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後輩が誘拐されたのが判明しました

ヴァンたちの補習授業が終わって私達は食堂で楽しく食事していた。

彼らの教え方は物理の教師に比べればとてもうまく、少しは比熱が理解できた。

メラニーの物理の点数が上がることは想定外だったが、まあ、どのみち、メラニーを抜くのは不可能なのだ。メラニーの点数が上がってクラスの平均点も上がり、少しでも勝つ可能性が上がったとプラスに考えようと私は思った。


食事は二人の慰労も兼ねて、私の両隣にヴァンとジェドが座っていた。

「おい、フラン、この席はないんじゃないか」

遠くからアドが叫んでいるが私は無視した。


「でね。姉上。やっとカバ先生の言う、ファイヤーボールが打てるようになったんですよ」

自慢気にジェドが言い出したのだ。

「そう、凄いじゃない」

私が手放しで褒めると

「ふんっ、そんなのは俺はとっくに出来るているぞ。それよりも義姉上、障壁が大きくなったんです。今までの倍くらい」

「ヴァン、あなたも凄いじゃない」

私はヴァンも大げさに褒めた。

そうだ。褒める子は伸びるのだ。

フェリシー先生みたいに、叱っても伸びない。

そうだ。フェリシー先生が少しでも出来たら褒めてくれれば、私もやる気がでる……

いや、それは返って気味が悪いかも……

絶対に後で倍くらい、いや、3倍、下手したら百倍くらい叱られるような。

あるいは碌でもないことをやらされるか。

やはりフェリシー先生が優しくしてくるなんてあり得ないのだ!

私は一人で納得していた。



「なんか、あんなにはしゃいでいるなんて、フランは余裕だよな」

「俺たちは食事中でも地理を覚えているのに……」

アルマンとバンジャマンの声が聞こえてきた。


「二人共頑張ってね、地理は覚えさえすれば高得点が取れるから」

私は他人事のように言うと、

「余裕だな。くっそう、ホルム王国の名産を知っているか?」

アルマンが聞いてくるんだけど。


「ダイヤでしょ。一部ブルーダイヤも取れるわ。我が国も商会通して結構輸入しているよね」

「うううう」

アルマンは私の瞬時の解答に何故か落ち込んでいる。


「じゃあ、ジャッキーの領地の名産品は」

バンジャマンが横から言ってきた。


「何言っているのよ。生糸よ生糸。常識よ。蚕から取るんでしょ。ジャッキーのところでは最近、生糸を染めるのもいろいろ工夫しているんでしょう。マガリーのところで出来る藍染で染めたりもしているって聞いているわ」

「……」

「さすがフラン様。私の所の名産を覚えてくれているなんて」

「藍染を知っていただいているなんて思ってもいませんでした」

ジャッキーとマガリーが感激してくるんだけど。


「そんなの当然じゃない。まあ私なんてまだまだだけど、アドなんか、全貴族の顔と名前から名産品や撮れ高まで完全に把握しているわよ。学園の生徒の顔と名前も完全に覚えているし」

私が言うと

「凄い」

「さすが王太子殿下は違いますね」

女の子達が感心していた。



「義姉上、そんなの俺も知っていますよ」

「俺も知っているよ」

ヴァンとジェドまで対抗して言ってくる所が可愛いんだけど。


まあ、この二人も記憶力は良い。


私はと言うと、貴族の当主の顔と名前は完璧だけど、家族や、名産品なんかはうろ覚えだ。まあ、テストに出るくらいは完全に覚えているけれど。


この一角は我が2年E組以外に一年E組が大勢いた。

皆、アルマンやバンジャマンが食べながら勉強しているのを見て、驚いていた。

そして、私は何か忘れていることがあったように思うのだけど……


「フラン。物理を教えるのならば俺が教えるが」

アドが我慢できなくなったのか直ぐ傍まで来るんだけど。


「ふん」

私は明後日の方を見るし、


「兄上は生徒会の方に行った方が良いのではないですか? クラリスさんが探していらっしゃいましたが」

ヴァンが言うんだけど。


「シルヴァン、そもそも、昨年お前がクラリスを無断で再度生徒会長につけたからだろう。俺はその愚痴を延々聞かされただけだぞ」

「女の子の愚痴を聞いて仲良くなるのは男の常套手段ですよね」

笑みを浮かべてヴァンが言ってくれるんだけど。

「そうなんだ。そうやっていたいけな女の子を引っ掛けるのね」

私が笑顔で言った。おそらく目は笑っていなかったと思う。


「いや、違う。フラン! ちょっとヴァン、お前、これ以上俺達の邪魔すると、昨年の件、陛下にいつけるからな」

「な、なんと、子供の喧嘩に陛下を出すんですか」

「貴様がクラリスを出してくるからだろうが……」

二人がまた言い合いを始めるんだけど。


「ふうん、アドはクラリスがお気に入りなんだ」

私は顔で笑って心で怒り狂ってアドを見た。

「違う」

「ララさんもですよね」

更にヴァンが私の怒りに油を注ぐんだけど。


私が将に爆発しようとした時だ。


「フラン、学園の守衛所にお手紙が届いたみたいよ」

メラニーが食堂の入り口から声をかけてきた。

「手紙? 誰から」

手紙の裏を返すと


「ヴァネッサって書いてあるわ」

「ヴァネッサって、何で手紙なんて言伝してきたんだろう」

私が不審がってメラニーから手紙を受け取った。


事務連絡みたいな封筒を開けると

『ヴァネッサは預かった。無事に返してほしければ、一人で来い』

と書面に大きな字で書かれていたのだ。










発覚、でも皆の前で。

ヴァネッサの運命はどうなる?

続きは明日更新予定です。


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