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ならず者視点 エルグランの王都で貴族の令嬢を攫う事にしました

昨日は二話更新しています。本日も二話更新予定です。

俺は『お涙のグレマン』とシュタイン公国では少しは名の知れたならず者だった。


何も涙もろいわけじゃあないし、涙に弱いわけでもない。

初見はとても、親切な人に見えるそうだ。

そう言ったら、

「絶対に嘘だ。兄貴。どう見ても怖いやくざ者ですぜ」

弟分のドニがふざけたことを宣ってくれたので、思いっきり頭をしばいてやった。


「痛いですって兄貴、本当に見た目はいかついヤクザ……

痛て!……

嘘です。兄貴、親切なヤクザに見えます」

馬鹿はいくら言っても馬鹿だ。これ以上石頭を殴るとさすがの俺の指の骨が折れる。

俺は諦めることにした。


そんなの人の良い顔をして、金に困っている者を捕まえては金を貸す、高利貸だった。

何故『お涙のグレマン』かというと、返せなくなったら返済を待ってくれるからだとか、利息を負けてくれるからだとか、そんなわけねえだろうが!


貸す時良い顔して貸すのは当たり前だ。返せなくなったら、その男の身ぐるみはいで、女子供を娼館に売って、なんとその親しい友人まで売ってしまうっていう涙のかけらもないからだとか、俺からむしり取られた奴が涙を枯らしてしまうからだとか、いろいろ言われている。


そんな俺が何でエルグラン王国に入ったかというと、ちょっと知らずに教会関係者に手を出してしまったのだ。

帝国教の司教見習いに。

坊主なんて大したことがないと思った俺が馬鹿だった。


俺が娼館に身売りしてやった借金で首が回らなくなった呉服屋の女房の所に、何をトチ狂ったか、司教見習いが通うようになったのだ。教会関係者を金で縛り上げて手下にするのも何かの足しになるかと考えたのが浅はかだった。

いや、司教見習いを騙すのは簡単だった。女にうつつを抜かす司教見習いをあっという間に借金で首が回らないようにがんじがらめにしたのまでは良かったのだが、その後にあの化け物が出て来たのだ。



俺は黒ずくめの集団に拉致されて洞窟の中に連れ込まれたのだ。


そこにはすさまじい魔力を持った化け物がいたのだ。

俺はその男を見た瞬間逆らう事を諦めたのだ。


「猊下、このようなならず者を宜しいのですか」

「何やらも使いようというではないか」

そう言うと男はニヤリと笑ってくれですかいた。この男だけは逆らってはいけない。俺の本能が叫んでいた。


「グレマン。その方に任務を与える」

「任務ですかい?」

俺は聞くしかなかった。


「そうだ。その方にはここを出てエルグランの王都に行ってもらいたい」

「行ってどうするんで?」

「追って沙汰する。それまでは、今までと同じことをしておれば良かろう」

「しかし、エルグランの王都には縄張りってものがあって、すぐによそ者がやっていくわけにはなかなかいかねえんで」

俺はお偉いさまに何とか思いとどまってもらおうと言い張った。これだけは言わないわけにはいかなかったのだ。


「貴様、猊下に逆らうのか」

「よいよい。グレマン、気にせずともエルグランの王都にはヤクザの縄張りなどほとんどない。お前ならすぐに溶け込めよう」

「本当ですかい?」

俺には信用ならなかった。


しかし、この男に逆らうわけにもいかずに、俺は仕方なしにドニと一緒にエルグランの王都に向かった。



しかし、来てみればなんと王都にはやくざ者の縄張りがまったくなかったのだ。


何でも、少し前に騎士団に一掃されたらしい。


そんなバカな。俺は信じられなかった。


普通はならず者の島がきちんと決まっていて、その親分の傘下に入るか何かしないといけないのに、そのならず者の組織自体が殆どないのだ。


俺はあっという間に、顔役になれた。


そうこうするうちに他のならず者たちも帰ってきたのだか、すわ抗争か、と俺も色々準備しだした時に、また、あっという間にいなくなってしまったのだ。


なんでも化け物が帰ってきたとか何とか……


本当にこいつらは馬鹿だ。化け物なんて、シュタイン公国のあの黒ずくめの男に比べれば大したことは無い。


俺は騎士団に目を付けられるとまずいので、下っ端の何人かにつてを作った。

なあに、一人は女で釣って、もう一人は金に困っていたところへ援助してやったのだ。


ちょろいものだ。


もう少し何とかしたかったが、エルグランの騎士たちはなかなかしっかりしているみたいで、なかなか尻尾を掴ませなかった。


そんな所へ黒ずくめの男から指示が来た。


何でも、王立学園の女を一人攫って、それで貴族の令嬢を誘き出せと言う事だった。

俺はさすがに貴族の令嬢に手を出すのはためらわれた。


その俺の前に金貨の袋がどんと置かれたのだ。


その金額はこの国じゃあなかなか目に入らないほどの額だった。俺が一生かかっても稼ぎ出せないほどの額だった。


「これは前金だ。その女を公国まで連れて来られればさらに同じだけ出す」

そこには魔封じの手錠があった。俺でも見たことのないほどのまがまがしい邪な魔力を感じる物だった。

俺は必死に計算した。これだけの金があれば今回失敗してもまた、どこかでやり直せるだろう。

それに、あの男に逆らうのは避けたかった。


「判りました。そのフランとかいう女を必ず連れて行きます」

俺は金に目がくらんで言っていたのだった





さて、この男の思惑通りに行くのか?

続きは今夜更新予定です。

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