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呪いの腕輪を嵌められたので、王弟の息子に嵌め返しました

「おおぼけ野郎!」

私は叫びながらアドに飛び蹴りを入れたのだ。

その蹴りはアドの顔面を直撃、吹っ飛ばしていた。

アドは横にいたカミーユとエーリックを巻き込んで吹っ飛んで行ったのだ。


フッフン! 見たか?


我ながら完璧だ。私は自画自賛した。


しかし、周りの皆は唖然としていた。


フェリシー先生はあいた口がふさがらずに、王妃様も茫然としていた。


周りの皆も。


特に一年生なんて呆然も唖然も通り越して呆けたように見ている。

第一王子を公爵令嬢が蹴り倒したのだ。普通は不敬罪だ。下手したら処刑だ。


まあもっとも、我がクラスの皆はまたやったという顔していたけれど。


「さすが、フラン様。見事な飛び蹴りでしたね」

ジャッキーなんて変なこと言っているし。


「スカートで飛び蹴りするなんてすげえな」

「えっ?」

アルマンの独り言に私はショックを受けた。

そうだった。私は制服だった。スカートでまたやってしまった。


「フランソワーズ・ルブラン」

私の前に目を吊り上げたクラリスが来たのだ。それも呼び捨てにされた。今まで、どんなに無理言っても絶対に様付けだったのに。

私はクラリスが繰られているのが判っていても、とてもショックを受けた。


「あなたには反省房で反省するように指示していたはずです」

そう言い切るクラリスの髪飾りが赤く怪しく光っていた。


「クラリス。あなた、先輩の私を呼び捨てにするなんて良い度胸があるわね」

私はニコリと笑って見た。


「何を言うのです。生徒会室で、殿下とみだらな行為をしていたあなたなど、先輩として私は認めません」

一部の後輩たちも頷く。


しかし、遠くにいるトルクレール公爵は真っ青な顔をして震えていた。

口パクで必死にやめろと言っている。

トルクレール公爵はどうやら白みたいだ。


「ふんっ、高々キスくらいで愚痴愚痴言わないで。キスしたアドは責任取らせて今蹴倒したわよ」

私は言い切ったのだ。


「すげえ、公爵令嬢が王子に責任取らせているぞ」

アルマンの独り言が響いた。

「いつもの事だろ」

バンジャマンが頷いている。

「そこ、煩い」

私が睨みつけると

「やばい」

二人して地面に伏せるんだけど、何でだ?


「高々キスですって。二人で裸で抱き合っていたじゃない」

クラリスの声が会場に響き渡った。


「な、何ですって」

「殿下とフランが裸で抱き合っていたですって」

ざわめきが起こる。


「でも、今の見たらそれはないよな」

「じゃあ、殿下がフランを襲っていた?」

「お前、そんな恐ろしいことしたらどうなることやら」

「まあ、ああなるよな。フランの方が圧倒的に強いし」

誰かの疑問にアルマンとバンジャマンが倒れているアドを指さして言った。


「そうよ。クラリス。あんた、よくも嘘のデマ流してくれたわね」

私が一歩前に出た。


「嘘じゃないわ」

私の勢いに押されて思わずクラリスは一歩下がる。


「それに、よくも腐ったパンとスープを私に食べさせたわね。挙句の果てに絶食させるし」

私が更にクラリスに近付く。


「フランの食べ物の怒りは怖いぞ」

「あの子死んだな」

後ろからなぜかアルマンとバンジャマンのささやく声が響くんだけど。


「何よ。あなた。生徒会の会長代理の私に逆らうわけ。いつもいつも、自分勝手に仕事を押し付けて来て。中等部でも本来ならば自分が生徒会をやらないといけないのに私にさせて。そのくせ、何故か学園でも一番目立っていて。

今も学園の底辺のEクラスにいるのに、何故か私のいるAクラスより目立っているし。

中等部でも、私は生徒会長なのに、何故か、あなたが目立っていたなんて絶対におかしいわよ。

私は生徒会長という名の単なる事務の雑用係じゃないわよ」

クラリスが言い切った。


そうか、そんなふうに思っていたのか。私は知らなかった。

でも、絶対に生徒会長を代わってあげようなんて思わないけれど。


「そこをカミーユに付け込まれたのね」

私は憐れみをもってクラリスを見た。


「はあ、何を言っているのよ。優しい、カミーユ殿下はそんな私を慰めてくれたのよ。君の努力は無駄ではない。もっと皆に認められていいはずだって」

「だからって、反逆に組して良いわけないでしょ」

「何を言っているの? 反逆なんてするわけ無いでしょ。自分が暴れて校舎を全壊させたあなたこそ、反逆したのではなくて」

クラリスが私を睨み返してきた。


「義姉上、反逆の件はクラリス先輩は関係ないかと」

後ろからヴァンが慌てて言ってくるんだけど。


「そうなの? でも、私に腐ったもの食べさせていたわよ」

「それもカミーユがさせていたんじゃないの」

「そうなの。じゃあ今一度殴ぐってやるわ」

私はなんとか起き上がろうとしているカミーユに近づこうとした。


「ちょっと待ちなさいよ。わがままフランソワーズ」

クラリスが言うや、私にガチャリと腕輪を嵌めてくれたのだ。


何かこれも禍々しい輪っかだ。

呪いの匂いがプンプンする。


「良くやった。クラリス。これでもう暴虐女は終わりだ」

それを見て、嬉々としてカミーユが起き出したのだ。


「フン、それは、旧帝国に伝わる呪いの腕輪だ。嵌めた奴は苦しみながら死ぬのだ」

カミーユが嬉しそうに言う。


何かこいつはめちゃくちゃ脳天気な頭の構造をしているみたいだ。


「ほら、苦しいだろう。試しにさせてみた奴隷は10分ももたなかったがな」

得意げに言ってくれるんだけど。


「ふうーん」

私は馬鹿にしたようにカミーユを見てやった。


「ふんっ、そんな、強がっても無理だぞ。貴様は苦しいはずだ」

「まあ、少し気持ち悪いけれど」

「そうだろう。そうだろう。これからどんどん苦しくなるのだ」

カミーユが言い募ってくれるんだけど。別にそれ以上は何もない。


パリンッ


そして、勝手に腕輪が外れたんだけど。腕輪から煙が上がっていた。


「な、何故だ。呪いの腕輪が効かないなんて嘘だ!」

カミーユは私に文句を言ってきた。


「はいっ」

仕方無しに私はカミーユの腕に腕輪を付けてあげたのだ。


「な、何をする」

カミーユが慌てるがもう遅い。嵌った腕輪は取れないみたいだ。


「効果は自分で試してみなさいよ」

「う、嘘だ。止めろ…… ギャーーーー」

そして、カミーユの絶叫が校庭中に響いたのだった。




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