表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

22/319

悪役令嬢として公爵らを論破しているところに、第二王子が乱入して私の援護射撃をしてくれました

私の高笑いに皆ドン引きした。


「『わっはっはっは』は悪役令嬢じゃなくて、どっちかと言うと魔王様の馬鹿笑いじゃない!」後で話をさせられたメラニーが発した一言が胸にグサリと突き刺さったが、私はこの時は全くおかしいとは思わなかったのだ。普通悪役令嬢の笑いはメラニーによると「オーッホッホッホ!」だそうだ。そんな事は知ったことじゃないんだけど・・・・


「確かにラクロワ公爵の言われるように、私は周りの友人たちが、私がやっていないと善意で広めてくれるように言うのを止めませんでした。しかし、それの何が悪いのですか?」

開き直ったように言うと私は公爵らをきっとして睨みつけたのだ。


「何を開き直っているのだ。平民共は『聖女様が花束をめちゃくちゃにした』と言っているのだぞ」

「平民共平民共と公爵閣下らしからぬ言い方ですね」

私は公爵を笑ってやったのだ。


「何だと」

「全国民の99.9%以上が平民の方々ではありませんか。その方々を平民共平民共と上から目線で貶めるような言い方をまずは止めて頂けませんこと」

私はきっとして言った。

「な、何だと」

「平民の方々がいなくなったら公爵領も国も成り立たなくなるのです。本来平民の皆様のおっしゃることはこの国の本当の心なのです。それを馬鹿にしたように言うのは止めていただきたいのです」

ぐっと公爵は詰まってしまった。ふんっ、正論を言われると流石に返せまい。


「もっともこの事は私が指摘するのではなく、本来は心の清い聖女様が真っ先に注意されるべきだと思いますが、目の前の聖女様はそのようなことには考えも及ばないのでしょうね。何しろ私のクラスメートに向けて伯爵の娘に逆らうのかと貴族の身分を笠に着て脅していらっしゃいましたから」

私は笑ってピンク頭を見てやった。


「私は脅してなどしておりません」

私の言葉にピンク頭が慌てて反論してきた。


「何を言う、私もはっきりと見ていたぞ。その場で注意したよな」

アドが呆れて言った。


「そんな・・・」

ピンク頭がまた泣き出して、


「で、殿下。娘はまだ貴族というものに慣れておらず・・・・」

「威張るのに慣れておられていないのですか?」

伯爵の言い訳を私は一刀両断した。

伯爵は悔しそうな顔をしたが、みんなの冷たい視線を前にして何も言えなかった。


「ルブラン公爵家令嬢。ご高説はもっともですが、今上がっている問題点は貴方が聖女様を貶める噂するのを否定しなかった点なのですが」

立ち直った公爵が言ってきた。


「何をおっしゃっていらっしゃるのか良く判らないのですが。友人たちは私の前で私がやっていないと真実を話すと言ってくれたので、私は感謝しただけですよ。それのどこが悪いのですか?」

顎を上げて尊大なふりして言い切ってやった。


「平民達は聖女様が花束をめちゃくちゃにして教室中にばらまいたのだと噂しているのだぞ」

共を達に変えただけなんだけどまあ面倒くさいからそこはスルーしよう。


「さあ、それはどうだか知りませんが。私は皆が私が自作自演して花束を教室にばらまいたのではないと真実を話すと言ってくれたのを聞いていただけですから」

「そんな言い訳が通用するわけはないだろう」

「そうです。公爵令嬢は我が娘が貶められるのをただ笑ってみておられたのです」

公爵の言葉に伯爵がその尻馬に乗って言ってくれた。


「ほううう、とするとそちらの公爵令嬢と伯爵令嬢は『私が自作自演で王子の関心を引くために花束を教室中にまいた』と聞いた時に『フランソワーズならばやりかねないわね』と笑っておられたそうですが、それはどうなるのです?」

「私は笑ってなどいないわよ」

「そうです。ただ聞いていただけで・・・・」

言ってしまってからグレースはしまったという顔をした。聞いていただけなら私と一緒だ。


「私と何が違うんです」

私の言葉にさすがに公爵連中は黙ってしまった。折角私を貶めようとしたのに、逆襲されて悔しそうにしている。


「私がやったと平民たちに言わせるように仕向けたくせに」

ピンク頭はなおのこと言い募ってきた。こいつは本当に馬鹿なのか?


「ローズ嬢。フランがそう言った証拠があるのか?」

「伯爵令嬢は公爵令嬢がただ笑ってみていたとおっしゃいました」

「だから君と何が違うんだ」

アドの言葉に


「いや、そんな、酷い。殿下、私を信じて下さい」

ピンク頭が言うが、この場で何を信じろというのだ?

陛下も白い目でピンク頭を見ておられるし、公爵は青くなっている。


その時だ。


ドンッ


という大きな音で扉が開けられた。


「姉上、お会いしたかったです」

そして、ヴァンがいきなり入ってきたのだ。


えっ? このタイミングで何をしに来たんだ?

ヴァンが入ってきたことで私は頭を抱えたくなった。


「シルヴァン。何をしに来たのです。あなたは呼ばれていないはずです」

王妃様が氷のような冷めた声を出して注意した。


「申し訳ありません。妃殿下、でも、アドルフ様に呼ばれたのです」

ヴァンは元々王妃様には絶対に母上とは言わないが、アドに対しては兄上って呼んでいるのに、何でそう言わないんだろう。アドは驚いた顔をしているし、ヴァンは勝手に入ってきただけだ。


「姉上、2週間ぶりですね。お元気ですか?」

ヴァンは何しに来たんだろう? なにか不吉な予感がするんだけど。この笑顔は何かいたずらして私が骨を折らねばならないパターンなんだけど。


「シルヴァン。何しに来たのだ」

陛下まで呆れた顔でヴァンを見ている。


ヴァンはそれを無視してキョロキョロ周りを見渡すと、

「あああ、ピンク頭のお姉ちゃんだ」

珍しいものを見るように言った。こいつ絶対にわざとだ。


「だ、誰がピンク頭よ」

ピンク頭が怒って言った。

「そうです。公爵家の息子の分際で、陛下の前に勝手に出てくるなどどういう教育をされているのですかな公爵令嬢」

私を見て勝ち誇ったように伯爵が言った。いや、彼は私の弟でなくて王子なんだけど・・・・

私は仕方なしに陛下を見た。


「いや、すまん、伯爵。シルヴァンは私の息子だ」

陛下が苦々しそうに言う。


「えっ、これは失礼しました。第二王子殿下とはつゆ知らず」

伯爵は慌てた。完全に彼の失言だ。生まれの関係もあってかヴァンはまだ、殆ど公の場に出ていない。公爵も頭を抱えている。確かに先程の物言いは王子に対しては失礼だろう。最も私はいつもそれ以下の対応をしているが。

だが陛下にしても自分の息子が礼を失しているので強く出れない。陛下はヴァンにさっさと出ていけと目で合図された。


でもヴァンは陛下の戸惑いを全く無視して、


「まあ、いいや、僕、そのピンク頭のお姉ちゃんが、そこの公爵令嬢に校舎の影で『ジャクリーヌ。あんたのクラスで姉上がアドルフ様の気を惹くために花束を自作自演でメチャクチャにしたと噂しなさい』と言っているのを見たよ」

「ちょっと、待ってよ、私はジャクリーヌじゃないわよ」

「そうよ。私が言ったのはジャツクリーヌ伯爵令嬢よ」

言ってしまった後にピンク頭はしまったという顔をした。


「ほうら。やっぱり余計な噂流したのはお姉ちゃんたちだよね」

ニコリと笑ってヴァンが言った。


「聖女が聞いて呆れるよね」

ヴァンは白い目で見下す。

伯爵とピンク頭は青い顔をしている。


「えええ、ローズあんた、そんな事を指示していたの」

白々しくもグレースがピンク頭のせいにしていた。こいつも馬鹿だ。そんな事言ったらピンク頭がどう出るかわからないのか?


「何言っているんですか。そうするように指示したのはグレース様ですよね」

「ちょっと黙りなさいよ。私はそんな事は」

二人がいきなり言い合いを始めた。

その横では公爵と伯爵が青い顔をしていた。



結局ヴァンの乱入によって、グレースとピンク頭は二人で共謀して私の噂を流したと認めてしまっていたのだ。

折角、私を嵌めようとして画策した公爵と伯爵は、陛下に白い目で見られて二人の令嬢を鍛え直すと言わざるを得なくなり、二人は1週間の謹慎処分が課せられることになってしまったのだ。


ふんっ、私を嵌めようとなんかするからよ。

私は悪役令嬢の高笑いを心のなかで思いっきり奴らにしてやったのだった。



この話辺りから書籍版とは大幅に変わっています。

書籍版も合わせて読んで頂けたらとても嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
私のお話、ここまで読んで頂いてありがとうございます。

【コミックシーモアで電子書籍化】

『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど……』https://ncode.syosetu.com/n9991iq/


このお話がコミックシーモア様で電子書籍として先行配信中(シーモアへのリンク)https://www.cmoa.jp/title/1101429725

お義兄様とエリのダンジョン冒険の2万字の新規書下ろしとシーモア特典ss付
表紙画像

表紙画像
「次にくるライトノベル大賞2023」https://tsugirano.jp/
に皆様の応援のお陰でこの私の書籍がノミネートされました。
なんと上から5つ目に!

【この話が書籍化】

しました!
アルファポリスのレジーナブックスにて

『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』

全国1200以上の書店にて発売中です。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。

■アマゾンへのリンク


■楽天ブックスへのリンク


■hontoへのリンク


手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

つぎラノエントリー記念としてフランの子供時代の話書き出しました

新作

『小さいフランの大冒険『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません外伝』魔物も王子様も魔王だって怖くありません。でも、王妃様とマナーの先生は苦手かも……』

https://ncode.syosetu.com/n6598im/
私の

次の小説

はこちら!

『推しの悪役令嬢を応援していたら自分がヒロインでした』

https://ncode.syosetu.com/n2714ht/

前世でいじめられていたシルフィは、ゲームの中で悪役令嬢タチアナに助けられたのだ。そして、そのゲームの世界に転生したと知った時からタチアナの力になりたいと思っていた。ゲームでは悪役令嬢タチアナは婚約者に近づくヒロインを虐めて修道院送りになってしまうのだ。でも、いきなり入学式でタチアナと婚約者に会ってしまったシルフィは、ゲームの中でしか知られていないタチアナの恥ずかしい秘密をバラしてしまい、二人に驚かれてしまうのだ。そんな中、シルフィが面白いと上級生のアルに興味を持たれてしまい、大変なことになっていく。シルフィも知らない秘密もあってそれが判明した時にのっぴきならない状況に追いやられるシルフィのシンデレラ物語。
時計の鐘が12時を打つ時にシルフィの未来はどうなる?
今回もハッピーエンド目指して頑張ります!
私の最近

完結した小説

はこちら!

『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』

https://ncode.syosetu.com/n8311hq/

【新作】

始めました!

『聖女として召喚されたのに王宮を追放されて我儘貴公子の奴隷にされました。でも、いつの間にか溺愛されるシンデレラストーリー』https://ncode.syosetu.com/n6661in/

新作


『転生したら地味ダサ令嬢でしたが、助けてくれた王子様に恋してしまいました。』

https://ncode.syosetu.com/n9394ik/
前世病弱のヒロインが地味ダサ令嬢(平民)に転生して王子様に助けられて恋してしまう話です。身分差を持ち前のパワーで知らぬ間に弾き飛ばす物語になる予感が……

そのサイドストーリーがこちら


『転生したヒロインのはずなのに地味ダサ令嬢に脇役に追いやられてしまいました』

https://ncode.syosetu.com/n3874il/
実は地味ダサ令嬢の親友がヒロインでしたと言うお話です。地味ダサ令嬢の凄まじいばかりの行動力の前に翻弄されるヒロインのお話です 私の

一番の大作小説

はこちら!

『皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!』

https://ncode.syosetu.com/n8911gf/

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ