表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/319

入学式で身分を隠して無理やり友達を作りました

なんやかんやで春休みも終わり私は王立学園の中等部から高等部に今日から上がる。


まあ、貴族のトップに立つ公爵家令嬢で、第一王子の婚約者なのだ。下に侮られるわけにはいかない。


と言うよりも、ゲームの悪役令嬢に転生してしまったのだ。どうしようと、春休みの間悩みまくった。


私なりに・・・・


そう、私なりに頑張ったのだ。

でも、ゲームは途中でいやになってやめてしまったし、ゲームの内容も良く判っていない。

私は頭を抱えてしまった。こんな風になるならもっとちゃんとゲームをやるべきだった。と後悔したけど今更どうしようもなかった。


ゲームでは聖女様を苛めて、断罪されるのだ。聖女が婚約者の第一王子と仲良くなってそれに嫉妬して、苛めるのだとか。


うーん、元々、王妃なんて私では無理なのよね。

王妃教育もかったるいし、それよりは余程騎士団に入って戦っていた方が良い。あの馬鹿の面倒見るのも疲れたし、聖女様に、のしつけてあげたいくらいだ。


ということで、私はなにもしないことにした。

そんな事を考える時間がもったいないのだ。折角今世は健康なのだ。前の世界ではほとんど学校にも通えなかった。でも、今回は通えるのだ。友達をたくさん作って、有意義な青春を満喫するのだ。


この学園は制服があるので公爵令嬢と言えども見ただけでは判るまい。前世は身分差別なんかなかったし、私は身分に対する差別なんか全然無い。良い子がいたらどんどん友達になろうと、意気込んで入学式に挑んだ。


入学式はクラス毎に分かれるが自由席みたいで、わざと最後の方に行って、適当なところに潜り込んだ。だって前もって座っていたら、貴族の子達に見つかって公爵令嬢だと判って、平民の子らに避けられたら嫌だもの。


赤い髪の女の子と青い頭髪の女の子を見つけた。間が空いている。三人揃えば青黃赤で信号機みたいじゃない! 早速私はその間に潜り込んだのだ。

「すいません。ここ空いてますか?」

「ええ、空いてますよ」

青い髪の女の子の方が取っつきやすそうだったので、その子に声をかける。


そして座ろうとした時だ。横の赤い髪の女の子が驚いてこちらを見た。見たこと無い子だったけど、貴族の子だろうか?

私が知らないと言うことは低位貴族の子だろう。


でもその子の口が「なんで悪役令嬢が」って言っていたように思うのだけど気のせいだろうか?


ここは私を知っている子じゃなくて知らない子と仲良くなるべきだ。

早速その子に話しかける。

「私はフランソワ、フランって呼んでね。あなたは?」

「私はノエル・ハーベイ。宜しくね」

よし、言わせた。これでもう絶対に敬語は話させない。中等部の時は最初に失敗したのだ。教師が最初にバラしてくれたせいで、皆にバレてしまった。皆私の身分知ってからは絶対に敬語だった。だからばれないうちにできるだけ友達を作るのだ。今回は先生たちにもやんわりと釘を刺しておいた。私の身分バラしたら、国外に飛ばすと。これでうまいこと行くはずだ。絶対に。


「あなたは?」

そのままの勢いで赤い髪の子にも言う。勢いが大切だ。

「私はメラニー・バロー、男爵家の者です」

私は思わず舌打ちしそうになった。なんで敬語でしゃべるの? 折角フランクに話しているのに!


「えっあなたの家バロー商会経営してるの?」

しかし、ノエルはそこではなくて別のところに引っ掛かったみたいだ。


「そうだけど」

「すごいじゃない。今、庶民に人気の化粧品とか売り出しているバロー商会でしょ」

「ええまあ、そうだけど」

「えっ何々、バロー商会ってそんなに有名なの?」

私は良く判らないので聞いた。


「王都ではすごい人気なのよ」

「そうなんだ。今度案内してよ!」

私は良くわからなかったが今後のためには絶対に一度は行って見ようと思ったのだった。


「えっ、いや、あなた」

「メラニー、宜しくね」


メラニーが余計な事を言いそうになったので

「わかり」

「判ったわ。私はフランよ」

メラニーが話そうとするのを強引に握手して直させる。


「フラン様」

「フラン!」


「えっでも」

「学園は全て平等なのよ!」

私は言いきった。


「それよりも私達三人揃ったら青黄赤で信号機みたいじゃない?」

メラニーは私が言った瞬間、こいつ馬鹿じゃないって目で見てきた。生意気だ。でも次のノエルの一言で私は失敗したことを悟ったのだ。


「信号ってなに?」

そうだった。この世界には信号が無いのだ。私はすっかり忘れていた。


「えっと」

私はどう言い訳しようかと必死に考えようとしたときだ。




「皆さん静粛に」

先生の声で助けられた。

しかし、そこには見たくもない、フェリシー・ローランド男爵夫人が壇の真ん中に立っていたのだ。


「げっ」

私は目が点になる。フェリシーは私の王宮での礼儀作法の先生で、出来ない私はいつも苛められていたのだ。王妃様に次いで苦手だ。


それが何でここにいる?


「皆さんは紳士淑女なのです。静かにする時にはしなさい。特に一年生。今年は一年生の中には第一王子殿下の婚約者もいらっしゃるんです。礼儀作法マナーが、恥ずかしくないように宜しくお願いしますね」

あのばばあ嫌味たらしく、どうせ、礼儀作法マナーが私はひどいですよ。私はフェリシーを睨み付けていた。許されるなら思いっきり舌を出したかった。そんな事したら後が怖いので止めておいたが。


「へえええ、この学年に第一王子殿下の婚約者がいらっしゃるんだ。どこにいらっしゃるんだろう?」

キョロキョロノエルがするので、

「ほんとにどこにいるのかしら?」

と周りにガンをとばしながら私も周りを見渡した。


メラニーは呆れた顔をして私を見ていた。

絶対にこいつは何か知っている。信号にも動じなかったし。後でじっくりと問い詰めねば!私は決心したのだった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
私のお話、ここまで読んで頂いてありがとうございます。

【コミックシーモアで電子書籍化】

『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど……』https://ncode.syosetu.com/n9991iq/


このお話がコミックシーモア様で電子書籍として先行配信中(シーモアへのリンク)https://www.cmoa.jp/title/1101429725

お義兄様とエリのダンジョン冒険の2万字の新規書下ろしとシーモア特典ss付
表紙画像

表紙画像
「次にくるライトノベル大賞2023」https://tsugirano.jp/
に皆様の応援のお陰でこの私の書籍がノミネートされました。
なんと上から5つ目に!

【この話が書籍化】

しました!
アルファポリスのレジーナブックスにて

『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』

全国1200以上の書店にて発売中です。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。

■アマゾンへのリンク


■楽天ブックスへのリンク


■hontoへのリンク


手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

つぎラノエントリー記念としてフランの子供時代の話書き出しました

新作

『小さいフランの大冒険『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません外伝』魔物も王子様も魔王だって怖くありません。でも、王妃様とマナーの先生は苦手かも……』

https://ncode.syosetu.com/n6598im/
私の

次の小説

はこちら!

『推しの悪役令嬢を応援していたら自分がヒロインでした』

https://ncode.syosetu.com/n2714ht/

前世でいじめられていたシルフィは、ゲームの中で悪役令嬢タチアナに助けられたのだ。そして、そのゲームの世界に転生したと知った時からタチアナの力になりたいと思っていた。ゲームでは悪役令嬢タチアナは婚約者に近づくヒロインを虐めて修道院送りになってしまうのだ。でも、いきなり入学式でタチアナと婚約者に会ってしまったシルフィは、ゲームの中でしか知られていないタチアナの恥ずかしい秘密をバラしてしまい、二人に驚かれてしまうのだ。そんな中、シルフィが面白いと上級生のアルに興味を持たれてしまい、大変なことになっていく。シルフィも知らない秘密もあってそれが判明した時にのっぴきならない状況に追いやられるシルフィのシンデレラ物語。
時計の鐘が12時を打つ時にシルフィの未来はどうなる?
今回もハッピーエンド目指して頑張ります!
私の最近

完結した小説

はこちら!

『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』

https://ncode.syosetu.com/n8311hq/

【新作】

始めました!

『聖女として召喚されたのに王宮を追放されて我儘貴公子の奴隷にされました。でも、いつの間にか溺愛されるシンデレラストーリー』https://ncode.syosetu.com/n6661in/

新作


『転生したら地味ダサ令嬢でしたが、助けてくれた王子様に恋してしまいました。』

https://ncode.syosetu.com/n9394ik/
前世病弱のヒロインが地味ダサ令嬢(平民)に転生して王子様に助けられて恋してしまう話です。身分差を持ち前のパワーで知らぬ間に弾き飛ばす物語になる予感が……

そのサイドストーリーがこちら


『転生したヒロインのはずなのに地味ダサ令嬢に脇役に追いやられてしまいました』

https://ncode.syosetu.com/n3874il/
実は地味ダサ令嬢の親友がヒロインでしたと言うお話です。地味ダサ令嬢の凄まじいばかりの行動力の前に翻弄されるヒロインのお話です 私の

一番の大作小説

はこちら!

『皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!』

https://ncode.syosetu.com/n8911gf/

― 新着の感想 ―
[一言] ]_・)赤青黄色で、中の二人は転生者か( ̄▽ ̄)ニヤリッ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ