないのか。これが本当に聖女なのか?


朝食時間が終わりかけの時に慌てた様子のオーレリアンが駆け込んできたのだ。

なんか、今回のピンク頭の件でフランはキレていて、婚約解消も視野に入れているだと。そんな事は許さん!

俺はこうなったらもう、フランが前に食べたがっていたハッピ堂のプリンで釣るしかないと思った。並ぶ必要があるが、そこまでする必要があるだろう。近衛の幾人かと馬車で現地に向かって自ら並んだのだ。


周りの者がジロジロ私を見てくるが構ったものではなかった。ここは、フランとよりを戻せるかどうかの瀬戸際なのだ。嫌そうにする近衛の連中にも無理やり並ばせた。コイツラにも後ほど何かやる必要があるだろう。


やっとクラス分の数を買うと私は慌てて学園に戻った。丁度お昼の時だ。

食堂に行くとフランはクラスの連中と食べているところだった。


プリンを見せて謝ると、何とかフランは許してくれた。やっぱりこいつは食べ物で釣るに限る。

俺は安堵した。


でも、そこにまた、ピンク頭が現れたのだ。


でも、今回は朝の俺ではない。

俺は毅然とした態度で、ピンク頭に注意したのだ。もう教会も父もどうでも良かった。

礼儀作法に反しているのは向こうだ。こいつをちゃんと教育していない教会や伯爵が悪い。

ピンク頭は平民たちにもきついことを言われて泣いて出ていったが、知ったことではなかった。

その後、俺は伯爵と教会に対して書簡にして注意した。


これだけやっておけばいいだろう、俺は安心した。

でも、俺の考えは甘かったのだ。


俺が贈った花束がメチャクチャにされたのだ。


アイツラ、俺が恥も外聞もプライドも捨てて贈ったのに、絶対に許さん。


確たる証拠を探すように側近らに指示したが、証拠は残していないだろう。

俺はピンク頭とグレースを無視することにした。


花束をメチャクチャにされてフランが泣いたと聞いて、少しは俺のことを思ってくれているんだと安堵したのもあるけれど、翌朝また、花束を持ってフランのところに行ったのだ。


その後フランと食べさせ合いをして、皆に二人の仲の良さをアピールもした。

これだけやっておけばフランに変な虫はつかないだろう。というか、二度とフランには恋人募集中なんてふざけたことは言わせない。


でも、ピンク頭たちは次は俺の両親を使って来た。

何でもフランがピンク頭を虐めているだと。どういうつもりでそう言うことを言うんだ?

ピンク頭はフランが皆がピンク頭がフランの花束をグチャグチャにしたと噂を流すというのを止めなかったと言い張ったのだ。フランは単純だからそういう罠にはかかりやすいのだ。俺は少し焦った。もっとちゃんと俺の横において監視していれば良かったと後悔した。


しかし、フランは機転を利かせてあっさりとその口撃を躱してくれたのだ。公爵らが唖然としている中で、弟が乱入してきた。そのドサクサに紛れて弟はピンク頭とグレースが共謀してフランをはめようとしたと白状させたのだ。



「兄上はもっとしっかりしてくれないと、そんなことでは姉上を任せられませんよ」

弟にまでダメだしされてしまった。こいつは絶対にフランを狙っている。俺はもっとフランと仲良くなろうと考えたのだが、仕事が溜まっていたので、側近らに拉致されてしまったのだ。




その次の日に、フランがジャクリーヌを訪ねるなんて思ってもいなかった。


「あのフランソワーズが私をたててくれるなんて思ってもいなかったわ」

翌日、俺は上機嫌の母から、伯爵夫妻がわざわざ母に礼を言いに来た話を聞かされた。


何でも、フランが、伯爵に母に「もう少し伯爵令嬢のことも気にしてあげたら良かったのに」と注意されて謝りに来たと言ったらしい。

あのフランがそんなヨイショなんて出来るわけはない。

適当に令嬢に会う理由をでっち上げたに違いないのだ。まあ、母が上機嫌なので黙っていたが。




翌日母に呼ばれてフランはさぞ驚いていたと思う。

あまりに長い間、母の部屋にいるので、俺が迎えに行くと、もうフランは死にそうになっていた。

そのフランをなんとか母から回収して、馬車で寮まで連れ帰った。


途中からフランは寝てしまった。

その寝顔がとてもかわいかったので、思わず頬にキスしてしまっていた。

それでフランが起き出したので、俺はキスしたのがバレたのかと焦ったのだが、起き出したフランは、何故か


「落書きしたんじゃないでしょうね?」

と心配しだしたのだ。

どこに好きな女に落書きする男がいるのだ?

俺はフランに意識してもらうまでにまだまだかかるのが判って少しショックを受けていた。


翌日にはおそらくメラニー嬢に指摘されたのだと思うが、フランにキスしたのがバレてへそを曲げていた。


ただ、フランの隣の二人は特にノエル嬢はお菓子で釣れそうだったので、なんとかなるかと楽観していたのだ。ピンク頭の事はすっかり頭から抜けていた。流石に懲りただろうと思っていたのだ。でも、ピンク頭は全然懲りていなかった。そして、今度は聖女の仕事を盾に俺に迫ってきたのだった・・・・・。










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