表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

257/319

閑話 アド視点11 フランの機嫌を取るために新作ケーキを持って行ったら古代竜に横取りされました

「うーん」

俺は悩んでいた。しかし、なかなかいい案が思いつかない。


「ちょっと殿下、仕事してくださいよ」

俺の後ろから側近のジルベールが文句を言ってきた。


しかし、今は仕事よりも、フランとのよりを戻すのが大切だ。


古代竜がフランの近くに出現したとの報に、俺は慌ててフランを助けようと飛び出したのだが、俺が駆けつけるよりも前に、フランはあっさりと古代竜をやっつけて、あろうことかペットにしてしまったのだ。


そして、夜通し駆けつけてきた俺に向かって

「で、この忙しい時に何しに来たの?」

と宣ってくれたのだ。


俺は何も言い返せなかった。


側近たちにはそら見たことかとか、フランが竜なんかに負けるわけがないとか、散々言われたんだけど。フランはどこか抜けたところがあるから心配なのだ。

「フラン様は抜けててもその無敵の魔力で負けるわけは無いのに」とか言ったオーレリアンに罰ゲームとしてトラクレール公爵の所に雑用として残してきたのは言うまでもないのだが。


祖母にまで、直ちにシュタインに戻って、仕事をしなさいと言われる始末だ。


俺は直ちにシュタインに戻って、矢のような速さで懸案事項を片付けると、王都に戻ってきたのだ。


しかし、今度は今までたまっていた第一王子としての仕事が山積みだった。

それも父が母と一緒に北の国に避暑を兼ねて外交に出てしまったので、その両親の分までこちらに回ってきたのだ。


本当にやってられない。


これではフランの所に行ってよりを戻す時間もないではないか!



「いっそ、フランソワーズ様に手伝ってもらえばどうですか? そうすれば教えるついでに仲良くなれるかもしれませんよ」

リシャールが言ってくれたが、


「いや、リシャール。それは流石にまずくないか」

「そうだよな。仕事が却って倍に増えるかもしれないし」

側近たちは好きに言ってくれるが、その事に俺は少しムッとしたが、考えるまもなく、それは十分にありえた。弟のジェドがかつて風邪の時に姉にやってもらって、却って仕事が倍に増えたと愚痴っていたのも聞いているし。


まあ、基本はフランは戦闘に特化しているのだ。

細かい文章作業は苦手だ。


「うーん、それは未来の王妃様としては良くないのでは」

ジルベールがボソリと言うが、


「もし、フランソワーズ様が王妃になられたらメラニーらが付くからその辺りは大丈夫なのでは」

「そうそう。今でもフラン様の傍には優秀な人間が多くいるし、彼女はいてくれるだけで、帝国や周辺可諸国には十二分に抑えになるからな」

リシャールらの言葉には俺はなんとも言えない顔になるが、まあ、事実そうだ。


「まあ、今後のエルグラン王国の安定のためにもぜひとも殿下にはフラン様を捕まえておいてもらわないと」

「という事で俺は出てくる」

俺はそのリシャールの言葉尻を捉えて行動に移すことにした。


「えっ」

「ちょっとアドルフ」

慌てる側近共をほって俺は執務室の外に飛び出したのだ。


やはり、困った時のハッピ堂頼みだ。


フランのために特別なお菓子を作ってもらおう。


俺はハッピ堂カフェに乗り付けると、特製のケーキを作ってもらったのだ。


これで絶対にフランの機嫌は直るはずだ。


俺は自信を持ってケーキの箱とともに王都に帰ってきたフランの公爵家のタウンハウスに駆けつけたのだ。


しかし、タウンハウスに入ろうとした時だ。俺の手からケーキの箱が瞬時に無くなったのだ。


「えっ?」

俺は何が起こったか判らなかった。


頭上を見るとなんと古代竜がケーキの箱を咥えていた。


「おい、こら、ケーキを返せ」

俺は叫んでいた。


しかし、古代竜の野郎はフンッと俺を無視してくれたのだ。


ここでオーレリアンがいれば囮として残してケーキを取り上げたのに。今はトラクレール公爵の下で日々書類仕事に追われている。

こんな事ならば連れてくれば良かった。俺は後悔した。


しかし、いつまでも見ていても仕方がない。


「この野郎!」

俺は魔術をお見舞いして竜からケーキを取り返そうとした時だ。


目の前に巨大な足が出現したのだ。


「えっ?」

俺は次の瞬間、屋敷の外に放り出されていたのだ。


なんと古代竜の前足で弾き飛ば連れたのだ!



そして、


ドボンっと


俺はフランの屋敷の傍のため池に頭から飛び込む形になってしまったのだ。

山の中の清流ではないので、池の水は緑色に濁っていた。

俺の折角の王子としての正装も台無しになってしまった。



「どうかしたのギャオギャオ?」

フランが部屋から顔を出すと、なんと古代竜は俺から取り上げたケーキの箱をフランに差し出してくれたのだ。


「えっ、これはハッピ堂の新作ケーキじゃない」

フランは目を輝かせて箱を開けてくれたのだ。

俺は目の前でフランのその俺に向けられる笑顔が見たかったのに、今は古代竜に横取りされてしまった。


「そうか、オーナーが届けてくれたのね」

フランが勝手に納得してくれるんだけど、違う。届けたのは俺だ!


しかし、古代竜にコケにされたまま、このずぶ濡れの状態で出ていく訳には俺のプライドが許さなかった。


「美味しい!」

フランは美味しそうにケーキを食べている。


そして、あろうことか

「ギャオギャオも食べる?」

「ギャオ!」

喜んで口を開けた古代竜の口の中にケーキの塊をフランは入れてやってくれたのだ。


俺と一緒に食べるはずだったケーキが……


なんと古代竜は俺の方を見下したように見下ろしてうまそうに食べだしたのだ。


この野郎!


絶対に許さん!


俺は歯ぎしりして悔しがるしかなかったのだ。


絶対にこの仇は取ってやる!


俺は心に誓った。


ここまで読んで頂いて有難うございます。

なかなかうまくいかないアド、最強のライバルギャオギャオの登場です。


ここで、皆様に久々の新作のご案内を

『ヒロインに転生したのに悪役令嬢の侍女やらされています!神様から授かったチート能力はド派手な衣装の魔法少女にならないと使えませんでした』

https://ncode.syosetu.com/n2856ii/


前世気弱で流され体質で言われるまま仕事していたら過労死してしまったアラサーのヒロインが、中学の頃いじめから助けてもらった悪役令嬢の下で侍女をする学園物語、

そう、悪役令嬢に振り回される最強ヒロインの学園恋愛物語のはず……


この下にリンク張っています。


読んで頂ければ嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
私のお話、ここまで読んで頂いてありがとうございます。

【コミックシーモアで電子書籍化】

『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど……』https://ncode.syosetu.com/n9991iq/


このお話がコミックシーモア様で電子書籍として先行配信中(シーモアへのリンク)https://www.cmoa.jp/title/1101429725

お義兄様とエリのダンジョン冒険の2万字の新規書下ろしとシーモア特典ss付
表紙画像

表紙画像
「次にくるライトノベル大賞2023」https://tsugirano.jp/
に皆様の応援のお陰でこの私の書籍がノミネートされました。
なんと上から5つ目に!

【この話が書籍化】

しました!
アルファポリスのレジーナブックスにて

『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』

全国1200以上の書店にて発売中です。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。

■アマゾンへのリンク


■楽天ブックスへのリンク


■hontoへのリンク


手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

つぎラノエントリー記念としてフランの子供時代の話書き出しました

新作

『小さいフランの大冒険『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません外伝』魔物も王子様も魔王だって怖くありません。でも、王妃様とマナーの先生は苦手かも……』

https://ncode.syosetu.com/n6598im/
私の

次の小説

はこちら!

『推しの悪役令嬢を応援していたら自分がヒロインでした』

https://ncode.syosetu.com/n2714ht/

前世でいじめられていたシルフィは、ゲームの中で悪役令嬢タチアナに助けられたのだ。そして、そのゲームの世界に転生したと知った時からタチアナの力になりたいと思っていた。ゲームでは悪役令嬢タチアナは婚約者に近づくヒロインを虐めて修道院送りになってしまうのだ。でも、いきなり入学式でタチアナと婚約者に会ってしまったシルフィは、ゲームの中でしか知られていないタチアナの恥ずかしい秘密をバラしてしまい、二人に驚かれてしまうのだ。そんな中、シルフィが面白いと上級生のアルに興味を持たれてしまい、大変なことになっていく。シルフィも知らない秘密もあってそれが判明した時にのっぴきならない状況に追いやられるシルフィのシンデレラ物語。
時計の鐘が12時を打つ時にシルフィの未来はどうなる?
今回もハッピーエンド目指して頑張ります!
私の最近

完結した小説

はこちら!

『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』

https://ncode.syosetu.com/n8311hq/

【新作】

始めました!

『聖女として召喚されたのに王宮を追放されて我儘貴公子の奴隷にされました。でも、いつの間にか溺愛されるシンデレラストーリー』https://ncode.syosetu.com/n6661in/

新作


『転生したら地味ダサ令嬢でしたが、助けてくれた王子様に恋してしまいました。』

https://ncode.syosetu.com/n9394ik/
前世病弱のヒロインが地味ダサ令嬢(平民)に転生して王子様に助けられて恋してしまう話です。身分差を持ち前のパワーで知らぬ間に弾き飛ばす物語になる予感が……

そのサイドストーリーがこちら


『転生したヒロインのはずなのに地味ダサ令嬢に脇役に追いやられてしまいました』

https://ncode.syosetu.com/n3874il/
実は地味ダサ令嬢の親友がヒロインでしたと言うお話です。地味ダサ令嬢の凄まじいばかりの行動力の前に翻弄されるヒロインのお話です 私の

一番の大作小説

はこちら!

『皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!』

https://ncode.syosetu.com/n8911gf/

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ