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伯爵令嬢の告白 一生涯フランソワーズ様に付いていこうと心に決めました

私はジャクリーヌ・シャモニ。シャモニ伯爵の長女として生まれた。

この国の頂点に立つお貴族様の令嬢だ。お屋敷には何十人もの従業員がいて傅かれていた。

花よ蝶よとおだて上げられて育てられたのだ。


そんな私がフランソワーズ様を初めて見かけたのは私が5歳の時だった。


その時は丁度王妃様のお茶会という名目のもとに、伯爵以上の5歳から10歳くらいの女の子が集められていた。目的は第一王子殿下の婚約者選びということで、私もとてもおめかしされて母親に連れられて王宮に来ていたのだ。そこには公爵家の令嬢やら、侯爵家の令嬢とか私よりも身分の高い令嬢がいることを初めて知ったのだ。20人ほどいる令嬢の中では私はその他大勢の一人に過ぎなかった。


現れた第一王子のアドルフ殿下はまだ6歳にもかかわらず、顔貌が整っていて神々しかった。私はあっという間に殿下に恋してしまった。それは周りの女の子も同じみたいで、あっという間に殿下を皆で囲んでいた。母からも出来たらなんとしても殿下のお心を掴みなさいと言われていたので、私も必死だったのだ。でも、5歳の女の子に心を掴めなんて言ってもどうしたら良いの? 私は殿下を囲った女の子の一人だった。


殿下は慣れたもので、そんな女の子たちに、にこやかに笑われて談笑されだした。


「あああ! 良いところにいた」

みんなの輪の中に突然、フランソワーズ様が駆け込んできたのだ。殿下の傍に何とかたどり着いた私は、一瞬で弾き飛ばされてしまっていた。


「あなた、王子様よね。お願いがあるの」

そう言うとあっという間に、王子を引っ張って駆けて行ってしまったのだ。


皆唖然としていた。


私は結局一言も王子殿下と話すことが出来なかったのだ。


その後、殿下とルブラン公爵令嬢の婚約が決まったと知った。王子の気を引くのにあんな強引なやり方があったなんて知らなかった。


母には「何であなたも、そうしかなったの?」

と叱られたけど、あの状況でそんな事が出来るわけないじゃない。私はあの女の子が集まってギラギラ目を輝かせて睨んでいる王子を連れ出したフランソワーズ様には、絶対に勝てないと思い知らされたのだった。



そんな中、私は16歳になって王立学園の高等部に入学した。


そして、クラス分けを知って愕然としたのだ。


私の紙にはEクラスとはっきり書かれていたのだ。


どういうことなの?

私は驚きのあまり固まってしまった。


普通高位貴族の子弟は必ずAクラスに配属になるのだ。Eクラスなんて平民しかいないに違いない。


何故?


入学試験もそこそこの点数が取れたはずだ。何も悪い事していないのに何故? 中等部の友達は大半はAクラス、悪くてBクラスなのに。私は唖然としてしまった。こんな事が両親に知られたらどれだけ叱られることか。


私は呆然として入学式に挑んだ。


でも同じクラスに王子の側近のオーレリアン・ブルボがいるのを見つけて驚いた。

良かった、私一人ではない。それに子爵家や、男爵家の子もチラホラ見られる。でも、何でだろう? 普通は貴族の子弟はみんな悪くてもBクラスなのに。


私は最後にフランソワーズ・ルブラン公爵令嬢を見て、理由に気づいたのだ。公爵令嬢がEクラスなので、私もEに配属されたのだと。


まあ、フランソワーズ様は昔から色々やらかしているから、また、なにかされたのだろう。そのとばっちりで私もEになったのだ。


私は式の後に、周りの友達からは

「あんたも大変ね。公爵令嬢のおもりで」

ととても同情された。


「でも、未来の王妃様の側近になれば言うことないんじゃない」

そう言ってくれる友達もいた。そう、こうなったらそうなるしかない。


私はそれを期待したのだ。しかし、フランソワーズ様は全く私達貴族を見てくれないのだ。メラニーとかいう男爵令嬢と平民の女の子、それと平民の男たちを引き連れていつもワイワイやっているのだ。


ええええ、私は何故ここにいるの?


私はどうして良いか判らなかった。



そんな時だ。聖女様に声をかけられたのは。


「あなたも大変ね。あんな悪役令嬢のおもり役にされて」

聖女様はまず同情してくれた。


そして、自分が殿下と仲良くしてるのを嫉妬した公爵令嬢に目の敵にされて、色々虐められていると涙目で言われたのだ。


あの行動が奇想天外、私達の思惑の中に入り切らない、フランソワーズ様が虐めなんかするだろうかと思わないでもなかったが、全く相手にされていない私は聖女様と仲良くなろうと心に決めたのだ。


聖女様は男たちと一緒にいることが多くて、私には戸惑いもあった。それに皆と何故かとても距離が近いのだ。


私には「誰か気に入った子がいたら紹介するわよ」

と言ってくれたが、聖女様の周りの男はみんな聖女様に夢中だ。そんな男はいらなかった。


そんな中、聖女様に言われたのだ。フランソワーズ様に虐められて辛い。なんとか虐められる自分の気持ちを少しは判らせたいから、彼女が殿下にもらった花束をメチャクチャにしてほしいと。

そんな事をしても良いのかと思う良心も片隅にあったが、自分を気に入ってくれている聖女様のためだと思わずやってしまったのだ。


でも、その後教室に戻ってきたフランソワーズ様が思わず泣き出したのを見て私は唖然とした。あの何をしても平然としていらっしゃるフランソワーズ様が泣かれていると。

私はとんでもない事をしてしまったのだと初めて気づいた。


そして、こんな事を命じてくれた聖女と付き合うのは止めようと心に決めたのだ。


でも、私がしばらく近づかないでいようとしたら、聖女に呼び出されてしまった。やむを得ず校舎裏に行くと、フランソワーズ様が王子の気をひくために花束をメチャクチャに自作自演したという噂を広めろと言ってきたのだ。


私はこれ以上は出来ないと断ると

「あんたそんな事を言って良いの? 私の頼みを聞かないというのならば、花束メチャクチャにしたのはあんただって皆に言いふらすわよ」

聖女の態度は豹変したのだ。


「そんな! それをしろと言ったのはあなたじゃないですか」

「何言っているのよ。そんな証拠がどこにあるのよ」

私はそう笑っていう聖女が実は聖女の殻をかぶった悪魔だと初めて知ったのだった。そうだ。確かにフランソワーズ様は行動が奇天烈だが、卑怯なことはしない。実は虐められたというのも、この悪魔の自作自演なのだということを初めて知った。


でも、もうどうしようもなかった。私は悪魔に魂を売ってしまったのだ。



でも、悪事は必ずバレるのだ。私は噂を流した咎で1週間の自宅謹慎を言い渡されていた。


でも、それだけでいいのか?。

フランソワーズ様の大切な花束をメチャクチャにしたのは私だ。ちゃんと告白して責任を取らないと。でも、そんな事をしたら、貴族界から爪弾きにあってしまうかもしれない。我が伯爵家もたちいかなくなるかも。何しろ相手は未来の王妃殿下。実家は公爵家なのだ。


悩んでいる時にそのフランソワーズ様自らいらっしゃったと聞いたとき、私は引導を渡される時が来たのだと悟らされた。


神様は悪事をお見逃しにはならないのだ。


更に、神様は私に試練を与えられたのだ。


いきなりフランソワーズ様が私に頭を下げられたのだ。今まで私を無視して悪かった。辛かったでしょうと。


ここまで言われたら私も罪を告白するしかないではないか。私一人の未来が閉じようと仕方がないではないか。私は学園を辞めて、修道院に行くことを決断した。


でも、フランソワーズ様は告白した私を、なじるどころか、なんとデコピン一つで許してくれたのだ。


思いっきりしばかれると警戒した私にデコピン一つだ。もっともとても痛かったけど、それだけで許して頂けるなんて、私は彼女こそが本当の聖女様だとその時に悟ったのだ。


メラニーとノエルも一緒に私を抱きしめてくれたし、不満そうな男の子二人はフランソワーズ様が一瞥して黙らせてくれた。


後でそれが第二王子殿下と未来の公爵様であると初めて知った。

それを知った時の父の慌てようったら無かったけど。


さすがフランソワーズ様。第一王子殿下だけに留まらず、第二王子殿下も顎でこき使うなんて。


私は一生涯フランソワーズ様に付いていこうと決めたのだった。


ここまで読んで頂いてありがとうございました。いつも、誤字脱字報告、感想、いいね、ブックマーク、評価等して頂いてありがとうございます!励みになります!


皆様方のおかげで、このお話、書籍化されました。

書籍版は以前に上げていた分を大幅に加筆修正させて頂いて、とても読みやすくなっていると思います。できれば書籍版も手にとって頂けたら嬉しいです!


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これ以降は以前に上げていた分を削除、後日談で話を繋いでいます。

ご了承下さい。


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