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殿下と朝から食べさせ合いをしてしまいました

その日はいろんなことを考えてあんまりよく寝れなかった。

翌朝目を腫らして食堂に行くと、何故かまた、花束を持ったアドが立っていたのだ。


「おはよう。メラニー・バロー嬢とノエル・ハーベイ嬢」

アドはまず、私の親友に挨拶をしてきた。

「おはようございます。殿下」

二人は挨拶すると私を殿下の前に押し出した。


「えっ、いや、ちょっと」

私はどんな反応したら良いか判らずに戸惑ったが、


「いやあ、私からの花束を嫉妬のあまりめちゃくちゃにされたんだって、フラン。ごめんね。辛い思いさせて」

言うや、アドは花束を私の目の前に出してきた。


「花束の代わりならいくらでも出せるから、ぜひともまた受け取ってほしい」

「えっ、でも、せっかくのアドからの花をめちゃくちゃにされたのに」

「うーん、花束に罪はないのに、犯人も酷いことをするよね。でも、これから花束なんていくらでも渡せるから」

やけにアドの機嫌がいいんだけど、何でだろう?


「えっ、本当に良いの?」

「だから言っただろう。花束なんていくらでも渡すって」

「うん、ありがとう」

私はもらいながらキョロキョロした。


「どうしたんだ」

「いや、ピンク頭がそろそろ現れるかなと思って」

「いや、しばらく無いだろう。伯爵家にも文句を言っておいたから」

「まあ、それなら良いけど」

「俺も君たちと一緒に食べていいかな」

「えっ、いや、どうぞ、殿下はフランとお二人でお食べ下さい。私たちはこちらで食べますから」

メラニーは気を使ってくれたのかオーレリアンを引っ張っていって私達を2人にしてくれた。

「えっ、でも」

「うーん、なんか気を使わせたかな」

アドはそう言うや、私の手を引っ張って中に入っていく。


まだ朝早いから人は少ないけれど、手を繋いでいる私たちは皆の注目の的だった。


「アド、手!」

「手がどうしたの?」

「恥ずかしいから離して」

「えっ、俺は別に良いんだけど」

そう言いながらも離してくれた。

でも今度は抱き寄せるように腰に手を添えられるんだけど。


うーん、出来るだけアドからも離れる予定だったのに、これじゃあ処刑コース一直線じゃないのか?、と思わずにはいられなかったが、別の思いとしてはショックをうけたあとだったので、アドの気遣いがありがたかった。


トレイを持つとアドが次々と取ってくれる。

「フランは卵が好きだったよね。それとソーセージと、このサラダはいる?」

甲斐甲斐しく私の世話をしてくれるのだ。

周りからは黄色い声が聞こえるんだけど。私は恥ずかしいからもっと離れてほしいのに、アドはそう言うときは更にくっついてくるんだけど、それは止めてほしい。


デザートのミニケーキをそれぞれ取って私たちはメラニーらから少し離れた席についた。


「いやあ、フランが泣いてくれたって聞いて俺嬉しかったんだけど」

「えっ?、どういう事」

「だってそれだけ俺の花束を大切にしてくれたってことじゃない。もらった時は邪魔くさそうにしていたのに」

「だって今までアドは花なんてくれたこと殆どなかったし、私も女の子だから。そらあ、婚約者から初めてもらった花束は嬉しいわよ」

「ごめんね。これからはもっと渡すようにするよ」

アドはさらりと言ってくれた。うーん、今まで浮気相手にしかそんな事は言わなかったと思うのに、何でだろう。どういう心境の変化なんだか。でも、私は処刑されないためにはアドから離れないといけないのに、どうしたら良いんだろう?

私には悩ましい問題だった。


「あっ、このミニケーキも美味しいぞ」

「えっ、本当に」

「食ってみるか」

アドはそう言うと、私の口の中に残りをフォークに刺して入れてくれた。

私らは子供の頃からの付き合いでよくそんな事はやっていたのだ。

普通にやってしまった。


でも周りでは普通ではなかったみたいで、一斉に黄色い声が上がったのだった。


「うそ、殿下が女の子に食べさせた」

「馬鹿ね。相手は婚約者のルブラン公爵令嬢じゃない」

「本当にお似合いよね。あの二人」

私はその声に真っ赤になった。


でも、アドはそれだけでは足りないみたいで、

「フラン、俺もそのケーキ半分食べたい」

「えっ、いや、でも」

私は皆の視線があるから嫌だったのに、ケーキに刺したフォークを持ち上げたら、ぱくりと食べてくれたのだ。ちょっと待ってほしい。朝っぱらから何をやってくれるのだ。私は更に真っ赤になった。

隣ではまじまじとメラニーとノエルが見ていたし、オーレリアンは固まっていた。


朝から食べさせ合いをやっていたバカップルの噂はあっという間に学園中に広がってしまったのだった・・・・


そろそろピンク頭の反撃です

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