前侯爵の弟が怒鳴り込んできました
中高生の皆さん新学期はどうですか? フランのように礼儀作法の授業が嫌、と嫌がっている皆さんもいると思います。まあ皆さんは幸せにも? 礼儀作法の授業はありませんが……
大学生の皆さんはまだ夏休み中、大いに楽しんで下さい……。今しかありませんから……
私も今年は少しだけ夏休みがありました……学生さんみたいに、いや、1週間もありませんでしたが……
珍しくこの話もちょうど9月初旬くらいです。
まだ暑くて皆様も大変だとは思いますが、私もがんばって1日2回更新していきますので、よろしくお願いします!
「凄い、フラン凄いわ!」
あの後、私はカトリーナにとても感謝されたし、称賛されたのだ。
私の恫喝に驚いた侍女たちが食事を持ってきてくれたので、それを食べながらだ。
朝食とは言え、さすが侯爵家。パンは5種類から選べて、サラダ、卵料理、ヨーグルトに果てはベーコンまである。どこと比べているかわからないのたけれど、今世の我が家よりは豪華なようだった……
「えへ、それほどでも……というか、カトリーナ。あなた侯爵令嬢なんでしょ。もう少ししっかりしなさいよね」
最後は言いながら何故か良心の呵責をとても感じた。記憶はなくしてはいるが、いつも私がみんなから散々言われている言葉のような気がしたのだ。
「本当よね。あなたは本当にこのフィーアネン王国の情報について詳しいのね」
感心してカトリーナが言ってくれるのだが、
「何故かわからないけれど」
「本当に。でも、あなたの顔はこの国では見たことないし、文官かなにかにしてはあなたは若すぎるわ」
カトリーナが言ってくれるけれど、それは私も同感だ。
「それにあなたの食事の食べ方の所作もとてもきれいよ。カラトリーの使い方も完璧だし。あなた高位貴族といっても十分に通用するわよ」
「うーん、なら良いんだけど、礼儀作法マナーについては私は全然自信がないのよね」
そう、なんか嫌な思いでしかないと記憶の片隅が疼くのだ。
「よく言うわ。あなた本当に完璧よ」
カトリーナは褒めてくれるんだけど。
「それよりもフランさん。侯爵家のご親族がカトリーナ様だけというのは本当なのですか?」
一緒に食事を食べていたスヴェンが聞いてくれるんだけど。
「あなた、侯爵家の執事なんでしょ。このフィーアネン王国なんて小さい国なんだから、貴族年鑑くらい完全に暗記していないと駄目よ」
私は少しきついことを言った。
「しかし、私はまだ、見習いで」
「見習いでもそうよ」
むっとして言い訳してきたスヴェンに私は言い切ったのだ。
「あなたがカトリーナを守らないでどうするのよ」
「フランさん。一応カトリーナ様は侯爵令嬢で、そのお方を呼び捨てにするのはどうかと」
「スヴェン! 私が良いと言っているのよ」
カトリーナが注意するが、
「ううん。スヴェンの言うのは正しいわ」
私はここはスヴェンを認めた。
「でも、それを言うのならば、叔父夫婦に対しても同じことを言わないと。例え、彼らがカトリーナの実の叔父でもね」
「しかし、本当にあの方々は侯爵家の籍から抜けているのですか? サンデル様のお母様は前侯爵様と同じですよ。小さい頃は仲良く遊んでおられたと父も言っていました」
私の言葉にスヴェンが心配そうに聞いてくる。
「自分の名前を覚えていなかった私が言うのも何だけど、そこは確実よ」
「本当ですか? 一応私も男爵家の人間なんですけど」
スヴェンが更に畳み掛けるように言ってくるんだけど。
「知っているわよ。エスファルト男爵家の次男よね。お兄様が今は継いでいてリーデン伯爵家に勤めていらっしゃるわよね」
何故か知らないが、私はすらすらと答えられたのだ。
「えっ、私の家まで知っておられるのですか」
「当然よ。おそらくこの国の貴族の名前は全て知っているわ」
「200名以上いるのにですか」
スヴェンまで驚いていた。
「さすがフランね。やはりあなた、近隣諸国の高位貴族じゃない」
カトリーナは言ってくれるんだけど、
「しかし、近隣諸国の高位貴族のご令嬢にフランという名前はないかと」
「でも、スヴェンも全ては把握していないでしょ」
「まあ、私もまだまだ勉強不足ですが」
「私も人のことは言えないけれど、自家の、前侯爵の弟が貴族でないのくらい把握していないと」
「そこがわからないのですが」
「この家にも貴族年間くらいあるでしょ。すぐに確認してきなさいよ」
「判りました」
スヴェンが慌てて出ていった。まあ、確かめるのは良い事だ。私も100%自信はない。
「フラン、ごめんなさいね。スヴェンが失礼な事を言って」
カトリーナが謝ってきた。
「それは大丈夫よ。それよりも心配なのはあなたよ。絶対にあんたの叔父さん夫婦は何か仕掛けてくるわ。この家を乗っ取る気満々だと思うのよね。後継者のあなたをこんな離れに閉じ込めておくなんて」
私が心配顔でカトリーナを見ると、
「すでに商人の後妻になれって言われているわ」
カトリーナが衝撃発言をしてきた。
「な、何ですって。侯爵令嬢が商人の後妻になるなんて聞いたことがないんだけど、この国では普通なの?」
「まあ、この国が小国っていうのは散々フランから言われているから否定はしないし、商人と貴族の垣根も他の国に比べれば低いのは確かよ。だけど、普通は男爵令嬢や子爵令嬢でそれも次女とか三女よ。侯爵令嬢が商人の後妻になることなんてないわ」
「そうよね。絶対におかしいわ」
私達がそう断言した時だ。
ドンドンドンドン
また、離れの玄関の扉が叩かれたのだ。
「カトリーナ、この扉を開けなさい! 貴様、育ててやっている俺たちに黙ってやくざ者を入れて、娘のアニカを貴族でないと脅迫したというのは本当か」
大声で外から怒鳴りつらしてくれたのだ。
恐らく、ラスボスの登場だった。私はワクワクしてきた。ゲームの中の悪役をやっつけるというのを一度やってみたかったのだ。単純な私はゲームではいつも悪役令嬢に虐められて終っていたのだ。
「ど、どうしましょう。フラン」
「大丈夫よ。カトリーナ。私にまかせて」
心配して私を見るカトリーナに私はどんと胸を叩いて見せたのだ。
ついにフラン対ギャオス?の対決です。
侯爵邸は無事に済むのか?
詳しくは明朝。お楽しみに!
このお話の第一巻が絶賛発売中なので買ってね(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾







