私が勝てば領地に招待すると言うと皆必死にテストに向けて勉強を始めました
本日2話目です
どよーん
学食に集まった私はクラス対抗戦で2位だったショックを引きずっていた。
二年E組の面々もどんよりしていた。
そして、何よりメラニーの私達に課した課題というか、罰ゲームが凄まじかったのだ。
と言うか達成不可能だった。
学年一位のメラニーより点数取らないと罰ゲームをするというのは何なのだ?!
そんなの絶対に不可能だ!
「何言っているのよ。学年10位のフランならまだなんとかなるじゃない」
ノエルが文句を言うけれど、
「私には礼儀作法と魔術理論と物理があるから無理よ」
私は瞬時に諦めたのだ。
物理はメラニーとどっこいどっこいだったが、礼儀作法と魔術理論が完全に足を引っ張っていたのだ。この二科目がある限り絶対にメラニーには勝てない。
「でも、フランの場合魔術実技が満点でしょ。メラニーはそんなに取れないんじゃないの」
「礼儀作法と魔術理論が赤点ギリギリだからそこで瞬時に逆転されるのよ」
「じゃあ礼儀作法はともかく、魔術理論は覚えたら良いんじゃないの?」
「何も考えずに魔術が使えるのに下手なこと覚えていざという時に使えなくなったらどうするのよ! 母も『あなたは絶対に覚えないほうが良いわ。国の防衛に支障を来すから』なんて言うのよ。私は兵器じゃないっていうの!」
私が冗談で言うと
「国の防衛に支障を来すって、そう言われればやらないに越したことないわね。確かにフランが魔術を使えなくなったら大変だし」
ノエルが真面目に返してきた。
いや、冗談だからね。
真面目に取らないでほしい。
「皆、どうしたの? そんなに落ち込んで」
元凶のメラニーがやって来て言い出したんだけど、
「あんたが全ての原因でしょ。昨日は剣術戦で一位になったのに」
私がムッとして言うと
「私が原因って何よ」
「あなたにテストで勝てなかったら罰ゲームにするってあれよ。フェリシー先生の補講だけは絶対に嫌だからね」
「じゃあ、フランはフェリシー先生の補講で」
意地悪そうにメラニーが言ってくれるんだけど。
「何よ。それ、あんたもその時は付き合いなさいよ」
私がムッとしして言うと
「別に付き合って全然問題なけれど、困るのあんたじゃないの? 私、礼儀作法は完璧なんですけど」
メラニーが自慢ぶって言ってくれた。そうだった。メラニーは礼儀作法はフェリシー先生のお気に入りだった。二人して、今度は私をいじめてくれそうだ。
そうなったら最悪だ。
「もう。皆も、何も私に勝てなんて言わないわよ」
「「えっ、本当に」」
メラニーの言葉に私とノエルが食いついた。
「当然じゃない。平均点が学年一位なら問題ないわよ」
「ええええ!」
「それって難しいだろ!」
「一学期以外は2回ともA組に負けたんだぞ」
私達が文句を言うと
「ギリギリだったじゃない。それも二学期も三学期もA組にはピンク頭がいなかったのよ」
「えっ、そうだっけ」
メラニーの言葉に私は記憶を探った。
そういえば、二学期は反乱起こした罪で謹慎していたし、三学期は留学していた。
A組に負けた二回ともピンク頭はいなかったのだ。
「ちょっとあんた達、何言っているのよ。私も勉強できるわよ」
そこに何故かいつもはいないピンク頭がグレースとともに現れたのだ。
「確か、ピンク頭は赤点新記録を出したんだよな」
「A組の平均点を一人で2点以上下げたんだ」
「二点下がれば俺たちにも十分勝つチャンスがある」
私達は一気に盛上ったのだ。
「ちょっとローズ。あんなこと言われているわよ」
グレースがピンク頭に言った。
「確かに二学期と三学期はE組に僅差で勝ちましたけれど、ローズさんはいらっしゃいませんでした」
取り巻きのポレットまで頷いている。
「ちょっと、ローズ、あなた勉強しているの」
「勉強なんてしなくても、私は天才だから大丈夫よ」
ピンク頭は自信満々に言うんだけど、その根拠は何処にあるんだろう?
「ようし、これでもらった」
アルマンが叫んでいる。
「ちょっとローズ、E組に馬鹿にされているわよ」
「あんたらね。私を馬鹿にするとヒールかけてあげないわよ」
グレースに言われてピンク頭が脅してきた。
「何言っているのよ。あんた、アルマンにヒールかけてくれなかったからアルマンが剣術戦に出れなかったじゃない」
私が文句言うと
「その御蔭てあんたが出て一位になれたじゃない」
何故かピンク頭が言い返してくるんだけど。
「本当にあいつも面倒なこと頼むのよね」
ゴニョゴニョとピンク頭が言うんだけど、何言っているか判らない。
「何喜んでいるのよ。あんたら判っている? 負けたら罰ゲームだからね。アルマンも頑張りなさいよ」
メラニーが釘を刺した。
「そうだよな。頑張らないと」
「フラン。何かないの? 勝てた時のご褒美」
ノエルが聞いてきた。
「ええええ? そんな事言ってもわが家はお金ないし。何なら魔の森の横のお城に来る?」
「えっ、あの白鳥城に招待してくれるの」
立上って私の側にノエルが飛んできたんだけど。
「あんまり大したおもてなしは出来ないけれど、良いわよ。連れて行くくらいなら」
私が戸惑いながら言った。城は古いしお湯も出ない部屋も多いけれど、部屋は一杯余っている。皆が泊まるくらいは出来るはずだ。
「フラン本当なの。あの伝説のお城に泊まれるなんて」
両手を握りしめてノエルが感激してくれるんだけど。
そんなに嬉しいことなの?
「ようし、判った。」
「皆、絶対にA組に勝つぞ」
アルマンらが手を上げて早速真剣に皆勉強を始めたのだった。
ここまで読んでいただいて有難うございます。
うーん、テスト期間に入る前の話でした。
ここからお話はどんどん動いていきます。
お楽しみ下さい。
次話は明日です