表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

211/319

後輩誘拐の犯人は判りませんでした。

「ヴァネッサ!」

私は馬を飛び降りると慌ててヴァネッサに駆け寄った。


「フラン先輩!」

ヴァネッサの縄をほどくと彼女は私に抱きついてきた。

「大丈夫だった?」

私が聞くと

「はい、でも怖かったです」

ヴァネッサが少し震えている。

前世も含めて初めて私を「先輩」って、呼んでくれた後輩を拐うなんて許さない。



「この女!」

まだ残っていた荒くれ者たちは、私達を襲って来ようとした。


ピキッ

切れた私は一瞬で男たちを弾き飛ばす。

「ギャっ」

男たちは壁に叩きつけられていた。


「もう許さない。可愛い後輩に酷いことしてくれて」

私は残りの立っている奴らを睨みつけたのだ。


「やべー」

「逃げろ」

荒くれ者たちは慌てて外に飛び出して逃げようとした。


私が逃がすまいと魔術を発動しようとした時だ。


ダンッ

アドが馬で飛び込んできて逃げようとしていた荒くれ者どもを弾き飛ばす。


「ギャッ」

男達は地面に投げ出された。



「動くな!」

そこに遅れて騎士たちが次々に駆け込んで来た。


残りの奴らを一網打尽に捕まえてくれた。


「で、誰に頼まれて、このようなことをしでかしたの?」

私は手近にいた男の胸ぐらを捕まえて聞いた。


「俺達が話すと思うのか」

男はいきがって言ってくれた。


「ふうーん。見慣れない顔ね。あなた私を知らないの?」

私はニコっと笑ってやった。


「は、破壊女……」

捕まった一人の男がボソリと呟いた。

「な、何だと、お頭は破壊女に手を出そうとしたのか」

「嘘だ……」

捕まっている一部の男たちは蒼白になっている。


「何だそれは」

私に胸ぐらを捕まえられている男は知らないみたいだ。


「ば、馬鹿、すぐに謝れ」

「お前燃やされるぞ」

「や、止めてくれ。屋敷ごと俺達を燃やすのは。燃やすのはその男だけにしてくれ」

男たちは必死に命乞いを始めるのだけれど。

何よ! それは!


私が化け物みたいじゃない!


私を知らない奴には少し頭にきたが、化け物扱いされるのも嫌だ。


「あんたたち、何か言った」

私はその男達を睨みつけると


「い、いえ、」

「お頭がフラン様に逆らっているなど、知りませんでした」

「その男は公国の人間で、フラン様のことをよく知らないんでさ」

下っ端の一部の男たちは必死に言い募ってきた。


「ふんっ、貴様なんぞ、俺達の大親分がやっつけてくれるさ」

男はなおも粋がってくれた。


「ふうん、このまま燃やそうか」

私はそう言うと男の前に火の玉を出したのだ。


「えっ」

男はぎょっとしていた。

「いや、フラン様。燃やすならその男だけで」

「俺達は関係ありません」

「何卒お許しを」

周りの男達が必死に言うが、私の腕の中の男はなおも屈しなかった。


「大親分って誰なの? さっさと言わないと燃やすわよ」

私は火の玉を男に近づけた。


「いや、ちょっと待て」

流石に男は慌て出した。


「お、俺らは聞いていない。お頭に命令されたんだ」

男が慌てて言い訳するが、本当かどうかは判らない。

そのうちに男が暴れて、火の玉が男の髪の毛に燃え広がった。


「ギャーーーー」

男が悲鳴を上げたので、頭の上から水をぶっかける。

「助けてくれ、まだ死にたくない」

男は空元気も無く濡れ鼠になって震えていた。


「フラン、それくらいでいいだろう。後は騎士団とシルヴァンに任せよう」

後ろからアドが言ってくれたけれど、大切な後輩を拐われた私としては許せなかった。


「お頭は何処にいるのよ」

「あ、あれだ。お前が馬で蹴り倒したんだ」

壁に突っ込んで気を失っている男を指さして男が言っていた。


これでは聞き出せない。


仕方なしに、私は後は騎士たちに任せることにした。




結局だれの指示かは判らなかった。大親分が牢屋に入れて翌朝尋問しようとしたところ、ならず者の頭はこと切れていたそうだ。

服毒したらしい。どこかに隠し持っていたのか、それとも誰かが差し入れしたのか、あるいは毒殺されたのか判らなかった。


「どういう事? 証人が殺されるなんて」

「面目ない」

私の前に教えに来てくれたアドが頭を下げてくれた。


「騎士団にもどこかの手の者が潜入しているということ?」

「それは考えたくはないが」

アドはそう言うが、いるということだろう。

まあ、私を恨んでいる奴らは一杯いるみたいだし、今回のは結構大きな組織だということだろう。

「でも、ヴァネッサは単なる後輩で、図書館で少し話しただけなのに、何故私と親しいって判ったんだろう?」

私が不思議に思って聞くと、

「学内にも奴らの手の者がいるのではないか? そう考えるのが妥当だろう」

アドが額に手を当てて呟いた。


「うちのクラスには居ないわよ」

私がはっきりといいきった。

「それは判っている。新たに入ってきた一年生が怪しいんじゃないか?」

「ということは公国?」

「うーん、しかしあいつらがそこまで頭が回るか」

「確かに」

あの兄妹はもっと単純だ。やるなら私にやってくるだろう。人質取ってやるなどまどろっこしい事はしないだろう。


「じゃあ、帝国?」

「今は中のゴタゴタで忙しくて、そこまでてが回るまい」

「じゃあ、どこが」

「詳しくは判らない。公国も他の奴らが動いているかも知れないし、王弟かも知れないし」

「王弟殿下って、私何もしていないわよ。お会いしたことも殆どないし」

私が慌てて言うが、


「フランの事だ。気付いていないだけで恨みを買っているのかも知れないし、邪魔だと思われているのかもしれないぞ」

アドが言ってくれた。

「アド、それ酷くない? 私がいるだけで邪魔だなんて」

私が膨れると、

「いや、フラン、どういう理由かは判らないが、狙われているのは間違いない。十分に注意してくれよ」

アドは心配して私を見るが……


「ふん、売られた喧嘩は買うわよ」

私はやる気満々だった。


絶対に私の後輩に手を出した奴は許さない!


私は心に誓ったのだ。






ここまで読んでいただいてありがとうございます。

そろそろ最後の山場に向けて動き出します。

この土日は出来たら1日二回更新したいです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
私のお話、ここまで読んで頂いてありがとうございます。

【コミックシーモアで電子書籍化】

『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど……』https://ncode.syosetu.com/n9991iq/


このお話がコミックシーモア様で電子書籍として先行配信中(シーモアへのリンク)https://www.cmoa.jp/title/1101429725

お義兄様とエリのダンジョン冒険の2万字の新規書下ろしとシーモア特典ss付
表紙画像

表紙画像
「次にくるライトノベル大賞2023」https://tsugirano.jp/
に皆様の応援のお陰でこの私の書籍がノミネートされました。
なんと上から5つ目に!

【この話が書籍化】

しました!
アルファポリスのレジーナブックスにて

『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』

全国1200以上の書店にて発売中です。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。

■アマゾンへのリンク


■楽天ブックスへのリンク


■hontoへのリンク


手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

つぎラノエントリー記念としてフランの子供時代の話書き出しました

新作

『小さいフランの大冒険『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません外伝』魔物も王子様も魔王だって怖くありません。でも、王妃様とマナーの先生は苦手かも……』

https://ncode.syosetu.com/n6598im/
私の

次の小説

はこちら!

『推しの悪役令嬢を応援していたら自分がヒロインでした』

https://ncode.syosetu.com/n2714ht/

前世でいじめられていたシルフィは、ゲームの中で悪役令嬢タチアナに助けられたのだ。そして、そのゲームの世界に転生したと知った時からタチアナの力になりたいと思っていた。ゲームでは悪役令嬢タチアナは婚約者に近づくヒロインを虐めて修道院送りになってしまうのだ。でも、いきなり入学式でタチアナと婚約者に会ってしまったシルフィは、ゲームの中でしか知られていないタチアナの恥ずかしい秘密をバラしてしまい、二人に驚かれてしまうのだ。そんな中、シルフィが面白いと上級生のアルに興味を持たれてしまい、大変なことになっていく。シルフィも知らない秘密もあってそれが判明した時にのっぴきならない状況に追いやられるシルフィのシンデレラ物語。
時計の鐘が12時を打つ時にシルフィの未来はどうなる?
今回もハッピーエンド目指して頑張ります!
私の最近

完結した小説

はこちら!

『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』

https://ncode.syosetu.com/n8311hq/

【新作】

始めました!

『聖女として召喚されたのに王宮を追放されて我儘貴公子の奴隷にされました。でも、いつの間にか溺愛されるシンデレラストーリー』https://ncode.syosetu.com/n6661in/

新作


『転生したら地味ダサ令嬢でしたが、助けてくれた王子様に恋してしまいました。』

https://ncode.syosetu.com/n9394ik/
前世病弱のヒロインが地味ダサ令嬢(平民)に転生して王子様に助けられて恋してしまう話です。身分差を持ち前のパワーで知らぬ間に弾き飛ばす物語になる予感が……

そのサイドストーリーがこちら


『転生したヒロインのはずなのに地味ダサ令嬢に脇役に追いやられてしまいました』

https://ncode.syosetu.com/n3874il/
実は地味ダサ令嬢の親友がヒロインでしたと言うお話です。地味ダサ令嬢の凄まじいばかりの行動力の前に翻弄されるヒロインのお話です 私の

一番の大作小説

はこちら!

『皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!』

https://ncode.syosetu.com/n8911gf/

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ