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王弟の息子視点4 暴虐女が反省房の中にいないのを知りました

暴虐女はあっさりと反省房に閉じ込められた。

本当に単細胞だ、と

いうかこの暴虐女はフェリシーに弱すぎるんじゃあないか?


いつも授業では怒られているみたいだし、皆に恐れられていた王太后は全く苦にしていなかったのに!


本当に変な奴だ。



まあ、こいつの命自体も風前の灯火だが。


叔父とアドら従兄弟達を一掃した後は、ルブラン家に対して人質になるのは確実だ。

こいつの父親が暴虐女を溺愛しているのは周知の事実だ。

アドとの婚約も最後まで渋っていたのも公爵である父親だ。

それを人質にすればあの化け物じみた両親も素直に出てこらずにはいられないだろう。

何しろ暴虐女は、今現在王国最強の牢に閉じ込められているんだから、こちらとしてもわざわざ捕まえる手間暇がかからない。

こいつを人質にして、こいつの両親を捕まえた後は、家族で公国の連中に渡せば終わりだ。


積年の恨みを晴らすと大公は言っていたから、おそらく公国の公衆の面前で処刑されるだろう。


そう思うと少し可哀想な気もするが。

まあ、仕方があるまい。


「カミーユ、暴虐女がどうしているか見に行こうぜ」

大公家のエーリックが楽しそうに言ってきた。


こいつもあの暴虐女は嫌いみたいだ。

剣術で瞬殺されたように負けて悔しがっていたし。「なあに、魔術なら勝てるさ」と豪語していたが、何しろ相手はあの暴虐女だ。勝てる保証はないし、おそらく勝てないと俺は踏んでいた。

それを言うと、怒るから言わなかったが……


その今回の作戦を邪魔する可能性のある暴虐女が、自ら、王国でも最高の頑丈さを兼ね備えている反省房に閉じ込められたのだ。


反省房は一旦閉じ込められると、出られないのだ。何しろ王国最強魔術師と言われたルブラン家の女帝と怖れられた三代目でさえ、脱出できなかったのだ。


いくら暴虐女が強いとはいえ、この結界を抜け出すのは無理だろう。


「あの子を殺すのは可哀想じゃないか? 出来たらアドルフが死んだらお前の婚約者にしたらどうだ」

とか、父はふざけたことを言ってくれたが、俺はアドルフみたいにあの女の尻に敷かれるのは嫌だ。


父は何故かあの暴虐女に甘いのだ。いつもなぜか会うたびに珍しい外国の菓子を与えていた。

あいつは天性の年上キラーかもしれない。


何しろあの暴虐女は俺らが怖れていた王太后にも平気でお菓子をもらって喜んでいた能天気だ。父も何度か助けてもらったことがあるとか言っていたが……


俺はパスだ。

母もあの暴虐女の母親にはひどい目に合わされたみたいで、絶対に娘にするのは嫌だと言ってくれた。

俺も妻にするなら、クラリスみたいにおとなしい女が良い。



俺はあんまり暴虐女には会いたくなかったが、ちゃんと反省房で大人しくしているかどうか確認したほうが良いかもしれない、と気になったのだ。


虫が知らせてくれたみたいだった。


それに落ち込んでいる暴虐女を見られる機会なんてめったにないことだ。


俺達は目立たないように夜遅くに反省房に向かった。



反省房の前には我が家の騎士がいた。


フェリシーには中央騎士団の騎士だとフランと親しすぎて逃がす可能性があるから、と言って自家の騎士を連れてきたのだ。


「どんな感じだ?」

俺が聞くと


「最初はブツブツ文句言っていましたが、最近は静かですよ。食い物も腐っているパンとゴミ箱をあさって作ったスープだけを入れていますし」

俺は笑った騎士のその言葉に少し鼻白んだ。

暴虐女は食い意地が張っているはずだ。なんでも喜んで食べるだろう。しかし、流石にその食事を与えるのは不味いのではないかと思ったのだが……


「奥方様のご命令です」

そう言われれば何も言えなかった。しかし、母もいくら暴虐女の母にひどい目に合わされたからといってそこまで酷いことをするのはどうかと俺は思った。


「おいおい、さすがにそんな食事じゃ、暴虐女もお腹を壊して泣いているんじゃないか?」

エーリックは笑って言ってくれた。こいつも鬼畜だ。



「そうかも知れません」

一緒に笑った騎士が反省房の前の鍵を開けてくれた。


その前の扉から中をエーリックが除く。


「うん? 腹痛で臥せっているのか? 姿が見えないが」

エーリックは狭い扉の窓から中を見るが見つけられないみたいだ。


「いや、そんなはずはないと思いますが」

騎士も慌てて中を見るがいない。


「取り敢えず、開けてみろ。中で倒れているかもしれない」

俺達は慌てて中に入った。


「おい、いないぞ!」

「そんな訳無いだろう」

俺は叫んだが、隠れられるようなところは何処もない。

なんと暴虐女は中にいなかったのだ。



反省房の中から抜け出しているのがバレてしまったフラン。

一大ピンチ到来!

次話をお楽しみに!



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