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リーデン伯爵令息は私に指摘されて慌てて去っていきました

本日三話目です。

間違えて早めにアップしてしまいました

エルベルトはいきなりアニカに腕に抱きつかれて驚いていたが、顔はにやけていた。


「やあ、カトリーナ、久しぶりだね」

カトリーナに愛想笑いをした。


「お久しぶりですわ。エルベルトお兄様」

でも、カトリーナの顔は曇っていた。


「どうしたんだい。カトリーナ。顔色が少し悪いけれど」

「いや、お兄さまがアニカと親しかったって知らなくて」

カトリーナの声は沈んでいた。


「いやあ、カトリーナの従妹だろう。親しくもなるよ」

「お姉さま。エルベルト様は私の婚約者になるのよ」

「えっ、そうなのですか?」

更にカトリーナはショックを受けたみたいだった。

言った後完全に固まっているし、もうこうなったら、つぶしていいよね。二人とも。


「それはアニカ、とても素晴らしい事だわ。おめでとう」

私が固まって声も出ないカトリーナの代わりに言ってやったのだ。

私は後ろからスヴェンの鋭い視線を感じたが、知ったことではない。


「有難う」

私から褒められて戸惑ったアニカだが、


「平民の娘が伯爵さまに嫁入りできるなんてとても素晴らしい事だわ」

「な、何ですって。私は侯爵令嬢でエルベルト様はこの侯爵家に婿入りしてくださるのよ」

私の言葉に切れてアニカは言うんだけど、こいつどこまで馬鹿なの。


「何回同じことを言わせるのよ。貴方は平民じゃない。最新の貴族年鑑によるとこのハルスカンプ侯爵家の当主はカトリーナ様なのよ。貴族年鑑にはあなたの名前もあなたの父母の名前も全く載っていないのよ。あなたが他国人なら別だけど」

「私が外国人な訳ないでしょ。れっきとしたフィーアネン国民よ。嘘を言わないで。それに貴族年鑑は間違っているのよ」

アニカは私の言葉に必死に否定したのだ。


「ちょっと待った、アニカ。貴族年鑑に載っていないってどういう事だ」

エルベルトが驚いて聞いて来た。こいつも馬鹿だ。そんなの調べてからここに来いよ。と私は思った。


「だからエルベルト様。一寸手違いで、貴族年鑑が間違っているのよ。今お父様が修正を依頼しているわ」

「いや、アニカ、貴族年鑑が間違う事なんてなかなか無いんじゃ」

エルベルトが戸惑っていた。


「当たり前でしょ。そもそもあなたも確認していないなんて、この国の貴族は本当に基本が出来ていないわね」

私は馬鹿にしたようにエルベルトを見下してやったのだ。何かいつも散々自分が言われている事を言ってやったような気分だ。


「何だと。そういうお前こそ誰だ。見たことも無いが」

エルベルトが怒って私を見た。


えっ、名前、そういえば自分が本当は誰かを知らないんだった。


でも、

「ふん、貴族年鑑にアニカが載っているかどうかも知らないんじゃ、貴族の名前なんて全然覚えていないんじゃないの? そんな人に名前言っても判らないんじゃない」

私は誤魔化すために大上段から切り出したのだ。


「な、何だと、そんなことは無い。俺も貴族の名前は覚えさせられた」

「じゃあ男爵家の家名をはじめから順番に言って見なさいよ」

「な、何だと。男爵家の名前なんて、覚えられているわけないだろう」

「はああああ! それでよく伯爵家の嫡男が務められるわね」

私は完全に馬鹿にして言ってやったのだ。


「じゃあ、お前が言って見ろよ」

「良いわよ。よく耳を洗って聞きなさい。

アールデルス、アーンストーン、アッケルマル……」

「……」

私は20家くらい言ってやったのだ。


エルベルトは目が点になっていた。


「もっと言おうか」

「いや、いい」

さすがに青くなってエルベルトが首を振った。


「ふん、貴族の名前を覚えるなんて貴族のイロハのイよ。

というか、自分が婿入りするかもしれない家なら最低限その家の貴族年鑑くらい、目を通してきなさいよ」

「すまない。カトリーナ。その通りだ。出直してくるよ」

そう何故か私ではなくてカトリーナに言うとエルベルトは慌てて、出て去って行った。


「ええい、このくそ女、覚えておきなさいよ」

アニカは捨て台詞を残すと


「ちょっと、エルベルト様お、待ちください」

慌ててエルベルトを追って行ったのだ。




何かこの国小国なだけじゃなくて、貴族たちは基本の基本も出来てないんじゃないかと思うと

「はあ」

私は思わず溜息をついてしまった。


「フランさんは凄いな。張ったりだけであそこまで言いきってしまうなんて」

何故かスヴェンが感心しているんだけど。感心されることが違うような気もする。


何故か、放心状態のカトリーナをほっておいて、私とスヴェンは今後、どうしていくかを、練ったのだ。


そんな所にイサ・ケルクドリール伯爵令嬢から、カトリーナにお茶会の招待状が届いたのだった。






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