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王弟の息子視点7 暴虐女に手錠をはめ返されました

本日2話目です。

俺は夢を見ていた。

何故か小さい時の話だった。


「カミーユ、あんたは私の騎士になりなさい」

暴虐女は小さいときからわがままだ。

「はんっ、何で俺様が、お前の騎士をやらないといけないんだよ。お前こそ、俺の侍女になれよ」

「何ですって、あなた、私に逆らうの?」

「お前、王弟の息子の俺様に逆らうのか?」

他の誰でも、アドルフやシルヴァン以外はこの一言で従うはずなのだ。


「はあ? おうていって何なのよ?」

「えっ?」

キョトンとした顔で聞かれで俺は驚いた。

こいつは馬鹿なのか? 普通は王弟くらい知っているだろう。


「王弟ってのは国王陛下の弟ってことだ」

「じゃあ、国王陛下の弟の息子ってことでしょう? アドとあなたじゃ、どちらが偉いの?」

「それはアドルフだけど」

「じゃあ、私の方が偉いじゃない」

「何でそうなる? お前はまだアドの婚約者に過ぎないだろうが」

俺は言ってやったのだ。たかだか公爵令嬢風情が生意気なんだよ、通れは思っていたのだ。


「だっておばあちゃんが、私の身分はアドと同じだって、言ってくれたもん」

「おばあちゃんって誰だよ。辺境伯の母親って言うんじゃ無いだろうな」

俺は暴虐女が魔の森の横の公爵家だと聞いていたので、そう言ってやったのだ。


「わ、若様……」

何故か後ろから俺の護衛が真っ青で止めようとしてくる。

何故、こいつらそんなに怯えているのだ?


「どうしたのだ? 母上もそう言っていたぞ」

俺には理解できなかった。


俺はバカ正直すぎたのだ。


その後に母上に呼ばれて、「お前は建前と本音を知らなさすぎる」と延々怒られたのだ。

子供にややこしいことを教えるなよ、と思ったが、貴族ならば当然身に着けなければならないらしい。

子供心ながらにフランの家族の悪口を言うと、例え王弟といえども大変なことになるというのはなんとなくわかった。魔の森を抑えているだけにルブラン家の父母は化け物級に強いらしい。それも常識が無いのだとか。怒らせると王弟といえどもどうすることも出来ないらしい。


そう言うことを早く言えっていうんだ。それも子供に判るように。


もっとも怒っている母が怖くてそれ以上言えなかったけれど。


でも、フランは辺境伯という意味がよく判らなかったらしい。俺は辺境の伯爵と公爵家を貶めて言ったのだが……フランが馬鹿で良かった。俺は子供心に安堵した。


「おばあちゃんはおばあちゃんよ」

「だから何処のババアだって言うんだよ」

俺はフランの言っている人物が誰か理解していなかったのだ。


「あっ、おばあちゃん」

フランが親しげに呼んだので、俺は何処のばあさんだろうと振り返って固まってしまった。

なんとそこには泣く子も黙る王太后様がいらっしゃったのだ。


陛下でさえ、必死で避けている王太后様をおばあちゃん呼びするこいつはなんて奴なんだ。


「お前は今私のことをババアとか言っていたのかい」

俺は王太后の言葉に思わず硬直してしまった。


「い、いえ、申し訳ありません。良く理解できなくて」

「私がフランに言ったことで何か文句があるのかい」

「い、いえ、滅相もありません」

俺はこの時ほど怖いと思ったことはなかった。

そして、絶対にフランに逆らうのはやめようと心に誓ったのだ。

王太后に言い返せるやつなんてフランしかいないのだ。

何しろ王妃様も陛下も王太后様は苦手にしているのだから。

こいつは傍若無人さが何故か王太后に受けたに違いないのだ。



そこではっと目が覚めた。


良かった、夢だった。一瞬ほっとしたが、現実を思いしだして最悪なのは同じだった。


俺達が用意した騎士たちは壊滅。生きていてもしばらく使い物にはならないだろう。

そして、対する暴虐女は元気いっぱいだった。一人入れば国家が滅ぶと噂されている暴虐女が……

事実アルメリア王国の海賊船団はこいつのお陰で壊滅させられていた。


でも、その暴虐女の前で、クラリスは健気にもちゃんと対抗していた。


俺は感激した。


「そうなの? でも、私に腐ったもの食べさせていたわよ」

さすが暴虐女食い意地だけは張っている。


「それもカミーユがさせていたんじゃないの」

シルヴァンは余計なことを教えてくれた。あいつ、食べ物の恨みだけは怖いのだ。下手したら殺される。俺は慌てて逃げようとした。

俺に暴虐女が向かってこようとした。これは絶体絶命だ。

俺が諦めかけた時だ。


「ちょっと待ちなさいよ。わがままフランソワーズ」

クラリスが言うや、暴虐女にガチャリと呪いの腕輪を嵌めてくれたのだ。

そうだ。なにかの手違いで暴虐女が出てきた時の最後の手段で呪いの腕輪をクラリスに持たせていたのだ。


「良くやった。クラリス。これでもう暴虐女は終わりだ」

俺はそれを見て、喜んで起き出したのだ。


「フン、それは、旧帝国に伝わる呪いの腕輪だ。嵌めた奴は苦しみながら死ぬのだ」

俺は喜々として言った。


でも、暴虐女はしばらくしても全然苦しまないのだ。おかしい。これを試しに犯罪者にしたら10分ももたなかったのに。


「貴様は苦しいはずだ」

俺は言ってやったのだ。

「まあ、少し気持ち悪いけれど」

「そうだろう。そうだろう。これからどんどん苦しくなるのだ」


パリンッ

しかし、何故か呪いの腕輪が外れてしまったのだ。

「な、何故だ。呪いの腕輪が効かないなんて嘘だ!」

ひょっとして呪いの腕輪は馬鹿には効かないのか?

呪いを怖れない馬鹿には効かないのかもしれない。

俺はその事実にたどり着いて唖然とした。


「はいっ」

あろうことか暴虐女は俺の腕に腕輪を付けやがったのだ。

「な、何をする」

「効果は自分で試してみなさいよ」

暴虐女の言葉に俺は蒼白になった。

普通の人間はこいつとは違い、10分ももたないはずだ。


「う、嘘だ。止めろ…… ギャーーーー」

俺は凄まじい痛みに校庭中をのたうち回ることになったのだ。


五臓六腑に激痛が走り、叫び声も挙げられなくなった。もう終わりだ。


「カミーユ様」

誰かが呼びかけてくれたが、あまりの痛みに意識が飛んでいったのだ。


やっと王弟の息子視点終わりです。

すみません。長くなってしまいました。

後はサクッとラストまで突っ走ります?



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