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【書籍発売記念】アド視点10 古代竜が婚約者の周りに出没すると聞いて慌てて飛んでいきました。

俺はフランに許されもせずに、そのまま、公国の後始末に駆り出されたのだった。

これをきちんとやったら、今度こそ許してもらおうと思いながら。


でも、仕事は次から次に出てくるのだ。


まず、公国には、大公が言った帝国教の前教皇はいなかった。

というか、逃げてもぬけの殻だった。


それも、公国に着くやいなや地下室に踏み込んだのだが、何か薬品がばらまかれていたみたいで、騎士たちの多くが被害に遭って使い物にならなくなったのだ。


いきなりの失態で、踏んだり蹴ったりだった。


その上、公国の民達は大公の下からこのエルグラン王国の統治になるのは嫌だと抵抗しだしたのだ。

旧帝国の公爵家の統治下から、下賤のエルグラン王国の臣民になるのは嫌だと。


文官達もサボタージュを始める始末だ。


何を言ってくれるのだ! 旧帝国なんて遥か昔に滅び去っているのだ。言いたくはないが、このエルグラン王国は周辺諸国のなかでも栄えている。今回の公国領の併合は、貧しい滅び去った帝国の遺物を引き受けるだけのとても面倒で我が国には何のメリットもない事なのだ。


文官達には、シルヴァンとジェラルドが奸計を張り巡らせて、汚職を二、三摘発した途端に、大人しくなったが、すべてが期待していたようには運ばなかった。


領民もたかだか貧乏公国に過ぎないのに、プライドだけがやたらと高いのだ。


俺はうんざりしていた。



そんな時だ。エルグランの北方に古代竜が出たと一報が入ってきたのは。


なんでも竜はフランが遊びに行ったという離宮のある高原の方に向かったというのだ。


国境警備隊は何をしている!


「殿下、古代竜じゃ、国境騎士団じゃ無理ですよ。帝国の最強の第二師団でさえ殲滅させられたんですから」

オーレリアンが言ってくれた。


「確かにその通りだが、それじゃあ、フランが危険じゃ無いか!」

「いや、殿下、フランは別格ですから」

俺の心配にオーレリアンが能天気に言ってくれるが、いくらフランが無敵だとはいえ、さすがに古代竜は無理だろう。

俺は慌てて、フランのところに駆けつけようとした。


「シルヴァン!」

「嫌です」

俺が後のことをシルヴァンに託そうと執務室に行くと、一言も言えないままに却下されてしまった。

「何が嫌なんだ?」

俺が慌てて聞くと

「ここを俺に任せて義姉上の所に行こうと言うんでしょう」

シルヴァンは何故か正確に判っていたのだ。


「兄上が行くなら、俺も行きますよ」

「何を言うんだ。そんな事したらここはどうなるんだ」

「後は優秀な文官に任せておけばいいんじゃないですか」

シルヴァンは言うんだが、今ひとつ言うことに信用ならない。


「ジェラルドに任せるのか?」

「ジェラルドはもう行く準備に入っていますよ」

俺の問にシルヴァンが答えてくれた。


「じゃあ誰がここを見るんだ」

「トルクレール公爵がいるでしょう。彼に任せましょう」

シルヴァンは言うんだけど、良いのか? いつもみたいに任せても。


「こんなちっぽけな公国をまとめることなんて、いつも犬猿の仲のルブラン公爵とラクロワ公爵の仲を取り持っている公爵にとっては朝飯前の事でしょう」

「それもそうだな」

思わず俺も頷いてしまったのだ。


俺はフランが心配で、この件でトルクレール公爵に恨まれることなんて考える暇もなかったのだ。


俺は直ちに、連れてきた中央騎士団の半数と、付近の騎士団に召集令を出して、フランのいる高原に向かったのだった。


準備に半日もかかってしまって、俺が出たのは夜半になっていた。


夜間の移動は危険だ、と言う騎士団長を無理やり連れ出して、俺は馬で駆けに駆けたのだ。


「絶対に着いたときにはフラン様が古代竜を退治してますって」

騎士団の一部はそう言ってくれるが、そんなの判らないではないか?

フランは魔術は凄いが、古代竜は天災級なのだ。それに多少抜けているところもあるし。

俺は心配で、夜通し駆けたのだ。流石に精鋭の中央騎士団は落伍者はほとんどいなかった。


流石の俺も徹夜で馬を飛ばしたので、着いた時はフラフラだった。



しかしだ。俺は必死に到着した途中の村で、とんでもないものを見せつけられたのだ。


「お手!」

「ギャオ!」

フランの掛け声に合わせて、座った古代竜が右手を差し出したのだ。


俺は目をひんむいていた。

な、何なのだこれは?

古代竜は飼い犬じゃあないんだぞ!


「おかわり」

ギャオ!

フランの声で今度は逆の手を差し出した。

「伏せ」

で伏せて

「服従」

でお腹出して寝そべっているんだけど、これが史上最強の古代竜のすることなのか?

どう見ても巨大な飼い犬にしか見えなかった。


何でも、フランは自分等の食料を古代竜に食べられて、完全に怒りのあまりプッツン切れてしまって、一撃で古代竜を蹴倒したらしい。

その結果、古代竜は完全にフランのペットと化してしまったらしいんだけど……


そんな事があり得るのか?


俺も見なければ到底信じられなかっただろう。

そう言えばフランは5歳の時に魔の森の主のフェンリルをペットにしてしまったんだった。

古代竜とフェンリルは違うような気もするが、まあ、フランにとっては同じなのかもしれない。

その母親ももう一匹、古代竜をペットにしているし……。


でも、俺達は何故必死に走ってきたのだ?


しかし、


「で、この忙しい時に何しに来たの?」

最悪最強の古代竜をペット状態にしてしまった、フランの一言に、俺たちは何も言い返せなかったのだった。


ここで、書籍発売記念は終わりです。

読んで頂いてありがとうございました。


本の方も読んでいただきましたか?


本屋さんに私の本が山積みになっているのを見て作者としても感激しています。


皆様にも、ぜひともお取り頂けたら嬉しいです!






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